2025.10.27
【EU】オンライン上での未成年者保護強化に向けた動向
欧州委員会委員長のフォン・デア・ライエン氏が今年9月の一般教書演説で未成年のSNS利用規制について言及し、EU理事会議長国のデンマークも就任以前から未成年者保護を優先課題に据えるなど、オンライン上での未成年者保護がEUの中心的政治課題の一つとなっている。
欧州委員会は10月10日、Snapchat、YouTube、Apple App Store、Google Playに対し、各社が実施しているオンライン上での未成年保護措置に係る情報提供を要請。同要請は、今年7月に策定された未成年者保護ガイドライン(「デジタルサービス法(DSA)」に準拠)に基づく最初の調査であり、欧州委員会は同日、同ガイドラインと合わせて公開された年齢確認アプリのプロトタイプを改善する第2版も公開した。また同日には、DSAの執行・監督を支援する独立諮問機関である欧州デジタルサービス会議(EDSB)の未成年者保護作業部会が、所管官庁と連携し、小規模オンラインプラットフォームのDSA順守に向けて取り組むことで合意した。
一方、デンマーク政府は同日、EU加盟国のデジタル担当大臣による非公式会合をデンマークで開催し、同国が主導する「ユトランド宣言」と題するオンライン上での未成年者保護に対策を講じる共同宣言に合意したと発表した。同宣言は、欧州委員会の取組に対して共通の政治指針を示すもので、ソーシャルメディアにおける効果的かつプライバシーの保護可能な年齢確認に関する法的要件を定めるよう求めている他、より安全なオンライン環境の構築や、依存性の高いデザインやダークパターンといったデジタルサービス上の有害な慣行に対する措置も求めている。
同月16日には、主要オンラインプラットフォームが未成年者を有害なオンライン慣行から保護出来ていない警告する報告書を、内部市場・消費者保護委員会が採択。議員らは、欧州委員会に対して、未成年者を有害なオンライン慣行から保護するためにDSAの未成年保護規定の活用も含めた施策強化を要請している。