グーグルは11月4日、AIデータセンターのエネルギー大量消費問題を解決するため、AIチップを搭載した太陽光発電衛星を宇宙に打ち上げることを目指す新たな研究プロジェクト「プロジェクト・サンキャッチャー（Project Suncatcher）」を発表した。この計画が実現した場合、データセンターの電力需要急増が招く発電所の排出量増加や公共料金の上昇といった懸念を解消するだけでなく、実質的に無尽蔵なクリーンエネルギー源を基盤としたAI活用の拡大が可能になる。グーグルの構想は、ソーラーパネルを装備した衛星に機械学習向けのプロセッサであるテンソルプロセッシングユニット（Tensor Processing Unit：TPU）を搭載し、地球周回軌道上で運用するもので、同社によれば、宇宙空間での発電効率は地球上よりも最大8倍向上し、バッテリーの必要性も軽減される。もっとも、実用化に向けては、良好な衛星間通信環境の整備が大きな課題になる。グーグルは、地上のデータセンターと同等の性能を発揮するためには「1秒当たり数十テラビットをサポートする衛星間のリンクが必要だ」としている。The Vergeによると、実現には衛星群を数キロメートル以下の間隔で展開させる必要があり、現在運用されている衛星間の距離よりもはるかに近く、スペースデブリ増大のリスクがある。また、TPUを高いレベルの放射線に耐えられるようにすることも課題となる。グーグルは、軌道上でのハードウェアテストのため、地球観測スタートアップのプラネット・ラボと共同で、プロトタイプ衛星を2027年初頭までに2基打ち上げるとしている。
米国・市場に関する詳しい情報はこちらへ