ワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)を巡る買収争奪戦が激しさを増している。WBDは自社を制作・動画配信部門「ワーナーブラザース」とケーブルネットワーク部門「ディスカバリー・グローバル」に分社化する計画を進めているが、今年10月、複数社から買収提案を寄せられているとして、事業売却を検討する方針を明らかにしていた。今回、正式に名乗りを上げたのは、動画配信大手ネットフリックスとメディア大手パラマウント・スカイダンスの2社。ネットフリックスは12月5日、制作・動画配信部門を約720億ドルで買収することでWBDと合意したが、3日後の8日にはパラマウント・スカイダンスがWBD全体を約1,084億ドルで買収する敵対的買収提案を提示した。WBDは17日、資金調達に懸念点があるとして、パラマウント・スカイダンスの敵対的買収提案を正式に拒否。これによりネットフリックスとの合併が現実味を帯びたが、状況は依然流動的である。第一に、パラマウント・スカイダンスが更なる高値で再提案する可能性がある。敵対的買収提案の際、同社は「最終かつ最高額ではない」として増額を示唆していた。第二に、政治的リスクが存在する。トランプ大統領はネットフリックスの市場シェアが拡大すれば問題になる可能性があると発言しており、買収の承認判断に自ら関与する意向を示している。
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