2014.02.28
【中国】中国郵政速逓物流(中国郵政EMS)、新規株式公開を撤回
中国郵政速逓物流(中国郵政EMS)は、これまで5年かけて新規株式公開(IPO)の準備をしてきており、宅配便業界初の上場企業になるはずであったが、昨年12月27日にIPOを撤回することを発表し、業界で話題を呼んでいる。
同社は、市場における競争への対応力を引き上げるため、既存の本社・子会社体制を効率的でネットワーク型企業にふさわしい本社・支社体制に変更するという戦略的見直しを行うとともに、直営地域や管理者を市場状況に応じて調整するとし、その際の社内調整がIPOの進捗に影響することを考慮して自主的にIPOの撤回を申請し、社内調整後に市場環境の変化に応じて資金調達方法を再度検討するとしている。
(中国郵政速逓物流 2013年12月17日等)
(ひと言)
民間宅配便事業者からの競争圧力を受け、中国郵政EMSのシェアは徐々に下落しており、宅配便の価格競争が激化する中で上場しても、中国郵政EMSは、シェアか純利益のどちらか片方を犠牲にしなければならないという状況に陥る可能性が高いと見られている。
また、これまで中国郵政EMSは本社・子会社体制で運営してきているが、各省・自治区・直轄市の子会社間で全社運営やサービス水準の統一ができておらず、全社的な競争力は高くなかった。
業界全体が不正競争、低収益力、未熟な企業管理等の課題を抱えている現時点においては、中国郵政EMSだけでなく、円通速逓や韻達快運もIPOの意欲を有しているが、上場企業はまだ1社も出ていない。