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ICTワールドニュース

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2023.10.25

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【EU】欧州委員会ブルトン委員がデジタルネットワーク法構想を公表、業界団体も歓迎

欧州委員会ブルトン委員(域内市場担当)は、10月10日、電気通信分野の規制を再定義する新たなルールとして「デジタルネットワーク法」の構想を公表した。この構想は、同日に公表された電気通信セクター及びインフラに係る意見募集(2023年2月23日から5月19日に実施)の結果を踏まえてブルトン委員のブログで公表された。ブルトン委員は、技術革命に適応するためには通信事業者がスケールと機敏さをもって対応を行う必要があるが、現状では市場の細分化が妨げとなっているとし、具体的には周波数の獲得、統合、レガシーネットワーク、セキュリティなど真の電気通信の単一市場を妨げる規制の障壁が依然として数多く存在していることを挙げた。そして現政権の成果として、オンラインプラットフォーム・製品・サービスに対して明確な義務を課したこと(「デジタルサービス法」、「デジタル市場法」及び「AI法案」)並びにデータエコノミーを開放したこと(「データ法」)を挙げた上で、デジタル単一市場を完成させるためにインフラレイヤーに取り組む時が来たとした。

このゴールを完遂するために、1)国境を越えた事業運営及び新の汎欧州インフラ事業者の創設の促進、2)迅速な技術の導入のための事務コスト削減の規制枠組みの導入(特に周波数管理の見直し。)、3)テレコムセクターへのより多くの民間資本の投入(「公正な負担」の二分論に議論を矮小化させず資金調達モデルを検討することが必要。)並びに4)ネットワークのセキュリティ確保を掲げた上で、今後、野心的な提言として電気通信規制のDNAを再定義する、大胆で未来志向で革新的なデジタルネットワーク法を提案するとした。

これに対し、業界団体GSMAと欧州電気通信事業者協会(ETNO)は、連名で、デジタルネットワーク法構想の提案を歓迎する意を表明した。両者は、欧州のデジタルインフラの投資ギャップへの対応やコネクティビティのバリューチェーンにおけるEUの主導権強化の必要性に関して、欧州委員会が継続して注力しリーダーシップをとっていることを支持するとした。その上で、2030年に向けたデジタルの10年の目標を達成するためには、取組を加速することが必要であり、特に1)事業者が必要な規模を達成することができる新のテレコム単一市場の創出、2)低収益の改善、新たな資金調達モデルの検討及び周波数に係る課題の対処を通じたネットワーク投資の呼び込み並びに3)デジタル主権の観点からテレコムセクターの戦略的価値を認識することが重要だとした。