2025.10.07
【EU】欧州は未成年のSNS使用に年齢制限を導入する方向へ
欧州委員会委員長のフォン・デア・ライエン氏は9月24日、「デジタル時代の児童保護」と題する講演で、EU域内の児童(9~15歳)がネット画像やSNSの閲覧に費やす時間が増え、いじめや自傷行為への示唆を受けるリスクも増大していることを危惧すると述べた。彼らが用いるアプリには未成年を魅了し依存に陥らせる力があり、それが米国の巨大プラットフォーマーの収益増につながっていることは否定できないという。同氏は、加盟各国の多くでSNSもアルコールや煙草同様にある程度の年齢になって初めて使用できるようにすべきだという意見が主流であるとし、オーストラリアのSNS使用年齢制限を評価している。EU政府は今夏にオンラインでの年齢検証ツールのプロトタイプをリリース、現在までにフランス、スペイン、ギリシャ、デンマーク、イタリアで導入されている。同氏はまた、SNSでの年齢制限導入に向けた次の一歩として、専門家パネルの設置予定を明らかにした。
欧州諸国ではイタリア(14歳以下)、ベルギー(13歳未満)、ドイツ(13~16歳)、フランス(15歳以下)等が未成年のSNSアカウント作成に保護者の同意を必要とする旨の条項をICT規制に導入している。フランスでは、フォン・デア・ライエン氏の講演の翌日にネットコンテンツ規制を司る視聴覚及びデジタルコミュニケーション規制機関(Arcom)がネット空間での未成年保護の基本方針は以下の2点にすると発表した。①プラットフォームへのアクセスは13歳以上とする、②デジタルサービス企業が未成年の成長に有益なサービスの充実を図るよう促す。