2016.09.09
【EU】欧州委員会、2017年6月に廃止するローミング料金に関する実施法令案を提出
欧州委員会(EC)は9月5日、2017年6月のローミング料金廃止の実現へ向けてその実施法令(implementing act)案を提出した。新制度が適切に機能するための具体的な定義付けには、ローミング・サービスの乱用を防ぐためのフェアユース制度の導入も含まれている。利用者が自国よりも安価なSIMカードを他のEU諸国で購入した場合、あるいは利用者が自国の通信サービスに加入しながら国外に永住する場合など、各国の国内料金だけでなく最終的にはすべての利用者に対して悪影響を及ぼすことになってしまうからである。
今回ECは、以前に実施したパブリック・コンサルテーションの結果に基づいて、1年間で少なくとも90日間までは域内の他国においても自国と同額料金での利用が可能になることを提案している。一方、このフェアユースポリシーの適用を超えた場合、卸売ローミング料金の上限を超えない範囲での料金の上乗せが移動体通信事業者に対して認められるという。具体的には、域内通話については1分4セント、SMS 1件につき1セント、1MBあたりのデータ通信は0.85セントという上限設定を提案している。ECが今年の12月15日までに同実施法令案を採択するためには、今後EU各国および欧州電子通信規制者団体(BEREC)と協議しなければならない。