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注目のICTトピック

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  • 2025年4月16日、ファースト・レスポンダー・ネットワーク機構(First Responder Network(FirstNet)Authority)との契約に基づき、公共安全向けブロードバンド・ネットワークを構築しているAT&Tは、専用に割り当てられている700MHz帯周波数(Band 14)を利用して1,000か所のセルサイトを新たに設置したことを発表した。

    これは、FirstNet機構とAT&Tが2024年2月に発表した総額80億ドルに上る10年間の投資イニシアチブの一環で、AT&Tは2025年末までに完了する計画を9か月前倒しで達成した。

    これらの新サイトは、46の州とワシントン・コロンビア特別区(DC)にまたがるファーストレスポンダーの任務をさらにサポートし、その3分の2以上はルーラル地域と部族地域に集中、さらに、その大半は、消防署、警察署、裁判所、病院など公共安全上の重要な拠点へのカバレッジを強化している。

    これは、公共安全がより多くの場所でカバレッジ、容量、専用周波数帯を拡大したことを意味しており、その中には、「FirstNet MegaRange」ソリューションで他の通信事業者の6倍の信号強度を送信できるようになったことも含まれる。

    現在、3万以上の公共安全機関や組織がFirstNetを選択しており、その接続は710万回線以上に上る。ここでは、4G/5Gにわたって、FirstNetを使うファーストレスポンダーに対して常時、プライオリティとプリエンプションを提供する。

    FirstNetは、既に99%以上のファーストレスポンダーをカバーしているが、FirstNetは、国内の最も遠隔地域にいる人々を含む、すべてのファーストレスポンダーと拡張された公共安全コミュニティのために設計されたものとなるため、AT&Tは、FirstNet機構とともに、公共安全機関によって特定された部族、準州、ルーラル地域に特化した追加の専用サイトの構築にも着手している。

    AT&Tは、その一環として、ルーラル地域のネットワーク事業者と協力し、FirstNetカバレッジを迅速に拡大するため約1,200の専用サイトを立ち上げた。

    FirstNet機構は、こうした専用サイトを構築する必要がある地域を特定するため、2024年だけでも、公共安全コミュニティと1,400回以上の機会を設け、5万3,000人以上のファーストレスポンダーや主要関係者に接触した。

    また、こうした地域へのカバレッジ提供という観点では、AT&Tは、この700MHz公共安全帯を使い、衛星事業者AST SpaceMobileの低地球軌道(LEO)衛星からユーザ端末への直接アクセスを提供する一時的な認可をFCCから2025年4月15日付けで取得しており、年内にはフィールド試験が行われる見込み。

    FirstNetのネットワークを提供するAT&Tの契約は2042年に期限を迎える一方、FirstNet機構のネットワーク運営に関する法的権限は2027年2月に失効することになっており、その継続には新たな立法措置が必要となる。主要な公共安全団体17者は2025年3月21日付けで、関連する連邦議会委員会幹部メンバーに対して、FirstNetの権限延長を支持する書簡を送付しているほか、FirstNet権限延長は幅広く支持されており、今後は議会での検討が行われる見込み。

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  • 2023年に発生した人身事故を受けて自動車大手ゼネラルモーターズが自動運転部門のクルーズを閉鎖して以来、米国のロボタクシー(自動運転タクシー)市場では、アルファベット傘下のウェイモが独走状態にある。

    ウェイモはグーグルの社内プロジェクトとして2009年に発足した後、2016年に独立子会社としてスピンアウトした。2025年4月現在、ロサンゼルス、サンフランシスコ、フェニックス、オースティンの4都市で無人ロボタクシー・サービス「ウェイモ・ワン」を展開しており、2025年にはアトランタ、2026年にはマイアミとワシントンDCに進出予定である。週間利用件数は20万件超で、米経済誌フォーブスの試算によれば2024年度収益は約1億ドル(約150億円)に達した。

    これに対し、市場第2位の座を争っているのが、イーロン・マスク氏が率いるテスラとアマゾン傘下のズークスだが、現時点ではズークスが一歩先んじている。

    テスラは2019年にロボタクシー構想を披露し、2024年にハンドルやペダルのないロボタクシー車両「サイバーキャブ」を発表。2025年1月には、2026年の全米展開を視野に入れ、2025年6月にオースティンでサービスインする計画を明らかにした。ただし、事業規模やビジネスモデルは不明で、大規模走行試験の実績もないことから、一部の専門家は同社の示した計画に懐疑的な見方をしている。

    一方、アマゾンのデバイス&デジタルサービス部門に属する2014年設立のズークスは、走行試験の実績を着実に積み重ねている。2025年4月現在、サンフランシスコ、ラスベガス、シアトル、オースティン、マイアミ、ロサンゼルスの5都市で走行試験を実施しており、2025年内のラスベガスでの商用サービス開始を目標に掲げる。

    なお、米国以外でロボタクシーが商用化されているのは中国のみだが、日本でもその兆しが見えてきた。例えば、日産自動車は2025年10月から2026年にかけて横浜市内で大規模走行試験を実施し、2027年に商用サービスを開始する計画。また、米国第1位のウェイモは同社初の海外展開先として日本を選んだ。日本のタクシー最大手である日本交通とタクシー配車大手GOと提携し、2025年4月中旬より東京都心7区(港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区)でAIシステム学習用のデータ収集を開始。左側通行や高人口密度環境への適応等、課題の洗い出しをして、2025年初頭の走行試験実施を目指す。

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    欧州委員会が「AI大陸行動計画(AI Continent Action Plan)」を発表

    欧州委員会は2025年4月9日、革新的な技術発展を続けるAIの分野でEUが世界的リーダーになることを目標とする「AI大陸行動計画(AI Continent Action Plan)」を発表した。この計画は、欧州の伝統的産業と優れた人材プールを、AIのイノベーションと促進における強力な原動力へと変革することを目指すものであり、第二次フォン・デア・ライエン政権が進める規制の簡素化もそのアプローチに含まれている。

    (1)大規模AIデータ及びコンピューティング・インフラの構築
    AIファクトリーのネットワーク構築を通じて、AIの基盤となるコンピューティング・インフラを強化する。2024年4月現在までに13か所のAIファクトリーが域内に設置されており、AIスタートアップ、産業、研究者によるAIモデルやアプリケーションの開発を支援する。また、官民パートナーシップと新たな資金調達メカニズムを用いて、域内における五つのAIギガファクトリーの設置も行われる。

    加えて、データセンターの設置にかかる障壁を減らし、今後5~7年でEUにおけるデータセンターのキャパシティを3倍以上に拡大させ、2035年までに企業と行政のニーズを満たす水準まで引き上げることを目指す「クラウド及びAI開発法(Cloud and AI Development Act)」の提案も行っている。

    (2)大規模で高品質なデータへのアクセスの拡大
    真の域内データ市場を創出するための「データユニオン戦略(Data Union Strategy)」の提案を行っている。同戦略は、AIモデルの訓練と検証に必要な堅牢で高品質なデータの不足に対応するため、セクター間の相互運用性とデータ利用可能性を向上させることで、EUのデータエコシステムを強化することに焦点を当てており、特に既存のデータ関連法の簡素化を目指す。また、この領域における重要な手段として、AIファクトリーにおける多様なソースからの大規模・高品質なデータを収集・管理する「データラボ」の設立を掲げている。

    (3)EUの戦略的部門におけるアルゴリズム開発とAI導入の促進
    公共部門及び民間部門へのAI導入の推進は、イノベーションの促進、競争力や経済成長の向上、行政負担の軽減に不可欠だとし、AI採用及びイノベーションの加速と「欧州製」AIソリューションの活用を目指す「AI活用戦略(Apply AI Strategy)」が提案されている。また、補完的戦略として、科学分野におけるAI活用を目的とした戦略の策定も行われる予定である。

    (4)AIスキルと人材の強化
    欧州委員会は、「スキル同盟(Union of Skills)」と題した労働者の技能向上に関する政策文書を2025年3月5日公表。この政策文書でも強調されているように、欧州の競争力の源は人材であり、将来的な繁栄と競争力確保のためには、高度なスキルを持つ人材が不可欠であるとする。同政策文書に沿う形で、初等中等教育におけるAIリテラシーの育成支援や、育成したAI人材の引き留めと還流、EU域外からのAI人材の誘引といった点に力を入れる。

    (5)規制の簡素化
    AI規則の実効性に対する最初の施策として、企業によるAI規則の順守を支援する「AI規則サービスデスク」の設置し、AI規則で規制される可能性のあるステークホルダーに対して、必要な情報と指針を提供する。次の施策として、中小企業におけるAI規則の円滑かつ効率的で簡素な適用を促進するために必要な追加措置を特定する

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  • 中国移動は2025年4月、「5G-A×AIイノベーション」アクションプランを発表した。

    まず、AIエンパワーメント関連で、2025年に自律型ネットワークのアップグレードを推進し、スマートネットワークの省エネや最適化を図り、約50万か所の基地局のAIスマート化改造及び31の省・市・自治区におけるコアネットワークのスマート制御の配置を完了させる。

    また、利用シーンの強化関連で、2025年にIoV(車のインターネット)、ウェアラブルなどの5G RedCapの利用を促進するとともに、10万㎡に及ぶパッシブIoTの配備、「技術+利用シーン+エコシステム」の融合ソリューションを構築し、各業界の需要を満たす。

    さらに、3CC(キャリアグリゲーション)及び上り速度の高速化を中心に、年内に累計で10万以上の3CC基地局を開通させ、49の重点都市におけるフルカバーを実現し、没入型業務とAI端末の発展促進につなげる。

    そのうえで、5G-Aを次の発展段階へと加速させ、eRedCap(enhanced RedCap)や5G NR放送などの技術を重点的に推進することで、新たなビジネスニーズの可能性を引き出すとしている。

    中国移動はこれまで、浙江省において3CC対応のベンチマーク・エリアを整備し、下り通信速度が最大5Gbpsに達した。また、郷・鎮エリアにおけるRedCapのフルカバーを実現し、IoT、IoV、ウェアラブルなどの分野における5Gの応用を展開してきた。特にAIを活用した5G基地局のテスト結果によると、動画再生の遅延時間の12%低下、ショート動画ハイビジョン再生割合の30%上昇、ライブ配信の上り速度の21%上昇といった顧客体験の改善が見られたという。これらに加えて、5G基地局へのAI導入により、基地局のエネルギー消費量は4~9%減少した効果も得られた。

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    年々成長する中古端末市場にサムスン電子も参入

    新品の高級モデルスマホが好まれる韓国の中古端末取引規模は日本と並び世界的に小さい市場であった。しかし、最近の景気停滞の影響もあり韓国の中古端末市場は近年急成長を遂げている。人口5,000万の韓国で中古端末の年間取引規模は1,000万台と推定され、中古端末の多くは海外に輸出される。中古端末取引事業者は中小企業がほとんどであったが市場が有望と見ると最近は大企業の参入が相次いだ。そして、動向が注目されていたサムスン電子が2025年3月末からついに国内中古端末市場への参入を開始した。

    サムスン電子は、オンライン購入後に7日以内で単純な開封や購入者の気が変わった等の理由できれいな状態で返品されたフラッグシップ端末のうち徹底した品質検査で最上位級判定を受けた製品をGalaxy認証中古端末としてオンラインで販売する。対象製品は、キャリアショップ以外のルートで販売されたGalaxy S24シリーズ。これまでは一括廃棄していた返品端末を新品よりも割安に販売することで、多くの消費者にGalaxy AIを体験してもらい、廃棄端末も減らして循環経済にも貢献する。第一弾として発売される中古端末は新品より26~64万ウォン(約7万400円)割安となる。Galaxy認証中古端末は新製品と同様にアフターサービス保証期間は2年で、購入から7日以内の返金も可能。

    一方、新品スマホの販売台数は近年大幅に落ちており、今年は更に、米国トランプ政権の相互関税の影響で新端末価格の高騰も予想される。政府は中古端末利用を促進するため、安心して取引ができる事業者認定制度等を年内にも導入する方針。中古端末市場が拡大すると、これまでキャリアショップで端末割引と紐づいていた高価格通信料金プランの契約数に影響が出ることも予想され、通信キャリアにとってはマイナス材料となりえる。中古端末利用が広がり、実質的な端末購入価格引き下げにつながるか今後が注目される。

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    政府、「バーラト6Gビジョン」に向けた取組みを推進

    政府は、2023年3月に発表した「バーラト6Gビジョン」に基づき、6Gネットワーク技術の設計、開発、展開を進めている。2030年までにインドが6G技術のグローバルリーダーとなることを目指している。
     
    インドはこれまでに、国際電気通信連合(ITU)のIMT-2030の枠組に、6Gの六つの利用シナリオの一つとして「ユビキタス・コネクティビティ」を、6G技術の能力としてカバレッジ、相互運用性、持続可能性を盛り込むことに貢献した。
     
    現在の政府の取組み状況は以下のとおりである。
     
    *6G THzテストベッドとアドバンスト・オプティカル・コミュニケーション・テストベッドの二つのテストベッドに資金を提供し、国内の研究開発とイノベーションを促進。
     
    *2024年度に、国内の学術機関に100の5Gラボを設置し、能力向上と6G対応の学術・スタートアップエコシステムの構築を支援。
     
    *6Gネットワークエコシステムに関する111件の研究提案を承認し、グローバルな6G技術ロードマップに沿った研究とイノベーションを促進。
     
    *国内産業、学術機関、国立研究機関、標準化機関から構成される「バーラト6Gアライアンス」の設立を支援し、「バーラト6Gビジョン」に沿った行動計画の策定を進めている。
     
    *6G無線技術の開発に向けたグローバルな協力を強化するため、主要なグローバル6G同盟と覚書(MoU)を締結。
     
    *ITUのWTSA-24(世界電気通信標準化総会)とインドモバイルコングレス2024と同時開催で、初の国際的な6Gシンポジウムを主催。同シンポジウムでは、業界リーダー、学術関係者、政府関係者が参加し、6G技術における地域的・グローバルな進展を探求。

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国別・地域別トピック

国別・地域別トピック

    • ブラジルブラジル
    • ブロードバンド・ICT基盤整備
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    電気通信庁、通信規制の簡素化・近代化に着手

    ブラジル電気通信庁(Anatel)は2025年4月、通信規制の簡素化・近代化を目的とした「規制簡素化プロジェクト(Projeto de Simplificacao Regulatoria)」を承認した。このプロジェクトは、現在有効な各種の通信規制を整理・統合することで、より明確でイノベーションを促進しやすい制度の構築を目指すものである。

    具体的には、「電気通信サービス一般規則(RGST)」および「実験的規制環境に関する規則」の新設、「無線周波数の一時使用に関する規則」の改定、さらに内部規則の調整などが検討されている。また、形骸化した規則の廃止や、新制度への理解を深めるための用語の統一も視野に入れている。

    さらに、新たな規制として、AIの倫理的かつ責任ある導入、規制の実験的運用、行動科学の通信分野への応用といった先進的な視点も盛り込まれており、OECDなどの国際的ガイドラインに基づいた制度設計が行われている。

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    • EUEU
    • ブロードバンド・ICT基盤整備
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    通信事業者が汎欧州レベルの海底ケーブルのレジリエンス強化を訴え

    欧州主要通信事業者9社(Alcatel Submarine Networks、GlobalConnect、オレンジ、NKT、Proximus、Sparkle、テレフォニカ、テレノール及びボーダフォン)は4月10日、EU政府、英国政府及び北大西洋条約機構(NATO)に連名で公開書簡を送付した。

    書簡の主旨は北海及びバルト海を中心とする海底ケーブルのレジリエンス強化で、欧州の通信網の安全にかかわるすべての機関の意思決定者が、異常事態が発生した場合のより迅速な発見と対応、修復能力の向上で協力することが求められるとしている。

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    • イギリスイギリス
    • 郵便・物流
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    エヴリ、配達員を補助する自律型ロボット配達犬の利用実験を計画

    昨今は、小包を配達する自動運搬車の存在は珍しいものではなくなった。しかし、英国最大の小包配送会社エヴリ(Evri:旧ヘルメスUK)が、テクノロジー系スタートアップ企業RIVRと協力して導入するのは、業界初となる自律型ロボット配達犬(autonomous robot delivery dog/自律走行型車輪付き脚型ロボット)である。2025年夏にバーンズリーで試験運用が予定されている。

    この4足歩行のロボット犬は、AIによるナビゲーション、障害物検知、機敏性などの機能が搭載された高度な自動化により、宅配業者のバンに同乗して家々を回り、このバンから小包を受け取って、顧客の家の玄関まで直接運ぶように設計されており、配達員と協力して小包を配達する。

    エヴリとRIVERの提携によるこの実証実験では、ロボット犬が配達員とどのように連携し、業務の中でも特に重労働となる部分の効率向上を支援できるかについて知見を得ることを目指している。

    RIVERは、この協力により、現代の物流における重大な課題である「ラスト100ヤードのボトルネック」に対処するとしている。

    現在、配達ドライバーは、バンから顧客の玄関までの短距離を移動することに多くの時間を費やしており、近隣の複数の配送拠点を管理することも珍しくない。RIVRの自律型ロボットコンパニオンが、これらの最終段階を担うことでこのプロセスが効率化されれば、ドライバーはより複雑な作業に集中でき、ラスト100ヤードのボトルネックに対する拡張可能なソリューションを実現できる。

    RIVRは、2024年にチューリッヒ工科大学のロボット工学専門家によって設立され、AI駆動型ロボット工学の最前線にあり、ジェフ・ベゾスやHSGなどの投資家から支援を受けている。

    なお、エヴリは、ロボット犬の試験は、同社が荷物配達の未来に向けて実施しているいくつかのロボット試験のうちの一つに過ぎず、バーンズリーでは、間もなく、地元の宅配業者の協力を得て、Delivers AI社の小型軽量EVロボットの配達実験も行う予定だという。

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  • ポーランドの小包ロッカー事業者インポスト(InPost)は、英国の小包配達業者ヨーデル(Yodel)を1億ポンドで買収すると発表した。インポストは、ヨーデルの親会社ジャッジ・ロジスティクス(Judge Logistics Ltd)の株式95.5%を買収することで合意した。決済事業者のペイポイント(PayPoint)は、すでに保有しているヨーデルの株式4.5%を引き続き保有する。

    インポストとヨーデルは昨年末、「小包ロッカーから発送された小包を戸口配達する」サービスを通じて協力を開始し、ヨーデルがインポストの小包ロッカーから顧客の自宅までの小包の配達を担当していた。

    インポストは今回、年間約1億9,000万個の小包を扱うヨーデルを買収することで、英国での市場シェアが約8%に拡大するという。インポストによれば、配達サービスと小包ロッカーサービスを統合することにより、同社は英国の電子商取引市場で、ロイヤルメールとエヴリに次ぐ(アマゾンを除く)第3位の独立系配達会社となる。

    ヨーデルは、2023年頃から所有者の財政難による売却が検討され、紆余曲折の後、2024年6月にジャッジ・ロジスティクスに買収された。インポストは2024年10月から、ヨーデルとの提携を開始したが、2025年年明け以降、各社がヨーデル買収を検討する中、インポストとしても、ヨーデルを獲得すれば配達を社内で行えるようになるため、小包ロッカーへの時間どおりの配達ができるようになると考え、2024年11月頃から、ヨーデルへの投資(資金援助)を行ってきていた。この見返りとしてヨーデルを買収するオプションを持っており、これを4月に行使する可能性があると見られていた。

    インポストは2025年2月に、新しいコンセプトの消費者間(C2C)配達サービス「センド(Send)」の開始を発表している。これは、小包ロッカーやコンビニエンスストアなどに小包を持ち込んで小包を発送し、小包ロッカー、宅外受取所、または受取人の家の玄関先に直接配達されるというもの。

    なお、インポストは、今年中にフランスでも戸口配達サービスを開始する意向を示しており、小包配達ネットワークにロッカー事業が深く浸透してきたこの時期、ロッカー事業者の方から配達市場に乗り込もうとする状況が出現している。

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    Equity、クリエイティブ・ワーカーのためのAIマニフェストを発表

    英国の舞台芸術・芸能労働組合(the performing arts and entertainment trade union)であるEquityは2025年3月2日、他の組合と共同でクリエイティブ・ワーカーのためのAIマニフェストを発表した(注1)。マニフェストは、著作権法を尊重し、実演家や芸術家の「作品の盗用」を阻止するための新たな権利等を求めている。
     
    生成AIがエンターテインメント業界を変革し続ける中、AIの基礎モデルの「トレーニング」に使用可能な権利保護されたコンテンツへのアクセスに対して、AI開発者からの需要が高まっている。コンテンツ所有者は、AI企業とライセンス契約を結ぶことで、当該需要に対応している(注2)。しかし、組合員のなかには、ライセンス契約に同意することを拒否して職を失ったケースや、組合員の許諾や報酬もなくAI音声プラットフォームによって使用されているケースが報告されている。
     
    Equityは、AI開発者による権利保護されたコンテンツの新たな利用は、実演家の財産権や適用されるデータ保護法を十分に尊重し、認識した上で行われるよう、緊急に利害関係者間で協議する必要があると述べている。当該協議には、制作会社、放送事業者、ストリーミング・プラットフォーム、スタジオ、ビデオゲームやオーディオのパブリッシャー、ビデオゲームの開発者やベンダー、レコード会社、広告代理店、その他実演家の権利が存続し、実演家が特定できるコンテンツを所有又は管理するあらゆる事業体が含まれる。
     
    AIマニフェストが求めている新たな権利等は以下のとおり。
     
    • 自分のデータや画像が使用されているかどうかをワーカーが確実に把握できるようにするための、AIトレーニングデータの透明性。
    • AIが生成した作品と人間が創作したコンテンツとの区別を維持するための、ソースの引用とコンテンツのラベリング。
    • ワーカーの許諾と同意がない場合に、商業的なデータマイニングからクリエイティブな作品を保護するためのオプトインシステム。
    • クリエイティブな作品がAIモデルのトレーニングに使用された場合の、当該作品に対する過去と将来の流用も含めたクリエイティブ・ワーカーへの公正な報酬の支払い。
    • 許可なく画像や音声を使用する「ディープ・フェイク」からクリエイティブ・ワーカーを保護するための新たな肖像権。 
    • クリエイティブ産業ワーカーが、作品における著作者又は実演家として帰属する権利の強化。
    • クリエイティブ・セクターを含む社会や作品への人工知能の統合を監督及び規制する独立した規制機関。
    • クリエイティブ・ワーカー、労働組合、技術者を結集し、技術への参加と関与の新時代の到来を告げる新たなクリエイティブ産業AIタスクフォース。
     
    (注1)
    https://www.equity.org.uk/news/2025/equity-calls-for-stronger-ai-protections-for-creative-workers
    (注2)
    https://www.equity.org.uk/advice-and-support/know-your-rights/ai-toolkit/equity-s-open-letter-to-the-industry-on-ai-training
     

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  • 英国下院の文化・メディア・スポーツ委員会は2025年4月10日、「英国の映画及びハイエンドTV(British film and high-end Television)」に関する報告書を公表した(注1)。本報告書では、英国を映画やハイエンドTVを制作するのに最も優れた国にするという政府の目標を実現するには、緊急の支援策が必要であると指摘されている。ハイエンドTV(HETV)とは、ドラマ、コメディー又はドキュメンタリーの制作において、番組1時間あたりの委託制作費が100万ポンド以上のものを指す。

    文化・メディア・スポーツ委員会は本報告書において、緊急支援策の一つとして、英国で運営されている全てのサブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド(SVoD)プラットフォームに対して、英国内のサブスクリプション収入の5%を、英国映画協会(British Film Institute:BFI)が管理する文化基金に納付し、国内のHETV制作を支援することを提案している。当該基金は業界が自主的に設立すべきであるが、12か月以内に設立されない場合や遵守が不十分な場合には、政府が法令に基づきストリーミング税(streaming levy)を導入すべきであると提案されている。

    (注1)
    https://publications.parliament.uk/pa/cm5901/cmselect/cmcumeds/328/report.html

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    • フランスフランス
    • クラウド、ビッグデータ、電子政府
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    最近5年間のGAFAMのロビー活動ではグーグルがトップ

    仏政府下の「公的活動透明性審査高等評議会(HATVP)」は4月3日、2020~2024年の米巨大プラットフォームの仏政府へのロビー活動に関する報告書を公開した。GAFAMと呼ばれる大手5グループが5年間に提出した意見書の総数は533件で、内訳は、グーグル:247、アマゾン:118、Facebook:85、マイクロソフト:56、アップル:27であった。意見書の内容は主に「欧州デジタルサービス法」「欧州デジタル市場法」の国内法制化におけるペアレンタル・コントロール導入や対サイバー攻撃に関するものであった。

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    • スペインスペイン
    • ブロードバンド・ICT基盤整備
    • 国別・地域別トピック

    政府、2021年ユニバーサルサービス費用の事業者負担の割当てを決定

    国家市場競争委員会(CNMC)は2025年4月16日、2021年度のユニバーサルサービス費用に関する事業者負担金の割当額を決定した[1]。「一般電気通信法」ではユニバーサルサービスとして「一定の品質を有し、地理的条件にかかわらず、利用可能な価格で、すべての利用者が利用できる」通信サービスを提供することが規定されており、通信事業者が、同サービスの提供に投じられた費用を、ユニバーサルサービス基金に拠出する形で負担することが義務化されている。また、CNMCは各年のユニバーサルサービス費用を年度終了後に算出し、各通信事業者に対し負担額を割り当てることを決定している。
     
    2021年のユニバーサルサービスの内容は、1)採算が見込めない地域における固定電話・1Mbps以上の固定インターネット接続、2)身障者への便宜サービス(例:点字請求書)、3)低所得層の退職者・年金受給者に対する割引料金(特別料金・定額料金)での通信接続、4)公衆電話であり、CNMCは、2024年7月に同サービス費用を864万2,135EURと算出[2]。今回の決定では、年間売上100万EUR以上の通信事業者20社に対し費用負担を割り当てた(表1参照)。これらの内15社は、テレフォニカ、ボーダフォン、MasOrangeの主要通信企業グループに属する通信事業者であり、費用総額の95%がこれらの主要グループの事業者で占められている(テレフォニカ傘下:45%、ボーダフォン傘下:17%、MasOrange傘下:36%)。
     
    なお、2021年のユニバーサルサービス費用は2020年の約982万EURよりも118万EUR減となっており、2012年の2,143万EURと比較して大幅に減少している。デジタルデバイド政策によるサービス未提供地域の縮小やネットワーク敷設コストの低減などが要因とされている。また、ユニバーサルサービスとして提供されるサービス内容も、通信サービスの多様化・高度化に応じて変化しており、2022年に公衆電話は対象外とされ、2023年以降には、採算が見込めない地域における固定インターネット接続は10Mbps以上となる。
     

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    • インドネシアインドネシア
    • モバイル
    • 国別・地域別トピック

    XLアシアタとSmartfrenが正式合併

    2025年4月16日、移動体通信事業加入数3位のXLアシアタと4位のSmartfrenが正式に合併した。新社名はXL Smart Telecom Sejahtera (XLSmart)とし、マレーシアのアシアタ・グループの傘下のXLアシアタとSmartfren大株主だったインドネシアのシナール・マス財閥が34.8%ずつ株式を保有する。新会社は、国内第三位の9,450万の移動体通信加入を保有し、国内二位の152MHz幅の周波数帯域を保有する。

    通信デジタル省は6か月をかけて合併を審査し、合併後にインターネット接続速度を2029年までに19%上昇させる、未設置地域を中心にBTSを8,000基整備する、デジタルアクセスを増大させるといった義務付けを行った。

    インドネシア移動体通信市場は、国内最大事業者子会社のTelkomcel、大手2社の合併によってできたIndosat Ooredoo Hutchsonと新会社に収れんした形となり、高速網のカバレッジや提供サービスの内容に競争の重心が変化するとみられる。

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    • インドネシアインドネシア
    • セキュリティ、プライバシー
    • 国別・地域別トピック

    17歳以下の年少者に関するオンライン保護規制の発効

    2025年3月、オンラインいじめやギャンブルに関連して、かねてより議論が続いていた「児童保護のための電子システム事業者のガバナンス規制」に大統領が署名を行い、即時発効した。

    規制では、17歳以下の児童について、有害なコンテントから保護することを主眼としている。有害なコンテントは、ポルノ、暴力、依存をもたらす物品等(例えば薬物、オンライン・ギャンブル)、心理的な障害をもたらすものとしている。注目点は、年少者のSNSの使用を禁じることである。また、規制は、児童本人や保護者ではなく、提供事業者に強くかけられる。

    実際の規制は開始されておらず、この大統領規制を受けた省令で定められる。本規制が広く網掛けをした形になったため、今後も実施に向けた議論は続く。たとえば、新規制に示された児童の個人情報保護やデータのトラッキングをめぐっては、既に施行されている電子情報及び移転に関する法、個人情報保護法といった現行法とのすり合わせも必要とする。許可なくデータによる児童のプロファイリングもできなくなるため、事業者はマーケティングに利用するための方策を検討する必要がある。各事業者は、自らのコンテンツについて「自己評価」を行い、規制当局に届けることになるが、その客観的な方法なども大きな課題である。

    様々な思惑もあり、MetaやTiktokといった大手事業者が政府に対する緊密な協力を申し出ている。

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