大容量トラフィックを占めるCPもネットワーク利用料を負担すべきか否かが争点となり、世界が行方を注目していた、いわゆるNetflix訴訟が双方合意で訴訟が取り下げられていたことがこのほど明らかになった。この訴訟は、大手固定通信事業者SKブロードバンド（以下、SKB）がNetflixにネットワーク利用負担を求めていたことに対し、NetflixがSKBを相手に「債務不存在確認」訴訟を提起。2021年6月の1審判決ではNetflixが敗訴し、控訴していた。これに対し、SKBもNetflix相手に「不当利益返還」訴訟を提起していた。双方の合意条件は明らかにされておらず、業界の憶測を呼んでいる。
韓国では、通信キャリアや有料放送事業者がNetflix等OTTをセットにした様々な商品を拡大している。このような訴訟が続いていたことからモバイルキャリア最大手SKテレコム（SKT）と系列の固定通信キャリアSKBの商品にはNetflixは組み込まれていない。このような背景下で、SKT/SKBとNetflixが9月18日に戦略的パートナーシップ締結を発表。提携を通じ、SKT/SKBは2024年上半期からスマホやIPTVでのNetflix提供、バンドルプランをはじめとする様々な商品を発売する計画。
今回の提携は、SKBとNetflixのネットワーク利用料訴訟の取り下げ合意により実現したもの。業界では、NetflixがSKBにネットワーク利用料に早々する経済的価値を一定部分提供することになったのではないかと見ている。今回合意にいたった大きな理由として、双方の疲弊もあげられる。なお、国内通信業界では、ネットワーク利用料負担に対する訴訟の結論が法廷で出せなかったことが残念とする声も聞かれる。訴訟取り下げとは別に、巨大CPに対するネットワーク利用料負担の在り方に対する社会的議論は今後も続けるべきという指摘もなされている。
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