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2025.07

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国際郵便の「到着料制度」変更の背景
国際郵便には「到着料(Terminal dues)」という制度が存在する。これは、国連の専門機関である万国郵便連合(UPU)が定めた国際郵便の手紙および小包に対する報酬制度(remuneration system)である。宛先国の指定事業者が、送信元の指定事業者から受け取った郵便物の取り扱い、輸送、配達に関連する費用を補償されることを保証するものだが、発展途上国が支払う到着料は、先進国に比べて安く設定されるのが通例となり、国際郵便取引に関わるあらゆる要素と複雑さを考慮した公平な方式を見出すことは、半世紀にわたり、難しい問題となってきた。

2016年の第26回万国郵便大会議(総会)で成立した到着料の制度内容は、2018年から2021年の期間に適用されるはずであったが、2018年10月17日に、米国のトランプ政権が、現状の制度に不満を表明し、UPUから脱退する意向を発表した。UPUでは、2019年9月25日の臨時大会議で、途上国が小型荷物を安価に国外に発送できる現行の料金制度を改革することで合意したことで、10月にも米国がUPUから離脱する可能性があったが、これは回避された。合意では、かさばる手紙や小さな包みといったいわゆる小型包装物(Eフォーマット料金と呼ばれる)の料金を改定し、これらの料金の各国の自己申告を承認することとし、2段階で導入された。まず、アメリカが先行し(2020年7月1日)、2021年1月1日からは、すべての加盟国は自己申告のEフォーマット料金を導入する選択肢を持つこととなった。自己申告制の配達補償金には、当初、同等サービスの国内料金の70%という上限が設けられている。

2021年8月、UPUは第27回大会議で「アビジャン世界郵便戦略」を採択。「統合型到着料制度(Integrated Remuneration System:IRS)」が新たに採択された。新しいIRSは、2019年の決定(上記。小形包装物の到着料を見直し、一定の制限・条件の範囲内の料率の自己申告制を導入する)に基づいている。IRSの規定と料率は2022年1月に発効した。

UPUは、2026年から2030年まで適用されるIRSのための提案を、2025年にドバイで開催される第28回大会議に提出することになる。