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2025.07

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エヴリ、DHLグループの英国電子商取引向け事業「DHL eコマースUK」と合併
英国の小包配達会社エヴリ(Evri:旧ヘルメスUK)は5月14日、ドイツの郵便・物流大手DHLグループが英国で展開する電子商取引(EC)向け宅配部門「DHL eコマースUK」との合併を発表した。もともと英国の電子商取引市場でロイヤルメールに次ぐ第2位の地位にあるエヴリであったが、新会社「エブリ・グループ」は、国内最大規模の宅配会社となる見通し。

エヴリがコストパフォーマンスの高い配送網を提供する一方、DHL eコマースUKは貴重品配送サービスに強みを持っており、両社は互いのサービスを補完できる。新エヴリでは、DHLの貴重品配送サービスを「エヴリ・プレミアム」としてリブランドし、企業間(B2B)と企業対消費者間(B2C)の貴重品・大型品小包を迅速かつ安全に時間厳守で配達する独立したネットワークとして存続させる。

さらに、エヴリはDHL eコマース側の郵便部門UKメールを新グループに統合し、英国の郵便市場に参入する。これにより、同社は電子商取引企業に、軽量品配達サービスの選択肢をより多く提供できるようになる。

今回の戦略的提携を受けて、DHLグループはエヴリの少数株主となるが、エヴリの株式は、引き続きプライベートエクイティ会社アポロ(Apollo)によって過半数が所有される。アポロは昨年7月、アドベント・インターナショナル(Advent International)とドイツのオットー・グループ(Otto Group)からエヴリの全株式を27億ポンドで取得したと報じられている。

エヴリのマーティン・デランゲ最高経営責任者(CEO)が新会社を率い、DHL eコマースUKのスチュアート・ヒルCEOはエヴリ・プレミアム事業の責任者に就任する。

取引成立には、英競争・市場局(CMA)の承認が必要で、同庁は6月10日にこの調査を発表し、関係者に対して6月25日までに意見を提出するよう呼びかけた。その後、CMAは正式に調査を開始する。なお、その他のDHLグループ英国事業(DHLエクスプレス、DHLサプライチェーン、DHLグローバルフォワーディング)は、今回の取引の影響を受けない。

今回の合併発表は、経営難に陥っていたライバル会社ヨーデル(Yodel)をインポスト(InPost)が買収してからわずか数週間後に発表された。(一方、4月のインポストによるヨーデルの買収は、以前のヨーデル株式保有者が高等法院に仮差し止めを申し立て、一時停止が発生したものの、この仮差し止め請求は、6月に高等法院が棄却した。)

エヴリは、英国でカタログ配送会社のパーセルネット(Parcelnet Ltd)として誕生し、配送網を拡大していたが、2006年の英国郵便市場全面開放後、2008年にドイツのオットー(Otto Group:カタログ通販会社。配達会社ブランド名ヘルメス)と姉妹会社化し、英国に参入していた蘭郵便事業者TNTポスト(TNT Post)の宅配事業を買収、2009年にブランド名をパーセルネットからヘルメスUKに改称した。2020年8月にはオットー・グループがヘルメスUKの株式の過半数(75%)を米国の投資会社アドベント・インターナショナル(Advent International)に売却し、2022年3月に、ブランド名をヘルメスUKから現在のエヴリに変更している。その後2024年夏に、エヴリは米国のプライベートエクイティ会社アポロ(Apollo)に、(過半数株主のアドベントと少数株主のオットー・グループから)27億ポンドで100%売却された。