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欧州委員会とEU外務・安全保障政策上級代表は6月20日、連名で欧州経済安全保障戦略に係る共同コミュニケを公表した。共同コミュニケは、開かれた力強い経済を最大限維持しつつ、地政学的な緊張の高まりと技術革新の加速を背景に生じる特定の経済の流れから生じるリスクを最小化することに焦点を当てている。共同コミュニケでは、経済安全保障に対するリスクを特定・分析・管理をするための包括的アプローチが戦略として提示されている。戦略では、4つの分野として、①エネルギー安全保障を含むサプライチェーン強靭性に対するリスク、②重要インフラに対する物理・サイバーセキュリティに対するリスク、③技術セキュリティ及び技術漏洩に関するリスク、④経済依存関係の武器化又は経済的威圧のリスクを挙げ、上級代表と連携し、適切な範囲で民間部門のインプットも受けながら、欧州委員会と加盟国が包括的なリスク評価を行うことが提案されている。更に、特定されたリスクの低減策として、次の三つのアプローチを提言している。

（１）単一市場を強化し、強力で強靭な経済を支持し、スキルに投資し、EUの研究・技術・産業基盤を育成することによりEUの競争力を高める。
（２）各種の既存政策・ツールを通じたEU経済安全保障の保護と、潜在的なギャップに対処する新たな政策・ツールの検討。その際、比例的（proportionate）かつ明確（precise）に行うことで、欧州域内や国際経済に対する意図しない負の波及効果を抑止する。
（３）経済安全保障を強化するために、可能な限り広範なパートナーと連携をする。具体的には、貿易協定の推進・締結、他のパートナーシップの強化、国際ルールに基づく経済秩序及び世界貿易機関（WTO）等のマルチラテラルな国際機関の強化、グローバル・ゲートウェイ（注：EUの途上国支援の戦略的枠組み）を通じた持続的な開発への投資等を通じて行う。
本コミュニケは、今後、加盟国、欧州議会、欧州理事会での議論を通じて具体化が図られる予定。