2024.08.19
【EU】欧州AI規則が施行、責任あるAIの開発と展開を促進へ
欧州AI規則が8月1日に施行された。EUにおける責任あるAIの開発・展開の促進することを目的とする欧州AI規則は、AIの開発者・導入者に対してAIの特定の用途に係る明確な要件と義務を設けつつ、企業の管理上及び財政上の負担を軽減するものとなっている。リスクベースアプローチを採っており、容認できないリスクを有するAIは禁止されるほか、高リスクのAIに対してはリスク軽減システムの導入や基本的権利に関する影響評価を含む厳格な義務が課される。汎用AIシステムに対しては、システミックリスクの度合いに応じて透明性義務、モデル評価の実施、リスク緩和措置、インシデント報告等の義務が課される。またイノベーション・SME(中小企業)振興策として、加盟国にはサンドボックスの設置を義務付ける。
欧州AI規則は、施行日から2年後に全面適用されるが、禁止されるAIに係る規律は施行日から6か月後、高リスクシステムに係る規律は施行日から36か月後に適用が開始される。また、汎用AIに係る規律は施行日から12か月後、実践規範は施行日から9か月後に適用が開始される。なお、欧州委員会は、2024年7月30日、欧州AI規則に基づく「汎用AIに係る行動規範」に関する意見募集を開始し、2025年4月迄に同行動規範の策定を完了することを目指している。この行動規範は、AI規則の汎用AIに係る規律の適用を受ける事業者の指針になる。