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    国際郵便の「到着料制度」変更の背景

    国際郵便には「到着料(Terminal dues)」という制度が存在する。これは、国連の専門機関である万国郵便連合(UPU)が定めた国際郵便の手紙および小包に対する報酬制度(remuneration system)である。宛先国の指定事業者が、送信元の指定事業者から受け取った郵便物の取り扱い、輸送、配達に関連する費用を補償されることを保証するものだが、発展途上国が支払う到着料は、先進国に比べて安く設定されるのが通例となり、国際郵便取引に関わるあらゆる要素と複雑さを考慮した公平な方式を見出すことは、半世紀にわたり、難しい問題となってきた。

    2016年の第26回万国郵便大会議(総会)で成立した到着料の制度内容は、2018年から2021年の期間に適用されるはずであったが、2018年10月17日に、米国のトランプ政権が、現状の制度に不満を表明し、UPUから脱退する意向を発表した。UPUでは、2019年9月25日の臨時大会議で、途上国が小型荷物を安価に国外に発送できる現行の料金制度を改革することで合意したことで、10月にも米国がUPUから離脱する可能性があったが、これは回避された。合意では、かさばる手紙や小さな包みといったいわゆる小型包装物(Eフォーマット料金と呼ばれる)の料金を改定し、これらの料金の各国の自己申告を承認することとし、2段階で導入された。まず、アメリカが先行し(2020年7月1日)、2021年1月1日からは、すべての加盟国は自己申告のEフォーマット料金を導入する選択肢を持つこととなった。自己申告制の配達補償金には、当初、同等サービスの国内料金の70%という上限が設けられている。

    2021年8月、UPUは第27回大会議で「アビジャン世界郵便戦略」を採択。「統合型到着料制度(Integrated Remuneration System:IRS)」が新たに採択された。新しいIRSは、2019年の決定(上記。小形包装物の到着料を見直し、一定の制限・条件の範囲内の料率の自己申告制を導入する)に基づいている。IRSの規定と料率は2022年1月に発効した。

    UPUは、2026年から2030年まで適用されるIRSのための提案を、2025年にドバイで開催される第28回大会議に提出することになる。

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    T-Mobile、7月23日よりT-Satelliteサービスを全国で開始

    T-Mobileは、6月23日、1か月後の7月23日からT-Satelliteの商用サービスを本土48州で開始することを明らかにした。

    これは、イーロン・マスク氏が率いるStarlinkとの提携によるもので、両社は2022年8月から、地上から携帯電話がつながらないエリア、いわゆるモバイルデッドゾーンを永久になくすという目標の下で協力していた。

    T-Mobileによると、米国では従来のセルタワーではカバーできないエリアは50万平方マイル以上になるという。

    T-Satelliteにより、T-Mobileは、過去4年間に製造されたほとんどのスマートフォンに特別な機器や設定なしで自動的に接続する衛星-モバイルネットワークを持つ米国初で唯一の無線プロバイダとなる。

    対応するStarlink衛星は既に657基以上が軌道上に配備されており、T-Satelliteのベータプログラムには、VerizonとAT&Tの顧客数万人を含む、約180万人のユーザー参加、100万通以上のテキストメッセージが、国立公園や油田地帯から国の片隅に至るまで、地上プロバイダが到達できない地域から送信されている。さらに、この送信されたメッセージの3倍以上のメッセージが受信されている。

    商用サービス開始時には、T-Satelliteは、AndroidとiOSの加入者向けのSMSに加え、Android向けのMMS、ピクチャーメッセージング、ショートオーディオクリップをサポートする。iOSも順次、これら機能をサポートする予定となっている。

    また、10月1日からは、データ・ベースのサービスも開始される予定で、今後、AccuWeather、AllTrails、Apple、Google、WhatsApp、Xなどの衛星対応アプリが登場する予定となっている。

    T-Satelliteベータ参加者は、T-MobileのExperience Beyondプラン加入者は追加料金なしで引き続き利用できる。また、AT&TやVerizonのユーザを含むそれ以外のすべてのベータ参加者は、このサービスを5ドル割引となる月額10ドルで期間限定で利用できる。

    また、商用サービス開始時には、衛星経由の緊急通報911テキストサービスにも対応する予定で、今年後半には、キャリアやサービスに加入しているかどうかにかかわらず、互換性のあるデバイスを持つすべてのモバイル顧客に対して、衛星911テキストサービスを提供する予定。

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    トランプ政権が公共放送への圧力強化、予算撤回法案を議会に提出

    トランプ政権は、「急進的かつ政治的で、ウォーク(woke:社会的意識が高い)プロパガンダ的な報道を行っている」として、公共放送システムへの締め付けを強化している。今年4月には公共放送の財源管理を担う公共放送機構(CPB)の理事3名を解任し、5月にはラジオ放送を実施する全国公共ラジオ(NPR)とテレビ放送を実施する公共放送サービス(PBS)への連邦政府資金の提供を停止する大統領令を発令したが、6月に入ってからもその勢いは失われていない。

    同政権は6月3日、総額94億ドルに上る予算撤回法案を連邦議会に提出し、国際開発局(USAID)等による対外援助プログラムの予算83億ドルと、CPBの予算11億ドルの撤回を提案した。法案が成立すれば、CPBは2026~2027年度予算を事実上全額返還することになる。政権は今回の措置について、裁量的支出を削減し、政権が「イデオロギー的に偏向している」あるいは「必須ではない」と見なすプログラムを廃止するためのものだと説明している。予算撤回法案は、同月12日に賛成214・反対212の僅差で議会下院にて可決済。賛否は党派で割れたが、4人の共和党議員が民主党議員208人とともに反対に回った。法案は今後、53対47で共和党が過半数を占める上院に送られる。

    なお、4月のCPB理事解任については、「大統領は理事解任権限を持たない」としてCPBが仮差止請求訴訟を提起した。コロンビア特別区連邦地方裁判所は6月8日、CPBが自らの主張を十分に証明できていないとして仮差止請求を却下しつつも、CPBの独立性を認める判決を下した。また、5月の大統領令についても、NPRとPBSがそれぞれにトランプ政権を提訴している。両機関は、公共放送の財源の一部である連邦政府資金は連邦議会によって直接承認されたものであり、大統領権限が及ぶものではないと主張している。

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    英国政府、「英国10か年インフラ戦略」を発表

    英国政府は2025年6月19日、「英国10か年インフラ戦略(UK Infrastructure: A 10 Year Strategy)」を発表した(注1)。これは、政府がインフラに投資し、「資金が効果的かつ効率的に使われること」を保証するための長期計画を示しており、「プロジェクトの計画と実施方法に関する新たなアプローチを示す」ものである。政府は今後10年間で少なくとも7,250億ポンドを経済及び社会インフラに資金を投入する。当該インフラには、住宅、交通、水道、クリーンエネルギー、原子力エネルギー、学校、病院、デジタルコネクティビティ(「プロジェクト・ギガビット」を通じた高速インターネットアクセスへの継続的な投資)などが含まれる。

    本戦略は、良質な雇用を創出して人々を結び付け、新しい住宅や地域コミュニティを支援し、人々が不可欠な公共サービスに依存できることを保証し、変化する世界に対応できるレジリエンスを提供することで、英国のあらゆる地域で生活水準を向上させるという政府の成長ミッションを実現するための中核を成すもの。英国におけるインフラ投資は、あまりにも不安定で低水準であり、生産性と賃金が阻害され、その実現には時間とコストがかかっていた。政策と実施の両面において、セクター間を超えて、政府と産業間の調整が不十分であった。これを実現するには、新たなアプローチが求められていた。

    英国10か年インフラ戦略では、政府は過去の失敗を修正するためにこれまでと異なる方法を採用し、短期的な発表よりも長期的な成果を優先し、投資を誘致するために必要な確実性と安定性を提供し、英国のサプライチェーンと雇用を促進し、あらゆる種類のインフラの計画と実施を改善するために統合的な視点を取り入れている。

    本戦略では国家インフラ・サービス変革局(National Infrastructure and Service Transformation Authority:NISTA)が中心的な役割を果たしており、2025年7月に新たな「インフラ・パイプライン」を策定する予定である。

    (注1)
    https://www.gov.uk/government/publications/uk-infrastructure-a-10-year-strategy

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    • 韓国韓国
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    李在明新政権のICT政策方向

    尹錫悦大統領の罷免により6月3日の大統領選挙の結果、翌日に李在明大統領の就任式が行われた。通常は大統領選後、約2か月間の政権引き継ぎ準備期間を経て大統領就任式を行い新政権が発足するが、今回は政治的混乱を早期収拾するため、大統領の引継ぎ期間を後回しにして就任式を先にするという異例の方式となった。そのため、新政権の具体的政策や体制を今後2か月で固めて今後発表することとなる。

    選挙期間中に届け出た大統領選公約を見ることで新政権のICT政策の方向性の大筋を把握できる。全体を通して実利主義と経済に重きを置く李在明氏は、経済・産業分野公約では次の二つを目標に掲げており、前政権から引き続きAIを経済成長の中心軸に据えた。

    *AI等新産業集中育成を通じ新たな成長基盤構築
    *K-コンテンツ支援強化でグローバルビッグ5文化強国実現

    AIトップ3国入りを目指すため、AI予算増額、GPU 5万枚以上確保、「みんなのAI」プロジェクト推進と規制特例によるAI活用産業活性化を進める。コンテンツ分野ではKカルチャーグローバルブランド化を通じた文化輸出増、制作全段階への国の支援強化とOTT等Kカルチャープラットフォーム育成等を掲げる。ベンチャー投資市場育成で4大ベンチャー強国入りを目指す。

    放送分野公約では、政党に縛られがちな放送通信委員会の限界克服のため放送映像メディア関連法制整備、公共放送の政治的独立保障に向けた制度整備、放送の報道・制作・編成の自主性保障等が盛り込まれた。また、信頼できるメディア環境整備に向けて、反憲法的・反社会的コンテンツに対するプラットフォームの責任制を強化する方針。

    また、歴代政権が力を入れてきた通信料金引き下げ政策についてはまだ具体的な発表は無いものの、税額控除や新形態の料金プラン導入による負担軽減というこれまでとは違う形を検討している模様。省庁再編の有無についても現時点ではまだ明らかにされていない。このような点に着目しながら、特に経済面での手腕発揮が期待される新政権の具体的な施策の発表に注目したい。

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    • ベトナムベトナム
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    テレグラムへの接続をブロックするよう政府が電気通信事業者に通達

    科学技術省(2月に旧科学技術省と情報通信省が合併)は、6月からテレグラムをブロックするよう各通信事業者に通達を出した。科学技術省によると、9,600のテレグラムのグループのうち68%がベトナム法に触れたり、詐欺に関与したり、薬物の違法取引に関与しているという公安省からの報告を受け、サイバーセキュリティの観点から、ブロックするとしている。

    5月23日にはテレグラム側が、政府から5月27日までに、新たに出された電気通信関連規制によって定められた標準サービス告知手続に従って対応するよう求められているとコメントを出している。ロイターによると、政府関係者は政府が犯罪捜査の一環として求めたデータをテレグラムが提出しなかったことが、本件につながっているとしたようである(1)。

    エンド・トゥ・エンドの秘匿性の高いアプリとしてテレグラムは利用者を拡大しており、情報流通について敏感なベトナム政府は、その利用法について正面から切り込んだ形となる。なお、2024年のSeasiaの統計によるとベトナムでのテレグラム利用者数は約1,180万で世界7位にカウントされている(2)。

    テレグラムに対しては、6月19日にマレーシアでも二つのグループで違法に当たるコンテンツを流通させているとして、規制機関の通信マルチメディア委員会が、裁判所の削除命令を取得している。

    (1) https://www.reuters.com/sustainability/society-equity/vietnam-acts-block-messaging-app-telegram-government-document-seen-by-reuters-2025-05-23/
    (2) https://seasia.co/infographic/top-telegram-users-by-country-2024

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国別・地域別トピック

国別・地域別トピック

    • アメリカアメリカ
    • 郵便・物流
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    郵便料金改正、年1回超えの変更が制限される可能性

    郵便規制委員会(PRC)は、現行の料金制度が法定の目的を達成していないと判断し、その見直しと変更を求めている。これは、2025年6月9日付の規則制定に関する命令第8892号で明らかになった。

    PRCは、現行の料金設定システムが39 U.S.C.§3622(b)に定められた目的を満たしていないと判断した。この判断に基づき、PRCは39 U.S.C.§3622(d)(3)の規定に従い、料金設定システムの変更または代替システムの導入を段階的に検討するアプローチを採用することとした。

    このアプローチでは、PRCが複数の規則改正案を段階的に公示することで、比較的単純な変更は迅速に実施し、より複雑で慎重な検討を要する変更は別途扱うことが可能となる。

    その第一弾として、PRCは以下の2つの変更案を提示した。1つ目は、USPSが市場支配的商品の郵便料金を年間1回を超えて調整することを制限すること。2つ目は、USPSがワークシェア割引を「回避可能コスト」からより離れた水準で設定することを制限する内容である。

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    • EUEU
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    欧州委員会による「EU国際デジタル戦略」

    欧州委員会は6月5日、新たに「EU国際デジタル戦略」を公表した。同戦略の主な目的は、(1)国際的な連携の深化・拡大によるパートナー国を含めた技術競争力とセキュリティの強化、(2)パートナー国のデジタル化を支援する「EUテクノロジー・ビジネス・オファー」の展開、(3)EUの基本的価値観に沿ったルールに基づくデジタル秩序の促進による国際的なデジタルガバナンスの強化、となっている。

    また、パートナー諸国との連携における重点分野は以下のとおり。
     
    • エネルギー、輸送、金融及び健康などの重要分野の発展に不可欠な安全で信頼性の高いデジタルインフラ。
    • AI、5G/6G、半導体、量子技術などの新興技術。
    • 社会的結束を促進し、人権と民主主義の原則を保護するデジタルガバナンス。
    • EUのセキュリティへの直接投資としてのパートナー諸国のサイバー防衛を強化するためのサイバーセキュリティ。
    • 国境を越えたビジネスを簡素化し、市民の移動を容易にする、主要パートナーとの相互承認協定に向けたデジタルID及びデジタル公共インフラ。
    • オンライン上での子どもの保護、表現の自由、民主主義及び市民のプライバシー保護を継続的に推進するためのオンライン・プラットフォーム。

    同戦略に対し、欧州電気通信標準化機関(ETSI)は6月12日、意見を公表。ETSIは、欧州委員会の取組みを支持し、歓迎。同戦略の実施におけるETSIによるEU機関の支援を約束している。

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    • EUEU
    • スマート社会
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    「欧州デジタル化計画2030」中間発表

    欧州委員会は2030年までの欧州デジタル社会化計画「2030 Digital Decade」の中間報告を公表した。この報告では、以下の課題に対して、より一層の投資、関連機構の構造改革、域内企業への各種認可手続きの簡略化が求められるとしている。
     
    1. 超高速接続サービス基盤の整備と国際通信基盤のセキュリティ強化
    2. クラウド・AIサービスや半導体や量子インフラの素材開発の振興
    3. デジタル専門人材育成
    4. 域内事業者による公的サービスのオンライン化
    5. 恒久的かつ安全なエネルギーの供給元
    6. AI、半導体、量子コンピュータ等の分野での軍と一般企業の協力
    7. 偽情報や未成年保護等への統一的対応体制
     
    また、EUジョイントリサーチセンターは、上記の課題の解決に関する各国の予算額を比較、国によりばらつきはあるものの、2030年までの目標達成には平均して20%の増額が必要であると推計している。
     

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  • 英国の小包配達会社エヴリ(Evri:旧ヘルメスUK)は5月14日、ドイツの郵便・物流大手DHLグループが英国で展開する電子商取引(EC)向け宅配部門「DHL eコマースUK」との合併を発表した。もともと英国の電子商取引市場でロイヤルメールに次ぐ第2位の地位にあるエヴリであったが、新会社「エブリ・グループ」は、国内最大規模の宅配会社となる見通し。

    エヴリがコストパフォーマンスの高い配送網を提供する一方、DHL eコマースUKは貴重品配送サービスに強みを持っており、両社は互いのサービスを補完できる。新エヴリでは、DHLの貴重品配送サービスを「エヴリ・プレミアム」としてリブランドし、企業間(B2B)と企業対消費者間(B2C)の貴重品・大型品小包を迅速かつ安全に時間厳守で配達する独立したネットワークとして存続させる。

    さらに、エヴリはDHL eコマース側の郵便部門UKメールを新グループに統合し、英国の郵便市場に参入する。これにより、同社は電子商取引企業に、軽量品配達サービスの選択肢をより多く提供できるようになる。

    今回の戦略的提携を受けて、DHLグループはエヴリの少数株主となるが、エヴリの株式は、引き続きプライベートエクイティ会社アポロ(Apollo)によって過半数が所有される。アポロは昨年7月、アドベント・インターナショナル(Advent International)とドイツのオットー・グループ(Otto Group)からエヴリの全株式を27億ポンドで取得したと報じられている。

    エヴリのマーティン・デランゲ最高経営責任者(CEO)が新会社を率い、DHL eコマースUKのスチュアート・ヒルCEOはエヴリ・プレミアム事業の責任者に就任する。

    取引成立には、英競争・市場局(CMA)の承認が必要で、同庁は6月10日にこの調査を発表し、関係者に対して6月25日までに意見を提出するよう呼びかけた。その後、CMAは正式に調査を開始する。なお、その他のDHLグループ英国事業(DHLエクスプレス、DHLサプライチェーン、DHLグローバルフォワーディング)は、今回の取引の影響を受けない。

    今回の合併発表は、経営難に陥っていたライバル会社ヨーデル(Yodel)をインポスト(InPost)が買収してからわずか数週間後に発表された。(一方、4月のインポストによるヨーデルの買収は、以前のヨーデル株式保有者が高等法院に仮差し止めを申し立て、一時停止が発生したものの、この仮差し止め請求は、6月に高等法院が棄却した。)

    エヴリは、英国でカタログ配送会社のパーセルネット(Parcelnet Ltd)として誕生し、配送網を拡大していたが、2006年の英国郵便市場全面開放後、2008年にドイツのオットー(Otto Group:カタログ通販会社。配達会社ブランド名ヘルメス)と姉妹会社化し、英国に参入していた蘭郵便事業者TNTポスト(TNT Post)の宅配事業を買収、2009年にブランド名をパーセルネットからヘルメスUKに改称した。2020年8月にはオットー・グループがヘルメスUKの株式の過半数(75%)を米国の投資会社アドベント・インターナショナル(Advent International)に売却し、2022年3月に、ブランド名をヘルメスUKから現在のエヴリに変更している。その後2024年夏に、エヴリは米国のプライベートエクイティ会社アポロ(Apollo)に、(過半数株主のアドベントと少数株主のオットー・グループから)27億ポンドで100%売却された。

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    政府、住宅建設を迅速化するAIツールの導入

    政府は、住宅建設を加速するために設計されたAIツール「Extract」の導入を発表した。政府が進める「変革計画」の150万戸の新築住宅建設という目標達成に向け、旧来の建設計画システムを変革する。

    Extractは、Google DeepMindのGeminiモデルを使用して共同開発され、建設計画担当官や自治体向けのAIアシスタントとなっている。数十年前の手書きの計画文書と地図を数分でデジタル化できる。

    2026年春までにすべての自治体で利用可能とし、2026年末までにすべての建設計画文書の完全デジタル化を目指す。デジタル化された計画データは、政府ウェブサイト「gov.uk」を通じて公開される。

    これにより、建設計画の遅延を大幅に削減、計画担当者の労働時間削減と意思決定の円滑化、自治体と開発者のコスト削減と時間節約、計画システムの透明性向上と一般の人々のアクセス促進が実現する。

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    • フランスフランス
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    最大手民放TF1がNetflixと番組提供で合意

    仏民放最大手のTF1は、2026年からの番組提供でNetflixと合意した。仏放送基本法で、国内の無料放送については、VOD事業者もTV事業者からの申し出があれば無料での配信を行う義務を有するため、Netflix加入者は契約内容を変えずにNetflixのプラットフォーム上でTF1の地上波チャンネルとストリーミングで提供されている番組を視聴することができる。

    TF1は地上波の無料放送5チャンネルのほか、衛星やIPTVに六つの有料チャンネルを提供、ストリーミングプラットフォームTF1+では見逃し視聴やVODサービスも実施している。今回の提携で、NetflixはこれまでTF1が放送権を有していた映画等のコンテンツの拡充、TF1は新たな広告主の獲得を期待している。

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  • フランスの電子通信・郵便・出版流通規制機関ARCEPは2025年6月10日付「2026-2029年のユニバーサル郵便サービス料金に関する複数年枠組み」を発表した。これは、現行の「2024-2025年枠組み」に代わる価格上限(プライスキャップ)を提示している。

    ARCEPは、2025年4月15日~5月13日に意見募集を行った。また、この意見募集のために、ARCEPは同機関の行った分析の初期結果を提示し、2026年から2029年までの新たな料金体系を提案していた。

    今回の決定では、2026-2029年のユニバーサル郵便サービス料金の年間平均上昇率を7.5%に制限することを定めており、さらに、各年での値上げ率は10%の閾値を超えてはならないとされた。なお、価格上限を設定する際に使用された周辺状況が大幅に変化した場合、中間見直しを可能にする協議条項が含まれている。

    また、ARCEPは、2021年、2022年、2023年にラ・ポストがユニバーサル郵便サービス義務の遂行に対して過剰な補償を受けていないと結論付けた。

    さらに、この決定では、「国が、2026年1月1日からラ・ポストをユニバーサルサービス事業者として再指定することを条件とする」と述べられている。

    現在のユニバーサル郵便サービス料金に関する複数年枠組みの特徴として、ユニバーサルサービス対応商品の全体的な枠組みを設定し、この対応商品バスケット全体(リストが作成される)の価格が、設定された上限を超えない限り、ラ・ポストは各商品の料金変更を自由に行うことができる。

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    • スペインスペイン
    • 事業者のM&A・国際展開
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    テレフォニカ、中南米の通信サービス市場からの撤退を加速化

    テレフォニカは2025年6月13日、エクアドルの子会社Telefónica Ecuadorを、中南米地域で通信事業を国際展開しているミリコム(Milicom)(注)に、3億8,000UADで完全売却することを発表した[1]。そのほか、2025年に入り、アルゼンチン、コロンビア、ペルー、ウルグアイの現地子会社の売却が公表されており、テレフォニカの中南米地域からの事業撤退が加速化している。
     
    (注)ミリコムはルクセンブルクを拠点に、中南米地域で通信サービスを国際展開している通信事業者。Tigoのブランド名で9か国(エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、コロンビア、グアテマラ、パナマ、ボリビア、パラグアイ)の通信サービス市場に参入している。
     
    これまでテレフォニカは、欧州・中南米で事業を展開するグローバル・メガキャリアとして、欧州ではスペイン本国・ドイツ・英国で、また中南米地域ではブラジルのほか、スペイン語圏での事業展開を図る統括会社Telefónica Hispamの傘下でアルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビア、メキシコ、エクアドル、ベネズエラ、ウルグアイにおける通信事業を運営していた。しかしながら、2019年11月に、新たな事業戦略「五つの戦略方針」を公表し、その中で経営資源を、欧州・ブラジルに集中し、中南米のスペイン語圏からの事業撤退を明確に打ち出した[2]。現在の中南米の現地子会社の売却の動きは、新事業戦略の一環として進められているもので、このうちペルーでは売却手続きは完了しており、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイ、エクアドルの現地子会社ついては、現地規制機関による承認を得て、売却手続きが完了する予定である。(図表1参照)
     
    図表1 Telefónica Hispam傘下の各国事業者と売却動向
    傘下事業者 移動体市場シェア 固定ブロードバンド市場シェア 事業者売却の動向
    アルゼンチン Telefónica Argentina 28.2% 12.0% 2025年2月24日、12億4,500万USDでの完全売却でテレコム・アルゼンチンと合意[3]
    チリ Telefónica Móviles Chile(移動体)、Telefónica Chile(固定電話) 27.0% 29.2% Citi Groupを仲介に売却調整[4]
    ペルー Telefónica del Perú 27.1% 33.9% 2025年4月13日、通信、エネルギー、メディア事業などを展開するアルゼンチンの多国籍企業Integra Tecへの完全売却を完了[5]
    コロンビア Colombia Telecomunicaciones 24.8% 16.5% 2025年3月12日、約4億USDでミリコムに売却することで最終合意[6]
    メキシコ Pegaso Pcs 18.2% N.A. J.P. Morganを仲介に売却調整[7]
    エクアドル Telefónica Ecuador(Otecel) 30.1% N.A. 2025年6月13日、3億8,000UADで完全売却することでミリコムと合意。
    ベネズエラ Telefónica Venezolana(移動体) 53.9% N.A. N.A.
    ウルグアイ Telefónica Móviles del Uruguay(移動体) 24.6% N.A. 2025年5月21日、4億4,000万USDでミリコムに完全売却することで最終合意[8]
    出所:テレフォニカ資料より作成
     
    なお、2024年度の各国事業の売上額は以下の通りで、テレフォニカグループ全体の売上額413億1,500万EURに対し、スペインは31%、ドイツは21%、ブラジルは23%を占めており、Telefónica Hispam傘下にある中南米10か国の総売上額は22%となっている(図表2参照)[9]。現在、チリ、メキシコの子会社についても、それぞれの売却へ向けコンサルティングパートナーを選定しており、今後、更なる事業者売却が進められることが見込まれている。
     
    図表2 テレフォニカグループの売上額
    通信事業者 売上額(百万EUR)
    スペイン Telefónica España 12,791
    ドイツ Telefónica Deutschland 8,492
    ブラジル Telefónica Brasil 9,618
    中南米地域(スペイン語圏) Telefónica Hispam 9,032
    その他事業 1,382
    テレフォニカグループ合計 41,315
    出所:Telefónica Consolidated Annual Report 2024
    (2025年6月)
     
     

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    • ドイツドイツ
    • ブロードバンド・ICT基盤整備
    • 国別・地域別トピック

    ドイツテレコム、ドイツ国内で産業用AIクラウドを提供

    ドイツテレコムは6月13日、NVIDIAと共同してヨーロッパの製造業向けに産業用AIクラウド「AI工場」をドイツ国内に構築し子会社のT-Systemsのクラウド経由でサービスを提供すると発表した[1]
     
    2026年までに、このAI工場からのサービスが提供開始される予定で、エンジニアリング、シミュレーション、デジタルツイン、ロボティクスなどの製造アプリケーションといった分野でのサービスをクラウド経由で提供する。
     
    また、インフラとして、AI工場では、NVIDIA DGX B200システムによる1万基のGPUと、主要なソフトウェアベンダーのNVIDIA CUDA-X、RTX、Omniverseの高速化ワークロードを実行するRTX Proサーバを利用する予定。
     
    なお、両社は、6月11日にEUの各種法令に準拠し、欧州内で欧州人による運用と管理を保証する政府向けのソブリンクラウドでも協業を発表している[2]
     
    このソブリンクラウドでは、ドイツテレコムはドイツ、オランダ、スイスでセキュアなデータセンターを運用するOpen Telekom CloudからNVIDIA H100 Tensor Coreプロセッサを利用しているが、AI工場はドイツテレコムグループ内に設備インフラを置く予定。
     
    今回の取り組みは、AIアプリケーションを安全なクラウド経由で提供するサービスを民間製造業等にも拡大したものである。

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    中国電信、低空経済産業の発展に注力

    中国電信は一貫して低空経済産業の発展に注力しており、2025年6月に南京市にて「第2回中国電信低空経済協力発展大会」を開催した。現在では全国28の省において400件を超えるプロジェクトを展開している。大会初開催時には80社未満であった産業連盟の加盟企業数は、現在では150社を超える規模に拡大した。

    同社は今後、ネットワーク、クラウドとクラウドネットワークの融合、AI、量子技術およびセキュリティという四つの中核分野において、技術的ブレークスルーの更なる追求を方針として掲げている。また、クラウド、ネットワーク、データ、インテリジェンス、セキュリティ、量子、デジタルプラットフォームという七つの戦略的革新技術を統合し、低空経済の能力体系を質・量ともに高度化させることを目指している。

    さらに同社は、低空経済の中核基盤として「1+1+3+N」モデルを構築した。この構成は、まず低空経済に対応する総合サービスソリューションの基盤を土台とし、全国をカバーする「低空智聯ネットワーク」がもう一つの柱として据えられている。この二つの要素を軸に、低空インフラの運用管理、サービスの監督管理、飛行業務の支援という三つの主要機能が中核を成す。これらの機能を統合的に運用することで、公安、緊急対応、水利、都市および農村ガバナンスといった幅広い実用シーンに対応可能な能力体系が形成され、低空経済の発展を包括的に支える構造となっている。

    ちなみに、中国電信は、5G-A低空通信ソリューション開発の一環として、2024年7月に、中興通訊(ZTE)の協力により、江西省▲州市で5G-A低空通信の検証を完了し、低空高度300mにおけるシームレス・カバレッジを完成した。既存ネットワークの最適化、微調整されたビーム構成とネットワーク設計を通じて、低空ネットワークの迅速な展開を実現した。平均して3kmの間隔で基地局が設置され、低空高度100mの下り速度は451Mbps、上り速度は113Mbpsに達し、4K高精細映像のスムーズな伝送も可能となっている。(▲左章右貢の字)

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    市民の約9割が有害コンテンツ制限のための年齢確認技術の使用に賛同

    オーストラリア市民の大多数が、2024年11月に連邦議会で可決された「16歳未満のSNS利用制限」法案に賛同していることが、6月16日に公表された社会調査センター(Social Research Centre)の調査結果から明らかになった。

    同調査によると、市民のおよそ9割が「年齢確認技術を活用して未成年が有害コンテンツに接触するのを防ぐべきだ」と回答している。この結果は、若年層のSNS利用実態とも一致し、8歳から17歳の子どものほぼ半数が不適切なコンテンツを閲覧した経験があり、自身のSNSフィードに対して不安を抱いているという。また、若者の過半数が「SNSの利用時間が多すぎる」と感じており、46%以上が「SNS依存」に対する懸念を示している。

    上記の法案は2025年12月までに施行される予定で、連邦政府はその実現に向け、通信業界や関係省庁、地域団体との協議を継続している。また、アニカ・ウェルズ通信大臣は、2025年に施行予定の「オンライン安全(年齢制限付きSNSプラットフォーム)規則(Online Safety(Age-Restricted Social Media Platforms)Rules 2025)」の草案について、eSafetyコミッショナーに意見を求めているという。

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