経済・財務・産業及びデジタル主権省(MEFS)は、2025年末までに衛星運用事業者ユーテルサットに13億5,000万EURの増資が行われると発表した。うち約7億1,700万EURは国が国立の投資エージェンシーを通じて出資、出資後の国の同社資産保有率は29.99%となる。残りはインドのBhartiグループ下のBharti Space(増資額は3,140万EUR、資産保有率は18.70%)、国内海運・メディア大手のCGM CMA(増資額は約1億EUR、資産保有率は7.81%)及び一般の投資ファンドによる。
今回の増資の主目的は同社の低軌道衛星コンステレーション事業の発展であり、特にEUの「衛星インフラによるレジリエンス、相互接続性、セキュリティ(IRIS)」計画への貢献が重要視されている。ユーテルサットは欧州の衛星事業者では唯一低軌道衛星(LEO)事業を実施しており、仏本国の防衛のほか、EUやNATOの軍事通信、サイバーレジリエンス、政府機関のコネクティビティの安全性確保等を支援している。
なお、ユーテルサットは6月初旬に仏総合通信市場シェア第1位のオレンジと「Oneweb」提供に関する提携を結んだ。「OneWeb」は低軌道で複数の衛星を周回させる衛星コンステレーションにより、カバレッジの拡大と確実で安全度の高い接続を両立、ルーラル地域も含めて広い地域への情報伝達を行う企業や官庁に向いたサービスである。オレンジはこれまでにも中東・アフリカでのブロードバンド接続サービス等でユーテルサットと協力してきたが、今回の提携では、法人向け衛星ブロードバンド及びモバイル・バックホールサービスの充実を図り、カバー地域を世界レベルに広げることを目指している。
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