2017.12.21
【欧州】ポストユーロップ、欧州委員会(EC)に小額小包VAT免税措置廃止の延期を要求
欧州で、海外からの小額輸入品(現行:22ユーロ未満)に適用されてきた「小額小包VAT(付加価値税)免税措置(VAT de minimis exemption)」条項が、もしEコマース商品に適用されなくなれば、郵便配達産業界は10億ユーロの追加的な処理コストを負担しなければならなくなるとの研究結果が示された。
この研究結果は、ポストユーロップ(Posteurop:欧州郵便事業体協会)の依頼で、コンサルティング会社コペンハーゲン・エコノミクス(Copenhagen Economics)がまとめた報告書「Eコマース輸入品の小額VATの廃止による影響(Effects of removing the VAT de minimis on e-commerce imports)」に示されている。
ポストユーロップは、「小額小包VAT免税措置の条項が廃止されれば、各国の税関・税務当局とネット販売者とに過度の事務的負担が生じる。そうした負担は結果的に、EU域内の顧客に影響を及ぼすことになり、欧州でのEコマースの成長を妨げる。ECが目指す<企業‐消費者間の越境Eコマースの改善に向けたVAT規則の現代化>に矛盾するものだ。したがって郵便事業体は、ECのVAT見直し案の当該部分について慎重に再考し、より適切な問題解決策が見つかるまで、小額小包VAT免税措置の廃止を延期するようECに勧める」と、述べた。
(Post Europ 2017年11月6日等)
(ひと言)
欧州委員会(EC)は、2016年12月、欧州デジタル単一市場戦略の一端を担う、具体的な取り組み「EU域内におけるEコマース環境の向上を狙いとしたVAT制度の見直し案」を提示した。これには、VAT手続きを簡素化して、事業者のビジネスコストを削減させることや詐欺問題の解決等が含まれているが、同時に現行の小額小包VAT免税措置の廃止も盛り込まれている。ECによれば、この小額VAT免税を不正に利用されているケースが相次いでいるという。
なお、上記の郵便業界の意見書にもかかわらず、2017年12月5日に、VAT見直し案は、ECで変更なく採択された(小額小包VAT免税措置の廃止は2021年が提案されている)。