端末補助金の透明化と不当な補助金差別廃止を目的として2014年から施行されてきた端末流通法が廃止され、7月22日から端末補助金規制が撤廃された。今回の主な制度変更ポイントは次のとおり。
- 通信キャリアホームページでの支援金公示義務やケータイショップでの追加支援金上限(公示支援金の15%以内)の廃止。一方、制度変更による混乱を考慮して、キャリアは自主的に料金体系別、加入類型別支援金を従来通りにホームページに当面公開することにした。
- 補助金に相応する通信料金割引制度(25%割引き)は維持。
- ケータイショップ等は端末支援金支給内容と条件を契約書に詳細に明記すること。
端末流通法廃止後は不当差別禁止等の利用者保護条項は電気通信事業法に移管される。規制機関の放送通信委員会は7月17日に利用者被害予防についてキャリアを対象に指導している。今後政府は市場混乱防止策としてキャリア等が参加するタスクフォースを毎週2回以上運用しモニタリングを引き続き強化予定。補助金規制撤廃後の市況が大きく注目されたが、1週間が経過した7月末現在は通信キャリアがマーケティング競争に走る様子は見られず市場での混乱や特段の変化は見られない。現時点で考えられる要因として次の状況も考えられる。最大手キャリアSKテレコム(SKT)が4月に発生した大規模ハッキング事故の影響で6月後半まで新規加入募集を停止していたことで、競合2社がこの間にマーケティングを強化していた。また、SKTは新規加入受付再会とともに顧客特典を大幅強化している。さらに、もともと通信キャリア3社はAI開発とサービス競争を最重要視しているため、以前のような端末補助金マーケティングには資金を投下しなくなるともみられていた。韓国の通信料金引き下げと端末補助金規制を参考にして通信政策に反映してきた日本でも、今秋以降に規制からの出口戦略を模索することになりそうである。
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