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注目のICTトピック

注目のICTトピック

  • ローマ教皇レオ14世は5月25日、就任後初となる回勅「マニフィカ・フマニタス」を公布し、AI時代における人間の尊厳の在り方について教会の考え方を示した。回勅は、教皇が全世界のカトリック教会に向けて発する最高位の公文書であり、信仰や道徳、社会問題に関する指針を示すものである。

    教皇は、AIそのものを否定するのではなく、「警戒を要する貴重な道具」と位置付けた。AIは利用目的や管理主体によっては人々の自由や民主主義を脅かす可能性があるとして、「慎重かつ注意深いアプローチ」の必要性を強調した。また、抽象的な倫理論だけでは不十分であり、実効性のある法制度や独立した監督機関、十分な知識を備えた利用者、そして責任ある政治システムが不可欠だと訴えた。

    回勅の発表には、アンスロピック共同創業者のクリス・オラー氏が民間有識者として異例の同席を果たし、演説を行った。同氏は、AI開発に携わる研究者の多くが社会にとって望ましい成果を目指している一方で、経済的・地政学的な競争や個人的な野心など様々な制約の下で活動していると指摘した。その上で、AI技術の健全な発展には、こうした制約の外部にいる人々による監視や批判が不可欠であると主張した。また、教会が特に貢献すべき課題として、「世界の貧困層に対するAI企業の責務」「人類の繁栄に関する道徳的想像力と志の必要性」「AIモデルの本質を見極める必要性」の3点を挙げた。

    アンスロピックはこれまでも、対話型AI「Claude」の安全性や価値観の在り方を検討するため、宗教指導者や哲学者、倫理学者らとの非公開対話やサミットを実施してきた。オラー氏は、こうした取組みが評価され、同社が大手テクノロジー企業の中で唯一バチカンに招待された理由になったとの認識を示した。

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  • 2026年6月12日、イーロン・マスク氏が率いるSpace Exploration Technologies Corp(SpaceX)はナスダック市場で取引初日を迎え、新規株式公開(IPO)を果たした。

    初日は1株150ドルで取引を開始し、一時176ドル52セントまで上昇した後、160ドル95セントで取引を終えた。初日の取引で株価は19%超上昇し、同社企業価値は約2兆1,000億ドルに達する等、2026年のIPOとしては群を抜く水準となった。この記録的なIPOにより、同社CEOのマスク氏は史上初の「トリリオネア(1兆ドル長者)」となった。

    SpaceXが事前に公表したIPO目論見書では、公募価格は1株135ドルに設定され、全額公募増資(オールプライマリ)で5億5,560万株を提供。資金調達見込みは750億ドルで、企業価値は1兆7,500億ドルとなる見通しが示されていた。

    今回の調達資金は、AI計算資源インフラの拡張、打上インフラと同ロケットの強化、衛星コンステレーションの規模と容量の増加を含む成長戦略のために使われ、残りは一般的な企業目的のために使われる見込み。

    マスク氏は2025年3月28日、自身が立ち上げたAIスタートアップxAIが、同じく自身の所有するソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)を買収したことを発表。また、SpaceXは2026年2月2日、xAIとの合併を発表しており、IPO目論見書でも、SpaceXの活動領域として、宇宙、コネクティビティ、AIを主軸として事業の説明が行われている。

    SpaceXの2025年売上は187億ドル、衛星インターネットサービスを提供するStarlinkは約9,600基の衛星を打ち上げ、世界160か国以上で1,000万以上のアクティブユーザを有している。同社は2026年1月30日、FCCに「軌道上データセンター」構築の一環として最大100万基の衛星を打ち上げる認可を申請している。

    IPOに関しては、AnthropicとOpenAIもそれぞれ6月1日と6月8日に非公開の申請書類を証券取引委員会(SEC)に提出した。ともに時期や調達予定額は未定としながら、両社とも1兆ドル規模の企業評価額を目指しており、企業価値1兆ドルを超える企業が1年で3社、新たに誕生する可能性もある。

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  • 欧州委員会は6月3日、域内のデジタル基盤とデジタル主権の強化を目的とした「欧州技術主権パッケージ」を発表した。同施策には、重要技術における海外ベンダーへの依存度を引き下げ、欧州経済のレジリエンスを底上げする狙いがある。
     
    同パッケージを構成する主要施策は以下の四つである。
     
    • 「半導体法2.0(Chips Act 2.0)」:2023年制定の「半導体法」を改正し、AI向け次世代チップの設計・製造基盤の整備や許認可プロセスの迅速化を進める。また、パートナーとの連携強化や、主要な半導体産業拠点への「エクセレンス・ラベル」付与などを実施する。
    • 「クラウド・AI開発法(Cloud and AI Development Act:CADA)」:EUがAIの分野で世界的リーダーになることを目標とする「AI大陸行動計画」の中核を成し、研究開発の促進や、今後5~7年間でデータセンターの処理能力を最低3倍に拡張することを目指すほか、データセンターの設置認可の簡素化・迅速化、クラウド・AI主権の共通評価枠組みの導入を行い、第三国からの独立性とソフトウェアサプライチェーンにおける透明性を確保する。
    • 「オープンソース戦略」:欧州内の開発者コミュニティを支援・活用し、セキュリティやAIなどの戦略的分野でのオープンソース活用を推進する。行政機関での積極的なオープンソース導入も進める。
    • 「エネルギー分野におけるデジタル化とAIのための戦略ロードマップ」:データセンターを持続可能な形で電力網へ組み込むための指針を提供する。送電網のスマート化に向けたAI導入やスマートメーターの普及を進め、エネルギー分野向けの主権的かつ安全な欧州産AIモデルの構築や、国境を越えたデータ共有の円滑化を図る。
    なお、同パッケージに対する民間の反応は二分しており、恩恵を受ける立場にある欧州の通信・デジタル関連団体は前向きな姿勢を見せる一方、締め出される可能性の高い欧州外の業界団体からは強い懸念が寄せられた。とりわけ、米国の主要IT企業が所属するコンピュータ通信産業協会(CCIA)は、「クラウド・AI開発法」について、特定企業の締め出しにつながる差別的かつ保護主義的な内容であり、深刻な市場の分断を招くと警告している。
     

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    DCMS、将来のメディア戦略に関するグリーンペーパーを公表

    英国の文化メディアスポーツ省(DCMS)は2026年6月23日、「Watch This Space: A New Strategic Direction for UK Media」と題するメディア戦略のグリーンペーパーを公表し、地上デジタル放送(DTT)からインターネット配信への移行の方向性を示した(注1)。DTTの終了時期については2034年または2044年といった将来の目安が示されているものの、現時点では検討段階にあり、最終的な判断は今後の議論に委ねられている。

    この背景には視聴スタイルの急速な変化がある。人々は従来のテレビ放送よりもオンラインでコンテンツを視聴する傾向を強めており、とりわけ若年層では動画共有サービスが主流となっている。こうした状況を踏まえ、政府は従来の「放送」を維持すること自体よりも、デジタル環境に適応した公共サービスメディアのあり方の再構築を重視している。

    具体的には、BBCをはじめとする公共サービス放送事業者を、リニア放送中心の存在から、プラットフォーム時代に対応した「公共サービスメディア」へと進化させることが重要と位置付けられている。そのため、オンラインサービスや接続機器を前提とした配信環境の整備が重視されており、テレビの価値は電波による伝送ではなく、サービスとしての提供形態へと移行しつつある。

    その一例として、BBCと商業放送各社が共同で提供する「Freely」のようなサービスが挙げられる。これはアンテナや衛星放送に依存せず、ブロードバンドを通じてライブおよびオンデマンドのテレビ視聴を可能にするものであり、インターネット中心の視聴環境への移行を象徴している。

    さらに、本グリーンペーパーでは特定の放送技術や規格には重点が置かれていない。代わりに、視聴者がコンテンツをどのように発見し、利用するかという点が重視されている。すなわち、今後の課題は配信インフラそのものよりも、コンテンツの「発見性」やナビゲーション、そして信頼できる公共サービスとしての位置付けにあるとされている。

    英国政府は、従来のチャンネルの維持よりも、多様なプラットフォーム上で公共サービスメディアを確実に届けることを重視しており、テレビの本質が「放送」から「サービス」へと移行していることを明確に示している。

    なお、本提案については2026年8月31日まで意見募集が行われ、その結果を踏まえて最終的な政策方針が策定される予定である。

    (注1)
    https://www.gov.uk/government/consultations/watch-this-space-a-new-strategic-direction-for-uk-media-green-paper-and-public-consultation

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    中国電信、トークン料金プランの試験提供を開始

    中国電信は2026年5月17日、トークン料金プランの試験提供を開始した。対象は、個人・家庭向けと開発者・中小零細企業向けの二つの顧客層である。

    各プランは、「トークン+接続+セキュリティ」を一体化したサービスとなっている。3段階のトークンプランに加え、ブロードバンドの上り通信速度を向上させるオプションパックと、セキュリティ対策パックの2種類のオプションが用意されている。

    個人・家庭向けでは、ライトプランが月額9.9元(約230円)で1,000万トークン、スタンダードプランが月額29.9元で4,000万トークン、プレミアムプランが月額49.9元で8,000万トークンを毎月利用できる。いずれのプランでもトークンの追加購入が可能である。また、本サービスは中国電信の「星辰」をはじめとする同社エコシステム内のLLMと連携し、日常業務支援、学習・創作、文書作成などに活用できる、安定性と信頼性の高いトークンサービスとして提供される。

    開発者・中小零細企業向けでは、ベーシックプランが月額39.9元で1,500万トークン、プロフェッショナルプランが月額159.9元で7,000万トークン、フラグシッププランが月額299.9元で1億5,000万トークンを提供する。

    一方、中国移動や中国聯通も類似のトークン料金プランの提供を相次いで開始している。また、主要通信事業者に先立ち、テンセントやアリババなどの大手テック企業も既にトークン料金プランを展開している。例えばテンセントでは、月額39元で3,500万トークンを利用できる。

    こうした動向を踏まえると、今後はトークン利用サービスをめぐる各社の価格競争が一段と激化する可能性が高い。

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    • 韓国韓国
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    2030年にフィジカルAIで世界一をねらう韓国

    2030年にフィジカルAI分野で世界一を目指す韓国では、次世代戦略技術にフィジカルAIが指定され、2026年になってから関連の戦略が相次ぎ打ち出されている。もともと国内産業分野では、製造現場でのロボット導入をはじめとするフィジカルAI分野強化に取り組んできた強みがある。
     
    科学技術情報通信部は、これまで海外製に依存していた製造工場向けソリューションを国産技術に置き換える「フィジカルAI統合プラットフォーム」を今年3月に公開した。フィジカルAIで世界的主導権を目指す「フィジカルAI中核競争力確保戦略」も発表された。この戦略では2028年までにフィジカルAI先進国化を目指し、共通基盤技術開発、製造工場自動化技術確保及び三大メガプロジェクト等を進める。フィジカルAIは今後3年間が勝負とされており、政府は技術開発から現場実装に至る全ライフサイクルを支援する。また、実証ラボで検証した国産システムを基にパッケージ化したソリューション輸出の本格化をねらう。
     
    6月からはフィジカルAI中核技術の国産化をねらいとする科学技術情報通信部の「フィジカルAI先導技術開発事業」が本格的に開始された。事業予算は今年から2か年で総額340億ウォン(約38億円)。事業にはLG電子を主管としてマウムAI、ロボティズ、KT、ソウル大学等産学官10機関が参加し、ワールドモデル・ロボットファウンデーションモデル等のフィジカルAI中核技術を独自技術で開発する。昨年立ち上げられた産官学の協議体「フィジカルAIアライアンス」も今年になってから機能強化が図られた。
     
    日本でもフィジカルAI分野に今後戦略的に投資する方針が発表されたところである。日韓のフィジカルAI分野がどのような発展を遂げていくのか今後も注視したい。
     

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国別・地域別トピック

国別・地域別トピック

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    テレビは依然として英国で最も利用されているメディア

    YouGovが2026年6月5日に発表した最新調査によると、テレビは依然として英国で最も広く利用されているメディア形式であり、成人の70%が毎週、テレビ放送(リアルタイムまたはオンデマンド)を視聴している(注1)。これに、ソーシャルメディア(67%)やストリーミングサービス(64%)が僅差で続いている。

    年齢によって利用傾向は大きく異なる。テレビは高年齢層ほど利用が多い一方、ソーシャルメディアは若年層で顕著に利用されている。ストリーミングは幅広い年代で利用されているが、特に25~34歳で利用率が高い。

    個別のプラットフォームではBBCが最も利用されており(62%)、Netflix(55%)がそれに続く。InstagramやTikTokなどのSNSは主に若年層から支持を集めている。

    メディア利用時間を見ると、約7割の人が1日1~4時間を費やしており、約2割は4時間以上利用している。また、集中力については大半が変化なしと感じている一方で、約3割が低下を実感しており、特に若年層でその傾向が強い。

    全体として、テレビは依然として最も広く利用されるメディアであるが、ソーシャルメディアやストリーミングの利用も拡大しており、年代ごとの違いが明確に現れている。

    (注1)
    https://yougov.com/en-gb/articles/54915-uk-media-consumption-trends-in-2026-tv-streaming-and-social-media-usage

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  • 国立物理学研究所(NPL)とボーダフォンは、GPSなどの衛星測位システム(GNSS)に依存しない地上型時刻供給の実証試験を完了した。光ファイバを活用した時刻配信サービス「NPLTime」により、英国標準時UTC(NPL)にトレーサブルな地上基準信号の提供を検証し、40ナノ秒以内の精度維持を目標とする通信向けサービスの実用化に前進した。この取組みにより、ボーダフォンの英国事業ボーダフォンスリーは、国家計量標準機関(NMI)が提供する地上時刻源を通信ネットワークの時刻基盤として検証した英国初の移動体通信事業者となった。

    通信業界ではこれまで、正確な時刻同期のためにGNSSが広く利用されてきた。しかし、5Gおよび将来の6Gネットワークでは、基地局間でマイクロ秒以下の高精度同期が求められ、より高い信頼性と耐障害性を備えた時刻供給が必要とされている。ボーダフォンは、5G SAネットワークの展開やネットワーク高度化を進める中で、GNSSへの依存低減を重要課題と位置付けている。今回のNPLとの取組みはその一環であり、同社の約110億ポンド(約2兆3,540億円)規模のネットワーク投資計画(2030年に人口カバー率99%)のレジリエンス強化に寄与する。

    本プロジェクトは、NPLが主導する英国の国家プログラム「ナショナル・タイミング・センター(NTC)」とも連携している。NTCは、光ファイバを中心とした時刻配信に加え、複数の技術を組み合わせた分散型の時刻インフラの構築を目指している。これにより、通信や金融など重要インフラに対する時刻供給の信頼性と継続性を高めることが期待されている。

    こうした取組みの背景には、GNSSの脆弱性に対する認識の高まりがある。通信分野では、衛星ベースの単一時刻源への依存はリスクとされつつあり、複数の時刻源を組み合わせたレジリエントな構成への移行が検討されている。2026年には業界団体ATISが、GNSS依存が通信インフラのリスクとなり得ると指摘し、代替・補完手段の導入を含めた時刻アーキテクチャの強化を提言している。

    こうした時刻インフラの分散化は世界的な潮流とも一致する。韓国はGPS妨害への対応としてeLoran(強化型ロラン)を導入し、すでに運用段階にあるほか、同国主導のもと英国やフランスとともに国際標準化に向けた議論が進められている。また中国も、衛星測位システム「北斗(BeiDou)」に加え、地上系を含む多層型PNT(測位・航法・時刻)インフラの構築を進めている。欧州においても、英国とフランスが地上型PNT技術での連携を強化しており、レジリエントな時刻基盤の構築に向けた取組みが進みつつある。

    GNSSを単一の時刻源とする従来の構造から、光ファイバ、地上無線、衛星などを組み合わせた多層型の時刻インフラ(PNT)への移行が進みつつある。今回のNPLとボーダフォンの取組みは、その実装に向けた具体的な一歩であり、今後の通信インフラの方向性を示す事例と位置づけられる。

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    • フランスフランス
    • AI
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    仏政府機関のAI導入整備計画 

    仏首相は、6月17~20日にパリで開かれたICT見本市「VivaTech2026」に際して、社会全体にわたるAI活用推進計画を発表した。提示されたアクションには、一般への普及プロジェクト助成や企業へのAI導入支援のほか、2026年内に政府職員向け対話型AIエージェント「Assistant」の運用を開始する等、政府機関の業務へのAI導入がある。公的機関向けソリューション開発は、Mistral AI等の国内企業が行い、業務効率化とともに、デジタル主権とセキュリティの確保が目指されている。

    政府機関へのAI導入計画を主導するのは首相府で、省庁間デジタル化局(Dinum)が、省庁間統一標準の定義、インフラ構築方針の策定、技術提供者との交渉、経費の算定を実施する。各機関のAIソリューション普及については、公共サービス局が所掌、使用分野の優先順位付けやサービスの質の評価を行う。導入を予定しているソリューションには、「Assistant」のほか、音声スクリプト「Transcripts」、外務省主導で開発された世界64か国語の翻訳ツール「DiploIA」、議事録作成機能付きビデオ会議ツール「Visio」等がある。

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    • ドイツドイツ
    • プラットフォーム
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    半導体法に基づくドイツの国家援助をECが次々と承認

    欧州委員会(EC)は6月23日、EU国家援助規則に基づき、ドイツ連邦政府のQuantumDiamondsに対する7,600万EUR(約140億円)の国家支援計画を承認した。

    補助対象は同社の「IPF-ATEST」プロジェクトで、ミュンヘンにおける半導体試験装置の生産のための新施設の設立に対するもので、具体的には、新規の量子センサーに基づく半導体産業向けの先進計測及び検査システムの開発及び製造計画であり、同プロジェクトが成功すれば欧州における半導体の高度化及び3D試験が可能となる。

    なお、欧州委員会は昨年12月にもドレスデンとエアフルトに新たに半導体製造施設を設立するための6億2,300万EUR(半導体製造装置製造のGlobalFoundries向けの4億9,500万EURと車載半導体製造大手のX-FAB向けの1億2,800万EUR)のドイツ国家援助を承認している。

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    • スイススイス
    • 郵便・物流
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    連邦政府、郵便法改正案を意見公募へ

    連邦内閣は6月24日、「郵便業務法(PG)」および「郵便組織法(POG)」の一部改正案に関する意見公募を開始した。募集期間は同年10月15日までである。

    郵便業務法の改正の柱は「需要連動型規制(ダイナミック・レギュレーション)」の導入である。デジタル化の進展により、書状の取扱数は過去10年間で約3分の1減少し、郵便局窓口での現金払込み件数は同期間に約3分の2減少した。さらに2030年頃までに書状がさらに約30%減少し、窓口払込み件数も半減すると見込まれている。こうした状況を踏まえ、書状・小包・新聞雑誌・現金払込みの需要が法定の基準値を下回った場合、スイス・ポストは連邦環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)にユニバーサルサービス内容の見直しを申請できるようになる。変更の可否は連邦内閣が判断し、その際には需要動向に加え地域的な事情も考慮する。ただし、需要がどのように変化しても最低限の郵便サービスは必ず維持される。なお、改正法の施行時(2030年頃を予定)には現行のユニバーサルサービスの内容はそのまま維持される。また、デジタル郵便については2026年4月1日施行の郵便規則改正ですでにユニバーサルサービスに追加済みであり、今回の法改正でその法的根拠を明確化する。

    郵便組織法の改正では、スイス・ポストが実施できるユニバーサルサービス以外の事業範囲をより明確に定義する。また、新たに企業買収審査制度を設け、大規模な持分取得については連邦郵便サービス委員会(PostCom)の事前承認を義務付ける。これにより、買収が同社の法定事業目的の範囲内で行われることを確保する仕組みを整備する。

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  • イタリアの通信規制当局Agcomは2026年6月11日、「2026年の第127号の委員会決定(Delibera 127/26/CONS)」に従い、AIを利用するデジタルプラットフォームにおける著作権保護と情報の多様性確保を目的とした「技術テーブル(検討会)」の設置を発表した(注1)。 

    この検討会は、オンラインプラットフォーム(SNSや検索エンジンなど)、出版社、メディア関連団体など、多様な関係者が参加する場として構想されており、AIの普及に伴って生じる新たな課題に対し、共同でルールや実務上の対応策を検討することを目的としている。

    主な検討対象は、AIがニュースなどの著作物を利用する際の透明性や公正な対価のあり方、著作物の利用を権利者が拒否できる仕組み(オプトアウト)、EU著作権指令との整合性、プラットフォームによる情報選別がもたらす言論の偏りの問題などである。さらに、AIによる偽情報やディープフェイクの拡散といった課題にも対応するため、情報共有やベストプラクティスの策定が進められる。

    当該決定は、AIによって変化するメディア情報環境において、著作権の保護と民主的な情報の多様性を両立させるための政策基盤づくりを目的とした枠組みを整備するものである。

    (注1)
    https://www.agcom.it/provvedimenti/delibera-127-26-cons

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    • スペインスペイン
    • 事業者のM&A・国際展開
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    オレンジ、MasOrange株式取得を完了

    仏総合通信事業者オレンジは、2025年12月にスペインの投資会社Lorcaと交わした覚書に基づき、同地の通信事業者MasOrangeの株式の50%を取得したと発表した。同社の移動体通信サービス加入件数は2026年3月には2,600万に達し、国内第1位である。固定ブロードバンドの加入件数も710万に上る。

    MasOrangeは2024年3月にオレンジとMasMobileの事業統合により設立され、株式はオレンジとLorcaが50%ずつ所有していた。今回の株式取得で、同社はオレンジの完全子会社となる。株式取得額は42億5,000万EUR。

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    • スペインスペイン
    • AI
    • 国別・地域別トピック

    政府、EU「AI法」の国内法案を議会へ上程

    政府の意思決定機関である閣僚評議会(Council of Ministers)は2026年5月26日、2024年8月に発効したEU「AI法」を国内法制化するための法案を下院(Congress of Deputies)に上程した。スペインにおいて、研究機関・企業・行政機関に対しAI開発環境を提供する「AIファクトリー」やスペイン語独自のAIモデル「ALIA」の開発など、AI技術開発に関する先進的な取り組みが推進されている中、信頼でき、かつ倫理的な人間中心のAI利用を実現するための法的枠組みを構築することを目的にしたもので、禁止されるAIシステム、市場監視体制、公的部門におけるAI活用、試験環境、制裁等に関する規定を骨子にしている。主な内容は下表の通りである。
     
                                                                                     表 スペインAI法案の概要
    事項 内容
    禁止されるAIシステム AIを利用した潜在意識操作(サブリミナル)技術による行動誘導、子どもなど社会的弱者の脆弱性の悪用、生体情報による人種・政治的信条・性的嗜好の推定、行動・属性に基づく融資判断のスコアリングなどを禁止する。そのほか、2026年5月7日にEU理事会と欧州議会が合意した性的ディープフェイクの生成AIも禁止対象とする。
    市場監視体制 分野別の規制対象製品(機械、玩具、車両、医療機器など)については各分野の所管当局が監督し、上記以外のAIシステム(雇用、バイオメトリクス、教育など)についてはAI監督機関(AESIA)、データ保護庁(AEPD)、司法評議会(CGPJ)が監督する。
    公的部門におけるAI活用 行政手続において使用されるAIシステムの登録台帳を作成し、AI使用に関する透明性を確保する。行政組織内にAI担当責任者を設けるほか、職員へのAI教育・啓発を推進する。
    試験環境 上市されるAIシステムが規制項目を順守しているかを、管理された規制環境の中で検証する「AIサンドボックス」を制度化する。国家レベルのサンドボックスはAESIAが運営し、各産業分野で活用されるAIシステムは、所管監視機関がAIサンドボックスを運用する。
    制裁 違反レベルを「軽微」・「重大」・「極めて重大」の三つに分類し、「極めて重大」の場合、最大3,500万EURまたは全世界売上高の7%の制裁金を科し、「軽微」な違反の場合、最大50万ユーロまたは売上高の0.5%の制裁金を科す。ただし、制裁より是正を優先することを原則とし、迅速な支払や是正措置の実施に対する減免措置を設ける。
     
     

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    • インドネシアインドネシア
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    インドネシアQRISに中国主要決済システムが接続

    Quick Response Code Indonesian Standard(QRIS)は、中国のUnionPay(銀聯)やAlipayといった主要決済システムと接続し、越境取引や旅行者等の決済簡易化を促進している。政府間での合意は4月に行われていたが、6月にUnionPayの運用が開始され、利用拡大が見込まれる。

    インドネシアでは2019年に中央銀行がQRISを導入し、QRコード決済を国家標準で統一した。決済アプリは、中央銀行に登録されたPayment Service ProviderとしてQRISに準拠する必要があるため、QRISをGoPayやOVOといった電子決済アプリが利用し、BCA MobileやBNI Mobileといった主要銀行アプリも接続されている。店舗は印刷QRを用意するだけで利用できるなど、国内事情に応じた展開がなされており、政府の金融包摂や国民のキャッシュレス化に寄与している。今年第1四半期のQRISを通じた取引は前年の116%となり、国内4,400万店舗での利用が可能である。

    インドネシア中央銀行は、中国人民銀行と米ドルに拠らない決済システムの取組を進めており、昨年約18億ドル相当の決済を行い、今年は4か月で13億ドル相当になっていると発表している。

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    • オーストラリアオーストラリア
    • セキュリティ、プライバシー
    • 国別・地域別トピック

    政府、「オーストラリア・サイバーセキュリティ戦略2023–2030」の第2フェーズを発表

    オーストラリア政府は6月11日、「オーストラリア・サイバーセキュリティ戦略2023–2030(Australian Cyber Security Strategy 2023–2030)」の第2フェーズであるHorizon 2を発表した。

    AI等により脅威が高度化する中、Horizon 2ではHorizon 1の成果を踏まえ、全国規模でのサイバー成熟度向上と被害軽減を図るため、政府、産業界及び国際パートナーが連携することとしている。また、3分野の重点施策に対し4年間で8,930万AUD(約101億円)の追加投資を行う方針である。

    第一に、重要インフラ及び政府システムの保護として、国家演習プログラムの拡充、サプライチェーン対策強化、ドローンセキュリティ及び海底ケーブルへの対応を推進していく方針である。

    第二に、技術の源流における安全確保として、ルータやオペレーショナル・テクノロジー(OT)、スマートデバイス等への安全基準適用を拡大し、スマート機器表示制度(smart device labelling scheme)により情報提供を強化していくこととしている。

    第三に、「ヒューマン・ファイアウォール(human firewall)」の強化として、中小企業向けサイバースマート・プログラム(CyberSmart Program)による支援及び認証を実施し、「今すぐ行動、安全を維持せよ(Act Now. Stay Secure)」キャンペーンの拡充並びに通信事業者及びクラウド事業者との連携による上流段階での脅威遮断を推進していく。

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一目でわかる世界のICT

一目でわかる世界のICT

  • 国際エネルギー機関(IEA)は、2025年4月に発行した報告書「Energy and AI」において、AI開発・普及の急拡大に伴い、データセンターの電力需要は2030年までに2倍以上に増大すると予測している。学習・推論に膨大なデータ処理を必要とするAIの開発・普及に対応するため、GPUベースのアクセラレーテッドサーバーを実装したハイパースケール型データセンターの建設が進み、世界レベルで電力消費が増加すると述べている*。
    *例えば、OpenAIのGPT-4について、14週間のAI学習に消費する平均電力量は1日0.43GWhで、先進国の2万8,500世帯、途上国の7万500世帯が1日に消費する電力量に相当するとされている。
     
    <2005~2024年のデータセンターの電力消費量>
    同報告書によれば、2024年の世界の電力消費量は約415TWh、データセンターの電力消費は過去5年間で年間12%増加し、世界の電力消費量の1.5%を占めている。また、データセンターによる世界の電力消費量の約85%は、米国、欧州、中国で占められている。各国の状況は以下の通り(図表1参照)。
    • 米国:2024年の米国の電力消費量は約180TWh。2015年から2024年の間に年間12%増加し、世界のデータセンターの電力消費量全体の約45%を占めている。
    • 中国:2024年のデータセンターの電力消費量は約100TWh。2015年以降の電力消費量が大幅に拡大し始め、2015年から2024年の間にデータセンターの電力消費は年間15%増加し、世界のデータセンターの電力消費量の約25%を占めている。
    • 欧州:2024年のデータセンターの電力消費量は70TWh(推測値)で、欧州の電力消費量の2%弱を占めている。データセンターの世界の電力消費量に占める欧州の割合は15%強。
    • 日本:データセンターの電力消費量は20TWh未満(推測値)で、日本の総消費量の約2%。

    <2020~2030年のデータセンターの電力消費量>
    2030年のデータセンターの世界の電力消費量は、2024年の2倍増の945TWhとなり、2030年の世界全体の電力消費量の約3%弱を占めると推測されている。また、データセンターの電力消費量は年間約15%増加し、他のすべての産業セクターの電力消費量の増加率の4倍以上と推測されている。データセンターの電力消費量の増加は中国と米国で顕著であり、2030年の世界全体の増加分の約80%を占めている。各国の状況は以下の通り(図表2参照)。
    • 米国:2024年のデータセンターの電力消費量よりも約240TWh増加(130%増)。一人当たりデータセンター消費量が最も高く、2024年の約540kWhから2030年に1,200kWhを超える。
    • 中国:2024年のデータセンターの電力消費量よりも約175TWh(170%増)。データセンターの一人当たり消費量は2024年の約70kWhから2030年には約200kWhに達する。
    • 欧州:2024年のデータセンターの電力消費量よりも45TWh以上(70%増)。データセンターの一人当たり消費量は2024年の約100kWhから、2030年には約165kWhに達する。
    • 中国を除くアジア太平洋:日本のデータセンター電力需要は2024年よりも約15TWh増加(80%増)となり、一人当たり消費量は270kWhに達する。また、シンガポールとマレーシアにおけるデータセンターの電力需要が2030年までに2倍以上に増加する。

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