2023.02.02
【EU】EU理事会と欧州議会、電子証拠(eエビデンス)の域内越境アクセス改善のための規則及び指令の草案に合意
EU理事会と欧州議会は、1月25日、電子証拠(eエビデンス)の域内越境アクセスに係る規則及び指令の草案に合意した。本規則及び指令により関連の法執行機関が他の加盟国内のサービス提供者に対して直接電子証拠を求める裁判所からの命令を発出することが可能となる。刑事訴訟における電子証拠に係る欧州生産及び保存命令規則(The regulation on European production and preservation orders for e-evidence in criminal proceedings)は、既存の国際協力及び相互法補助ツールの代替となるメカニズムの導入を目指している。電子証拠の可変性と場所の喪失(loss of location)から来る課題に対して、新たに迅速、効率的かつ効果的な越境アクセスの手続を構築する。
同規則はデータのロケーションに関わらず法機関によるeエビデンスの保持・保全を命じることを可能にする。対象となるのは、サブスクライバー、トラフィック、コンテンツ等の全てのデータ。通知することで違法行為が行われる可能性が高い場合を除き、トラフィック及びコンテンツデータの取得に係る通知システムが導入され、データを有する国は法的根拠がある場合にはデータの提供を拒否することが可能。刑事訴訟における電子証拠の収集に係る指定事業所の指定及び法定代理人の選任に関する指令(The directive on the designation of designated establishments and appointment of legal representatives)は、規則に基づく命令に対応する事業所・法廷代理人の指定に係る規律を定めたもの。非EUサービス提供者に対してEU域内に物理的にいなければいけないという一般的な法的要件がないことに対応するために制定される。