英国オックスフォード大学のロイター研究所が2024年6月に「ロイター・デジタルニュースレポート2024」を公表した。これは世界47か国・地域の約10万人を対象に実施したニュース消費調査の結果をまとめたもので、主な内容は以下のように整理される。
<ニュース離れの進行>
ニュースへの関心はフィンランドを除くすべての国・地域において長期減少傾向にあり、特に女性や若者による関心低下が著しい。選択的に特定のニュースを回避する人の割合は39%に上り、前年比3ポイント増、2017年比10ポイント増を記録した。ニュースを回避する理由としては、繰り返しが多く退屈、ネガティブな情報で不安感と無力感に苛まれる、情報量が多く辟易する等が挙がった。
<ニュース入手経路の多様化>
ニュースにアクセスするために報道機関のウェブサイトやアプリを利用している人の割合は22%(2018年比10ポイント減)で、過半数がソーシャルメディアや検索エンジン、アグリゲーターといった第三者のオンラインプラットフォームを利用している。若年層ではニュース関連動画の視聴が人気だが、それら動画の72%も第三者のオンラインプラットフォーム上で視聴されている。報道機関は収益化やユーザーエンゲージメントの面で課題を抱えている。
<AI利用やフェイク情報への懸念>
回答者の約半数がニュース制作でのAI利用について懸念を示した。特にハード(硬派)ニュースへの懸念は高く、46%が政治ニュース、43%が犯罪ニュース、37%が地域ニュースでのAI利用に不安を感じている。また、AIによるディープフェイクが増加するなか、59%がオンライン上のニュースの真偽について疑惧している。特に今年5月に総選挙を実施した南アフリカ(72%)や11月に大統領選挙を控える米国(81%)ではその割合が高かった。