2026.07.28
【EU】欧州委員会がサイバーセキュリティとAIに関するEU行動計画を公表、AIモデルの評価体制を2027年までに構築へ
欧州委員会は7月7日、先進的なAIモデルが引き起こすサイバーセキュリティ上のリスクへ対処しつつも、その機会の活用を目指すEU行動計画を公表した。同行動計画は、悪用あるAI利用による自動サイバー攻撃や脆弱性の特定を防ぐため、AIとサイバーセキュリティに関するEU独自の法的枠組みに基づき、加盟国や産業界と連携してデジタル環境の防衛を強化するもので、以下の三つの相互補完的な目標を示している。
1)先進AIの安全かつ責任ある利用の促進
2)EUのサイバーセキュリティとレジリエンスの強化
3)サイバーセキュリティのための欧州のAI能力の拡充
同行動計画の主な内容は以下のとおり。
*AIモデル評価体制構築:EU「AI法」に基づき、上市前のAIモデルの評価を徹底するため、2027年の運用開始を目指してAIモデルの「EU評価能力」を構築する公募を開始する。
*先進AIモデルへのアクセス確保:欧州サイバーセキュリティ機関(ENISA)と共同で、サイバーセキュリティ分野における先進AIモデルへのアクセスに向けた青写真を策定する
*AIテスト用プラットフォーム構築:ENISAと欧州委員会の共同研究センターによって、シミュレーション環境の利用を含む、安全なAIテスト用プラットフォームを構築する。
*脆弱性の修正とインフラ強化:オープンソースモデル等の既存AIを活用した迅速な脆弱性の修正を各組織に促す。ENISAは官民やオープンソースコミュニティの連携を支援する。
*欧州のAI能力拡大:AIを活用したセキュリティソリューションを競う「EUグランドチャレンジ」を実施する。さらに、「技術主権パッケージ」で発表された投資枠組みなどを通じ、欧州独自の主権的AI能力の開発・投資を推し進める。
なお、今回の行動計画の背景には、米AIスタートアップのアンスロピックが開発した先進AIモデルを巡るサイバーセキュリティ上の懸念と、欧州が先進AIモデルへどのようにアクセスしていくかという喫緊の課題があるとみられている。