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研究員紹介(三澤)

コンテンツ

調査研究部
研究主幹

三澤 かおり

Kaori MISAWA


韓国のICT政策・市場動向調査を主に担当。プロジェクトマネージャー経験も豊富。最近では5G/Beyond 5Gでの各種発表が多く、メディア融合分野調査研究も進行中。

専門分野

通信放送政策調査研究、韓国ICT分野調査研究

調査実績

韓国の各種ICT分野規制調査
韓国の5G、放送メディア、FinTech等ICT活用サービス動向に関する調査
諸外国のWi-Fi整備動向、通信市場の競争に関する調査、電波政策関連調査 等

経歴

一般財団法人マルチメディア振興センター(2007年4月より現職)

委員等

総務省「地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fi等の活用に関する研究会 Wi-Fi整備推進ワーキンググループ」オブザーバー(2014年~2015年)

所属学会

情報通信学会

書籍・寄稿・講演等

《メディア掲載》
「サムスン、LGらが早くも6Gの開発拠点、韓国の6G商用化は28年」『月刊テレコミュニケーション2020年4月号』6Gへ Beyond 5Gへの挑戦特集(2020年)
「動き出した5G-世界の最新動向-」(『電波新聞』9回連載企画共同執筆、2019年)
「海外5G動向」(『都政新報』連載共同執筆、2019年)
「政府主導で世界一を目指す韓国「5G+戦略」最前線」(『週刊ダイヤモンド2019年11月9日号』「5G大戦」特集)
「韓国5G+戦略の実像」『月刊テレコミュニケーション2019年7月号』5Gのホントの実力特集(2019年)
「ピョンチャン冬季オリンピックにおけるセキュリティ戦略」(『日防設ジャーナル2018春号』2018年)
「世界初の5Gオリンピックを目指すピョンチャン冬季オリンピックのICT戦略」(『CIAJジャーナル2017年春号』)

《講演》
「海外の5G最新動向 ―米欧中韓市場における政策と市場動向―」CIAJえくすぱーと・のれっじ・セミナー(2019年12月)
「5G海外最新動向」(IISEサロン、2019年7月)
「世界初の5Gが開始された韓国の戦略と活用事例」(KOTRA主催、KOREA IT Expo 2019、2019年6月)
「平昌冬季オリンピックでのICT活用事例」(No Maps、2018年)
「世界初の5G五輪 ピョンチャンのICT活用事例」(KOTRA主催、KOREA IT Expo 2018、2018年7月)
「第4次産業革命対応を見据えた韓国の教育分野最新動向」(デジタル教科書教材協議会研究会、2018年)
「日韓のICT分野の第4次産業革命対応状況」(韓国大使館主催第3回 未来成長研究会、2017年)
「韓国教育ICTの最新動向」(日本電子出版協会(JEPA)セミナー、2015年) 等

《学会発表》
「韓国5Gの戦略・市場動向と地域×5G―5G本格商用化から半年間で見えてきたこと―」(情報通信学会第41回大会 地域5G研究会報告、2019年11月)
「米国及び韓国における有料放送市場の発展と競争-ケーブルテレビ事業者を中心に-」(情報通信学会第40回大会共同発表、2019年6月)
「韓国の放送分野におけるメディアリテラシー教育強化の背景に関する考察」(情報通信学会第39回大会発表、2018年11月) 等

《ICTワールドレビュー掲載記事》
April/May 2020 Vol.13 No.1
主要6か国(米、英、独、仏、中、韓)及びEUにおける情報通信の動向

December 2019/January 2020 Vol.12 No.5
韓国最大のモバイル展示会GMV2019とソウル5G体験

August/September 2019 Vol.12 No.3
欧米韓5G最新動向

August/September 2018 Vol.11 No.3
韓国のスタートアップ支援動向 –官民一体で新領域ビジネスを促進-

December 2017/January 2018 Vol.10 No.5
ピョンチャン五輪に向けた韓国のICT戦略 ―5G、IoT、UHD、AI、VRの活用―

《調査レポート》
2018.07.31 リサーチレポート 三澤かおり
視聴者の放送コンテンツ制作支援に力を入れる韓国のメディアリテラシー教育

2017.10.01 自主研究 三澤かおり
ピョンチャン冬季オリンピックにおける韓国のICT戦略

2017.08.29 リサーチレポート 三澤かおり
韓国で進む広範囲なブロックチェーン導入に向けた取組

2017.04.20 リサーチレポート 三澤かおり
韓国大統領選有力候補の情報通信分野公約比較-通信料金引き下げにつながる政策が今回も焦点に-

2016.12.22 リサーチレポート 三澤かおり
韓国のFinTech(フィンテック)促進政策がもたらした効果-モバイル金融サービスが急成長-

2016.11.28 リサーチレポート 三澤かおり
韓国:新領域ビジネス拡大に向けた韓国政府と通信事業者の取り組み-ベンチャー連携促進事例を中心に-

2016.10.01 自主研究 裘春暉 三澤かおり
中韓におけるICT事業者によるコーポレート・ベンチャリングの取組み動向

2016.07.06 リサーチレポート 三澤かおり
韓国:韓国のFinTech産業促進戦略

2016.01.15 リサーチレポート 三澤かおり
我が国の携帯電話料金負担軽減議論に影響を与えた韓国の端末流通法-法施行後1年の影響と課題-

 

お知らせ表示

2021.12.01

  • 最新研究
  • 裘 春暉
  • 三澤 かおり
  • 米谷 南海

With/Afterコロナ時代における国内外のOTT-V動向

 世界の動画配信サービス(OTT-V)利用者数は2020 年、コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に前年比26%増の11 億人に達した。特に利用者数を伸ばしているのはグローバル展開に積極的な米国製OTT-V で、諸外国では米国製OTT-V から自国の放送産業、コンテンツ産業、ひいては文化を保護する目的でOTT-V 規制を導入・検討する動きが本格化している。一方、日本においては、OTT-V 関連議論として地上放送の常時同時配信を巡り国内放送市場の競争環境に関する議論はあったものの、グローバルな競争状況を視野に入れた政策議論は十分になされていない。
 そこで本報告書では、日本においてOTT-V がどのように利用されているのか、特に視聴者と米国製OTT-V の関係性に焦点を当てながら検討し、日本のOTT-V 政策議論の基礎となる材料を提供することを目指した。具体的には、文献調査を通して国内外のOTT-V 市場・政策動向を整理したほか、全国アンケート調査(2021 年6 月実施)を通して日本におけるOTT-V 利用実態を分析し、それらのデータをもとに我が国におけるOTT-V 政策の方向性について若干の考察を加えた。
 本報告書は全7 章で構成される。各章の要旨は以下の通りである。
 
第1章「はじめに」
 本研究の概要(背景・問題意識・目的・方法)を説明し、本報告書で使用される用語の定義を示した。
 
第2章「世界のOTT-V 市場・政策動向」
 グローバル展開する米国製OTT-V の躍進を受け、諸外国ではOTT-V 規制を導入・検討する動きが本格化している。議論のポイントとなっているのは、大手米国製OTT-V から自国産業をどのように保護するかという点であり、特に、放送事業に課されている規制がOTT-V 事業には課されていないという「規制の非対称性」が問題視されている。なお、欧米のOTT-V 市場は既に成熟期を迎え、今後はアジアがOTT-V 市場の主戦場となることが見込まれている。大手米国製OTT-V も2020 年頃からアジア戦略を本格始動している。
 
第3章「韓国のOTT-V 市場・政策動向」
 韓国では、OTT-V が今後最有力のメディアプラットフォームになると認識されており、官⺠両セクターがその育成に注力している。特にNetflix 対抗が目標として掲げられ、政策面では、OTT-V 分野におけるコンテンツ制作支援、規制最少化、国内プラットフォーム支援が講じられている。市場面においては、国内OTT-V 二強とされるTving とwavve が2022 年から段階的に海外展開を進める計画である。
 
第4章「中国のOTT-V 市場・政策動向」
 中国では、OTT-V 市場の将来性を見据え新規参入を試みる事業者が相次いだ。特に愛奇芸、騰訊動画、優酷をはじめとするOTT-V 事業者の間では激しい競争が繰り広げられ、市場拡大に寄与している。ただし、政府は映像メディアサービスをコントロール下に置く方針を徹底しており、OTT-V に対しても、参入制限やコンテンツ許可制等、既存放送サービスと同程度の厳しい規制を設けている。
 
第5章「日本のOTT-V 市場・政策動向」
 日本は2015 年に「OTT-V 元年」を迎え、2021 年現在のOTT-V 利用率は50%を上回る。複数の事業者が協力して一つのOTT-V プラットフォームを提供する事例もあるが、多くの場合は各事業者がそれぞれにプラットフォームを運営しており、多数の競合がひしめき合っている。日本にはOTT-V を特別に規律する法律や規制は存在しない。また、IP ユニキャストであるOTT-V は「放送法」の対象外であり、放送事業者に課される参入規制や番組規律から免除されている。
 
第6章「日本のOTT-V 利用動向」
 2021 年6 月に実施した全国アンケート調査の結果を紹介した。全国アンケート調査には本調査A と本調査B の二つがある。本調査A は何らかの映像メディアサービスを利用している日本全国の男女を対象に実施したもので、①日本では地上放送が最もよく利用されているものの若年層を中心にOTT-V の利用が拡大していること、②最も利用されているOTT-V プラットフォームは、定額制OTT-V の場合は米国製、無料広告型OTT-V の場合は日本製であること、③最も視聴されているOTT-V コンテンツは日本製コンテンツであること、④OTT-V のオリジナル/独占配信作品への関心度が低いこと等が明らかになった。本調査B は2019 年に実施したコード・カッティング調査の定点調査である。ケーブルテレビ多チャンネルサービス又は定額制OTT-V の契約者本人を対象に実施したところ、①2021 年現在もコード・カッティングはほとんど起こっていないこと、②新規加入サービスとしてはケーブルテレビ多チャンネルサービスよりも定額制OTT-V が人気であること、③2019 年には低所得の若年層を中心に構成されていたコード・ネバー(Cord Never:これまでに一度もケーブルテレビ多チャンネルサービスに加入したことがなく、現在定額制OTT-V に加入している視聴者)が、2021 年には幅広い所得・年代層で構成されるようになったこと等が確認された。
 
第7章「おわりに」
 グローバル展開する米国製OTT-V の国内産業に対する影響について考察した。放送事業・OTT-V 事業間の規制の非対称性が他国ほど大きくない点や、視聴者が日本製コンテンツを圧倒的に好んでいる点に鑑みると、米国製OTT-V が直ちに国内産業に打撃を与えるとは考えにくいと思われる。ただし、中⻑期的には、日本のクリエイティブ資源が米国製OTT-V に流出するというネガティブな可能性も存在する。今後のOTT-V 政策の可能性としては、日本製OTT-V プラットフォームの海外展開支援がある。世界各地の日本コンテンツ・ファンをターゲットとする日本製OTT-V プラットフォームを官⺠連携で構築・育成し、米国製OTT-V に対抗できる国際競争力を強化することで、放送産業やコンテンツ産業のビジネス機会を確保しつつ、クリエイティブ資源の海外流出も阻止できると考える。
 
(執筆者とリンク)
米谷南海(ICT リサーチ&コンサルティング部 チーフ・リサーチャー)
第1、2、5、6、7 章担当
三澤かおり(ICT リサーチ&コンサルティング部 シニア・リサーチディレクター)
第3 章担当
裘 春暉(ICT リサーチ&コンサルティング部 シニア・リサーチャー)
第4 章担当