米国で、州独自のAI規制を排除し、連邦レベルで統一されたAI政策枠組みを確立する法案が相次いで公表されている。ホワイトハウスは3月20日、AIの安全性とセキュリティに関する統一的な政策を確立するための立法枠組みを発表。これに先立つ同月18日には、共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員が連邦AI規制法案「TRUMP AMERICA AI Act」の草案を公表している。ホワイトハウスは3月20日、AIの安全性とセキュリティに関する統一的な政策を確立するための立法枠組みを発表。議会に対して、AIへの規制を最小限に抑え、州が独自のAI規制を制定することを阻止するよう求めた。この立法枠組みが掲げる政策目標は、子どもの保護と保護者の権限強化、地域社会の安全確保と強化、知的財産権の尊重とクリエイターの支援、検閲の防止と言論の自由の保護、イノベーションの促進と米国のAI覇権の確保、国民のAI教育とAI対応人材の育成という六つで、AI規制における連邦レベルの統一的アプローチの確立がその中核となる。MeriTalkによれば、トランプ政権は以前から連邦法が州のAI規制法よりも優先されるべきだと主張しており、トランプ大統領は2025年12月、AIに関する州法を形骸化する大統領命令に署名し、単一のAI規制枠組みを設けるよう求めていた。一方、共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員は3月18日、AIの国家政策を定める「米国産業全体にわたる州際規制の混乱を排除し、国家統合、能力主義、成果向上及び機械知能の発展を促進する法(The Republic Unifying Meritocratic Performance Advancing Machine intelligence by Eliminating Regulatory Interstate Chaos Across American Industry Act:TRUMP AMERICA AI Act)」法案草案を発表した。
300ページに及ぶこの草案は、「子ども(Children)」「クリエイター(Creators)」「保守派(Conservatives)」「コミュニティ(Communities)」という「四つのC」の保護に重点を置いた内容で、州によるAI規制の無効化も含まれている。また、米国標準技術研究所(NIST)のAI標準・イノベーションセンター(CAISI)を成文化し、全米科学財団(NSF)の国家AI研究リソース(NAIRR)パイロット事業の正式なガバナンス・資金調達の枠組みを整備する。同法案の主な内容は以下の通り。
- オンラインプラットフォームにおける子ども(17歳未満)の保護:政府発行の身分証明書による年齢確認の義務化や、未成年に対する有害なチャットボットの禁止(最大10万ドルの罰則)及び安全措置の導入。議会に助言・勧告する「子どものオンライン安全評議会」の設置。
- クリエイターの保護:著作権者によるAI学習データの開示請求権や、AI生成・加工コンテンツを識別・ラベル付け・追跡するための標準とツールの整備、特定コンテンツのAI生成ラベル付けの義務化。
- 保守派の保護:高リスクAIシステムの開発者に対し、政治的所属や思想的偏向の有無を検出するための独立した第三者による年次監査の実施を義務付け。連邦機関によるAI調達は「偏りのないAI原則」に準拠したモデルに限定。
- AIの安全性:AIチャットボット開発者に対する「注意義務(duty of care)」や、AIシステムに対するリスクベースの追加規制枠組みの導入。AIによる雇用への影響について、四半期毎の労働省への報告義務付けと一般公開。AI関連インフラのコストが一般家庭に不当に転嫁されることを防ぐ保護措置の導入。
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