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2025.07

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トランプ政権が公共放送への圧力強化、予算撤回法案を議会に提出
トランプ政権は、「急進的かつ政治的で、ウォーク(woke:社会的意識が高い)プロパガンダ的な報道を行っている」として、公共放送システムへの締め付けを強化している。今年4月には公共放送の財源管理を担う公共放送機構(CPB)の理事3名を解任し、5月にはラジオ放送を実施する全国公共ラジオ(NPR)とテレビ放送を実施する公共放送サービス(PBS)への連邦政府資金の提供を停止する大統領令を発令したが、6月に入ってからもその勢いは失われていない。

同政権は6月3日、総額94億ドルに上る予算撤回法案を連邦議会に提出し、国際開発局(USAID)等による対外援助プログラムの予算83億ドルと、CPBの予算11億ドルの撤回を提案した。法案が成立すれば、CPBは2026~2027年度予算を事実上全額返還することになる。政権は今回の措置について、裁量的支出を削減し、政権が「イデオロギー的に偏向している」あるいは「必須ではない」と見なすプログラムを廃止するためのものだと説明している。予算撤回法案は、同月12日に賛成214・反対212の僅差で議会下院にて可決済。賛否は党派で割れたが、4人の共和党議員が民主党議員208人とともに反対に回った。法案は今後、53対47で共和党が過半数を占める上院に送られる。

なお、4月のCPB理事解任については、「大統領は理事解任権限を持たない」としてCPBが仮差止請求訴訟を提起した。コロンビア特別区連邦地方裁判所は6月8日、CPBが自らの主張を十分に証明できていないとして仮差止請求を却下しつつも、CPBの独立性を認める判決を下した。また、5月の大統領令についても、NPRとPBSがそれぞれにトランプ政権を提訴している。両機関は、公共放送の財源の一部である連邦政府資金は連邦議会によって直接承認されたものであり、大統領権限が及ぶものではないと主張している。