2025.11
- マレーシア
- セキュリティ、プライバシー
- 国別・地域別トピック
SNS利用に個人登録情報を利用することで議論

通信マルチメディア委員会(Communication and Multimedia Commission: MCMC)は、SNS利用登録の際に「電子顧客識別(electronic Know Your Consumer:e-KYC)」システムを利用する方向で調整を進めている。e-KYCは中央銀行が2025年から使用しているシステムで、口座開設、保険契約関連等、金融機関を中心に使用されており、政府が発行する身分証明書に紐づけられ、各種の個人情報や生体認証のための顔や指紋の情報、口座の有無など金融機関との簡易な関係情報までが登録されている。システムは、法律事務所や宝飾店などに利用が拡大しつつある。MCMCは、オンライン賭博等の防止にもe-KYCが有効だと考えている。
MCMCがSNS利用登録の正確化を急ぐのは、10月中旬に起こった高校生が同じ高校の生徒を刺殺する事件や7月の中学生の自殺に、SNSがネットいじめや凶器購入等の形で大きく関与しているためである(2025年10月記事参照)。一方でこうした情報が広く共有されることに懸念を抱く市民は多く、市民団体等が強く反対の声を上げている。また、金融機関を利用しない層や政府のデジタル登録自体を利用したくない層も一定数存在し、包摂性にも課題がある。なお、13歳以下はSNSへの登録が禁止されている。