不法な端末補助金を規制する「移動通信端末装置流通構造改善に関する法律(端末流通法)」が2014年秋の施行から10年で廃止されることになった。12月26日の国会本会議で同法廃止案が可決された。この法律は韓国独自の端末割引規制であったが、日本の携帯料金「官製値下げ」と端末割引規制にも大きな影響を与えてきた。端末流通法の功罪についての見方は分かれるが、補助金規制の存在により、キャリアの補助金競争が停滞し、法施行前よりMNP件数が大幅に減り、端末価格が高止まりしたことが弊害と指摘されてきた。そのため、2024年になってから政府が廃止方針を決定し、法廃止に先駆け同年初めから新たにMNP割引が導入されるなど、補助金競争活性化に向けた措置が導入されてきた。
法廃止により韓国の端末補助金は完全な自由競争となるが、補助金に代わる通信料金割引や利用者権益保護等の今後も必要な規定は電気通信事業法に移管される。不当な差別禁止規定も事業法に移管され、今後の市場における不公正行為に対する監視は放送通信委員会が担う。新制度の施行は2025年6月27からの予定。
なお、法廃止後にキャリアの補助金競争が活性化するのか疑問視する向きもある。現在AI競争に専念する韓国モバイルキャリア3社はAI開発に巨額の資金を投じるため、以前のようには補助金競争に資金を振り向けないのではないかと見る向きも多い。補助金規制を韓国がやめることになり、それに倣って規制を強化した日本が取り残される形となった。日本のモバイルビジネス市場にどのような影響がもたらされるか、2025年の通信分野の注目ポイントの一つといえよう。
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