国家市場競争委員会(CNMC)は2025年4月16日、2021年度のユニバーサルサービス費用に関する事業者負担金の割当額を決定した
[1]。「一般電気通信法」ではユニバーサルサービスとして「一定の品質を有し、地理的条件にかかわらず、利用可能な価格で、すべての利用者が利用できる」通信サービスを提供することが規定されており、通信事業者が、同サービスの提供に投じられた費用を、ユニバーサルサービス基金に拠出する形で負担することが義務化されている。また、CNMCは各年のユニバーサルサービス費用を年度終了後に算出し、各通信事業者に対し負担額を割り当てることを決定している。
2021年のユニバーサルサービスの内容は、1)採算が見込めない地域における固定電話・1Mbps以上の固定インターネット接続、2)身障者への便宜サービス(例:点字請求書)、3)低所得層の退職者・年金受給者に対する割引料金(特別料金・定額料金)での通信接続、4)公衆電話であり、CNMCは、2024年7月に同サービス費用を864万2,135EURと算出
[2]。今回の決定では、年間売上100万EUR以上の通信事業者20社に対し費用負担を割り当てた(表1参照)。これらの内15社は、テレフォニカ、ボーダフォン、MasOrangeの主要通信企業グループに属する通信事業者であり、費用総額の95%がこれらの主要グループの事業者で占められている(テレフォニカ傘下:45%、ボーダフォン傘下:17%、MasOrange傘下:36%)。
なお、2021年のユニバーサルサービス費用は2020年の約982万EURよりも118万EUR減となっており、2012年の2,143万EURと比較して大幅に減少している。デジタルデバイド政策によるサービス未提供地域の縮小やネットワーク敷設コストの低減などが要因とされている。また、ユニバーサルサービスとして提供されるサービス内容も、通信サービスの多様化・高度化に応じて変化しており、2022年に公衆電話は対象外とされ、2023年以降には、採算が見込めない地域における固定インターネット接続は10Mbps以上となる。