デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は、7月2日、テレコム多様化タスクフォースの報告書に対する回答及び英国の5Gサプライチェーン多様化戦略の実施に関する次なるステップについて発表した。産業界と学界の専門家で構成されるテレコム多様化タスクフォースは、2021年4月、政府に対して5Gのサプライ市場における多様化のための解決策について検討した結果を「勧告」という形で報告した。勧告には、①オープンRAN採用の加速、②テレコム標準の促進、③規制政策への介入、④長期的な研究とイノベーションの推進の四つの主要分野ごとになされた。これに対し、政府は四つの主要分野におけるタスクフォースの勧告の進め方を説明した。政府による主な発表は以下のとおり。
<オープンRAN採用の加速に関して>
*政府は、オープンRANの開発を加速させることを支持している。オープンネットワークの構築・運用に必要となる主要なサブシステムやソフトウェア開発にも投資を行う。
*政府は、通信事業者と緊密に協力して、彼らのロードマップと優先事項を理解し、資金提供が的を得たソリューション主導のものであり、オープンRANの採用を加速することを約束し、2021年後半には正式な目標を設定する。
*そのために、「Future RAN Competition(FRANC)」を同日、立ち上げた。同コンペでは、高性能なオープンRANの主要な技術的課題に取り組む革新的なプロジェクトに、最大3,000万ポンド(約46億円)を投資する。これは、英国のネットワーク全体に展開できるRANソリューションの提供を加速することを意味する。
<テレコム標準の促進について>
*オープンRANのような新技術を可能にするオープンスタンダードは、相互運用性をサポートする業界主導のグローバルな技術フレームワークによって支えられなければならないというのが政府の見解である。セキュリティと相互運用性を中心に据えた、包括的かつ総合的な通信規格の策定が必要であると認識している。
*そのために、電気通信分野の標準化活動を監視し、各国の電気通信標準化活動の調整を支援する専門チームを設立する。これには、政府、産業界、学界、その他の通信規格関係者の活動を調整することも含まれる。
*また、通信用無線機器の設計・開発において標準必須特許が重要な役割を果たしていることから、知的財産や標準必須特許の役割についても検討する。
<規制政策への介入について>
*政府は、英国が新規参入者を誘致するための条件整備に努めるべきだとの勧告に同意する。政府は、携帯電話会社、サプライヤー、ユーザと協力して、2G及び3G技術の廃止や合理化を含む、ネットワークサービスの長期的な使用及び提供に関する明確なロードマップを設定しており、今秋に発表する予定である。さらに政府は、短期的に新規サプライヤーの参入を促進するために、いくつかの政策オプションを検討している。これには、新しいベンダーの機器をネットワークに導入する際のコストに連動した商業的インセンティブや、新しいサプライヤーの相互運用性やセキュリティのテストを支援するための投資などが含まれる。
<長期的な研究とイノベーションの推進について>
*政府は、公的資金で運営されている既存のプロジェクトのポートフォリオによりまとまりを持たせることを含め、研究、開発、イノベーションを推進するために、より協調的で戦略的なアプローチを開発する方法を模索している。この作業を進めていく中で、将来のネットワークがどのように進化していくかという評価に基づいて、将来の接続性ニーズ、通信技術ロードマップの長期的なトレンドに焦点を当てていく。
また、政府は、今年後半には、安全性、耐障害性、多様性を備えたテレコム・サプライ・チェーンの実現に向けて、政府による一連の発表が行われる予定だとした。
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