2025.01.06
【EU】EU理事会が欧州のデジタルインフラ政策の今後の方向性を示す白書への「結論」を採択
EU理事会は、12月6日、欧州委員会が策定した欧州のデジタルインフラ政策の今後の方向性を示す白書(2024年2月公表)に対する「結論」(注:法的拘束力を有するものではない)を採択した。EU理事会は、今回採択した結論について、デジタルインフラ分野における競争力を向上させ、既存・将来の課題に対処するための政治的指針を示すものだとしている。
EU理事会は結論の中で、デジタルインフラのイノベーション、セキュリティ及び強靭性を促進し、デジタル単一市場の潜在的利益を引き出すという欧州委員会のゴールを歓迎するとしつつ、欧州委員会に対しては消費者利益を促進するための効果的な競争を維持するよう求めた。特に、電気通信分野規制において需要と供給の両者を比例的に勘案することや、電気通信市場における投資を促進するための施策の提案にあたっては詳細な分析を行うこと、また、「同様のサービスに対しては同様の規制を課すべき」という論点に対しては、通信とクラウドサービスの融合が進んでいることを認めつつ、必ずしも同様の規制を課すことを示唆するものではないとした。
更に、「公正な負担(Fair Share)」の議論の一環として、OTT事業者にネットワーク投資負担を転嫁することを念頭に置く紛争解決メカニズムの導入については、EUのIP相互接続市場は適切に機能しており、新たな施策の導入に当たっては包括的・徹底的な分析と影響評価を基礎とすることが重要であり、かつ、オープンインターネット原則に沿ったものである必要があるとした。
汎EUの周波数施策の更なる調和については、既存の枠組みが良好に機能していると評価し、EU施策合理化のための既存枠組みの改善は支持したものの、周波数施策そのものは加盟国の規制機関の権限であることを強調した。加えて、市場統合により汎EUの電気通信事業者の創出を可能とする議論については、単一市場において全ての規模の事業者がビジネスの機会を得て、効果的な競争に貢献し、利益を得られるようにするべきとした上で、汎EUの事業展開によりもたらされる機会と投資課題への貢献、投資課題に寄与し得る他の施策の検討、そして消費者利益への影響を更に分析するよう促した。