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2023.12.14

  • ICTワールドニュース
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【EU】メタの「支払うか同意するか(Pay or Consent)」、欧州消費者団体からはEU消費者保護ルールに、データ保護活動団体からはGDPRに違反するとして苦情申立て

欧州消費者機構(BEUC)及びその会員19者は加盟国の消費者センター(ECC)のネットワークと共に、11月30日、欧州におけるメタのフェイスブック・インスタグラムの広告無しの有料定期購読オプションがEUの消費者保護ルールに違反するとして欧州委員会に苦情を申立てた。なお、BEUC他は本事案が「EU一般データ保護規則(GDPR)」違反に該当するかについても精査中としている。

メタはEU域内において、2023年11月から、フェイスブック・インスタグラムのユーザに対し、同社による広告目的のデータ処理に同意をした場合にはサービスを無料で、同意しない場合にはサービスを有料で提供するという選択肢を提示している。ユーザは、どちらかの選択肢を選ばなければサービスを継続して利用することができない。消費者団体は、これがユーザにとって不公正な選択肢であるとして、今回の訴えを起こした。具体的に消費者保護ルール違反として挙げられているのは次の四点。

*ユーザがどちらかの選択肢を選ぶまでサービスの利用を停止する行為は、EU消費者保護ルールの攻撃的な行為(Aggressive Practice)を構成し、切迫感を煽ることで消費者が望まないかもしれない選択を採るよう追い込んでいる。
*有料のオプションを採ったとしてもメタによる広告以外の目的による個人データの収集・処理が継続するにも関わらず、消費者は追跡やプロファイリングの少ないプライバシーに配慮した選択肢を採ったと誤解をすることが予見される。
*メタは有料と無料の選択肢を提示することであたかも「無料」の選択肢では対価が発生しないように見せているが、実際にはユーザは自身の「個人データ」を提供することで対価を払っているいるため、メタはユーザに対してミスリーディングで不完全な情報しか提供していない。
*EUにおけるフェイスブック・インスタグラムの市場支配力及びソーシャルメディアプラットフォームの強力なネットワーク効果を考慮すると、ユーザには実質的にはメタのサービスを使い続けるという選択肢しか残されておらず、高額な購読料を加味すると有料オプションを採るという選択肢も非常に限定されている。

これに先立ち、データ保護活動団体NOYBは11月28日、同じくフェイスブック・インスタグラムの広告なしの定期購読オプションについて、「EU一般データ保護規則(GDPR)」違反を構成するとしてオーストリアのデータ保護当局(DPA)に苦情を申立てている。NOYBは、メタの広告無しオプションが高額であることから、メタによる「支払うか同意するか(Pay or Okay)」システムに基づくユーザの広告付きサービスへの同意が、GDPR上有効な自由意志に基づく同意を構成しないと主張している。そして、メタの「支払うか同意するか(Pay or Okay)」のアプローチが求められた場合、ドミノ効果を引き起こす可能性が高く、既に米国外で広告なしの定期購読オプションをテストしていると報じられているTikTokをはじめ他のオンラインサービス提供者が追随し、オンラインプライバシーが金を持たざる者の手の届かないものになる恐れがあるとした。