ICTワールドニュース

欧州委員会ブルトン委員（域内市場担当）は、8月12日、Xを所有するイーロン・マスク氏に対して「デジタルサービス法（DSA）」遵守を促す書簡を送付した。書簡は、同日Xのプラットフォーム上で行われたマスク氏とトランプ前米大統領とのライブストリーミングインタビューや英国での暴動を念頭に置いたもの。ブルトン委員はマスク氏に対し、DSAがEU市民のアクセス可能なコミュニティやコンテンツに対して例外なく義務を課していることやXに対するDSAの正式な違反調査が進行中であることを強調した上で、表現の自由とメディアの多元性を守ると同時に、特にライブ放送中に有害なコンテンツが増幅されるのを阻止するための適切なリスク軽減措置を講じるよう強く求めた。なお、Euractivによると、今回の書簡発出タイミングと文言は、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長との事前調整も、欧州委員会の担当部局との合意もなされていないとのことである。

ブルトン委員による今回の書簡を受け、欧米の複数の市民団体・研究者は連名で懸念を表明している。市民団体The Future of Free Speechらはブルトン委員に宛てた2024年8月21日の書簡で、ブルトン委員は表現の自由を軽視しており、DSAの設計に反していると批判。市民団体Access Nowらによる2024年8月19日の書簡では、ブルトン委員がDSAを政治利用していると批判している。