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ICTワールドニュース

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研究員が日々収集・作成する情報の中から、現在日本での関心度が高いと考えられる、米・欧・アジアをはじめとした世界の主要なICT関連ニュースをセレクトして定期的にホームページに掲載していきます。

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2025.12.05

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  • EU

【EU】欧州委員会、「新デジタルパッケージ」イニシアチブを発表

  欧州委員会はEU政府のICT関連法適用にかかる行政手続きとコンプライアンス合意にかかる時間を短縮してイノベーション推進と経済規模拡大を図るためとして、以下の3項目を柱とした「新デジタルパッケージ」イニシアチブを発表した。
 
1)デジタルオムニバス
 AI、サイバーセキュリティ及びデータにかかわる法規の簡素化により以下を実施する。
  • 「AI法」で定められた高リスクAIシステムへの規制の適用開始時期を委員会が標準化と支援ツールの入手可能性を確認した時期(16か月まで)とする。また中小企業への技術要件を軽減する、自動車等の基幹産業を中心的に2028年からEUレベルのサンドボックス規定を設ける、EU政府のAIオフィスの権限を強化し汎用AIモデルに基づくシステムで監督機能を集中化する等、同法を一部改正する。
  • 複数の法規が個別に企業に義務付けているサイバーインシデント報告の窓口を一本化する。
  • 「データ保護規則」を高レベルの個人データ保護規定に抵触しない範囲でイノベーションフレンドリーな形式に改正する。
  • サイト閲覧ごとに表示される「cookies同意」を一度のクリック結果が持続する形式に改変する。
  • 「データ法」が定めるデータアクセス規定を一般消費者及び法人にとってより実用的な形式に改変する。具体的には、現在の4部構成を1部に縮約する、クラウド事業者変更規定に一部適用除外対象(中小企業等)を設ける、「データ法」のコンプライアンス義務に関する新ガイダンスを作成する、欧州のAI企業のデータアクセス許可の幅を広げる等。
2)データユニオン戦略
 「デジタルオムニバス」を支援する形式でAIの高価値データへのアクセスの許容範囲を広げるとともに、欧州のデータ主権を強化する。

3)欧州ビジネスウォレット
 域内の官民がデジタルツールを共有、自国外のEU諸国での税の支払や各種問い合わせ、報告書の監査等の手順を単純化する。
 欧州委員会はICT関連規則の簡素化により、2029年までに行政コストを50億EUR削減、また「欧州ビジネスウォレット」により、域内企業は合計で年間1,500億EURの経費節減ができると予測している。
 
 欧州委員会はICT法規の簡素化につき、複数のステップでの実現を計画、今回の提案はその第1回である。第2回の提案については、2026年3月11日まで公開協議が行われる予定である。提案がすべて一般に公開された後、欧州議会とEU理事会が採択に関する審議を開始する。なお、「デジタルオムニバス」の一般公開に先立ち、複数の個人情報保護団体が、「一般データ保護規則(GDPR)」改正案にAI企業による個人データ収集に白紙委任状を与えるかのような記述があり、欧州市民の基本的人権侵害が懸念されるという意見を表明している。