2013.03.04
【オランダ/米国】UPS、TNT買収を撤回へ
2012年3月、UPSはTNTを約51億6,000万ユーロで買収することで合意したが、欧州委員会は域内の競争を阻害する懸念があると難色を示した。
UPSとTNTは2012年に2度にわたり欧州委に譲歩案を提示したものの、同委は2013年1月11日に提示案では認可に不十分とし、1月30日にUPSによるTNTエクスプレスの買収を承認しないことを正式に決定した。そのため、この決定を受けて、UPSも買収オファーを撤回した。
欧州委員会は、EU15か国内でTNTエクスプレス子会社を売却するというUPSの提案も、このような市場競争に与える影響を緩和するには不十分とした。
UPSは、TNTに対して違約金として2億ユーロを支払う。
(UPS HP、TNT Express HP、EU HP 2013年1月30日等)
(ひと言)
EU域内では、UPS、TNT、DL、FedExの4社が文書・小包の空輸・地上輸送ネットワークを持つインテグレーター大手として認識されているが、欧州委員会はFedExについてはいくつかの市場でのシェアが低いため、合併したUPS/TNT、DHLに代わる選択肢とは成り得ないとした。同委はこの買収が実現した場合、主要急送事業者の数が減少し、小包配送料金値上げにつながる可能性が高いと判断。また、国営郵便機関についても、地上輸送への依存度が高いことなどから効率性や信頼性では比肩し得ず、競争力も限られるとしている。