6月3日の大統領選をひかえ、今回最有力候補とされる最大野党共に民主党イ・ジェミョン候補のICT分野関連公約に注目してみたい。10大公約の一つの経済・産業分野の公約では次の二つを目標に掲げている。
1.AI等新産業集中育成を通じ新たな成長基盤構築
2.K-コンテンツ支援強化でグローバルビッグ5文化強国実現
AIトップ3国入りを目指すため、AI予算増額、GPU 5万枚以上確保、「みんなのAI」プロジェクト推進と規制特例によるAI活用産業活性化を進める。コンテンツ分野ではKカルチャーグローバルブランド化を通じた文化輸出増、制作全段階への国の支援強化とOTT等Kカルチャープラットフォーム育成等を掲げる。ベンチャー投資市場育成で4大ベンチャー強国入りを目指す。
また、放送分野公約では、委員会の構成上政党に縛られ決定が滞りがちな規制機関の放送通信委員会の限界克服のため、放送映像メディア関連法制整備、公共放送の政治的独立保障に向けた制度整備、放送の報道・制作・編成の自主性保障等が盛り込まれた。信頼できるメディア環境整備に向けて、反憲法的・反社会的コンテンツに対するプラットフォームの責任制を強化する方針。
これらのICT分野公約を見ると、従来の政策路線の延長線上であり、現時点ではどの分野で独自色が発揮されるかがまだ見えない。AI分野については今回の主要候補は全員経済成長の中心軸に据えて一層力を入れていく方向では同じだが、AIガバナンス面では候補により違いがみられる。李明博政権以降の歴代政権では通信料金引き下げ策に力を入れてきたが、現時点では各候補の詳細な発言は出ておらず、新政権発足後の動向を見守る必要がある。なお、現与党の国民の力と共に民主党の間では、公共放送のガバナンスなど放送政策へのスタンスでは元々差がある。現在、複数省庁に分散している放送メディア機能の統合の必要性が以前から指摘されており、新政権発足後に省庁再編が実施される可能性もある。ICT分野ではこのようなポイントに着目して、韓国大統領選と新政権の動向に引き続き注目したい。
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