2025.11
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欧州ジョイントリサーチセンターがAI導入に関する調査報告を発表

EUの政策適用状況分析機関である欧州ジョイントリサーチセンターは10月に教育、行政機関、一般企業等へのAI導入に関する二つの調査結果を発表した。
一つは欧州委員会の「AI適用戦略」の発表に合わせて、これまでの公開協議結果を分析したもので、主な結論は以下の3点である。
1)教育機関におけるAI関連のプログラムの普及度は、専攻によりばらつきが大きく、ICT以外では情報通信が44%であったのに比べ、サービスや教育では1%であった。
2)公的機関へのAI導入成功には、担当者が導入は試験的にではなく実施前提でという認識を持つことが重要である。
3)中小企業へのAI導入にはEUが主導して研修やワークショップ情報、関連法や倫理規定の解説を与えるデジタルイノベーションハブ(EDIH)が重要である。
もう一つの調査は、労働環境におけるデジタルツールの導入状況についてのもので、調査対象の93%超が何らかのデジタルツールを使用しており、うちネット接続デバイスは75%、通信プラットフォームは65%を超えているが、AIはまだ30%程度であった。AIの用途は翻訳、記録、データ処理、画像生成、企画草案作成、顧客へのアドバイス等である。
この調査ではまた、職場におけるモニタリングツールの利用と労働の自律性の関係について、物理的な労働時間計測や自律性に影響を及ぼす「プラットフォーム化の徹底」は労働者のストレスの増大を招くが、拘束性が弱く情報提供的な「プラットフォーム化」は労働の自律性を高めることが明らかになった。