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2021.10.12

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  • 英国

【英国】BT及び東芝、ロンドンで世界初となる量子暗号化商用メトロネットワークを構築、実証実験を開始


BT及び東芝は、10月5日、ロンドンで世界初となる量子暗号化商用メトロネットワークを構築し、実証実験を開始したことを発表した。この新しいネットワークは、ロンドンのドックランズ、シティ及び郊外の高速道路M4コリドーの各拠点を結び、量子鍵配送(QKD)とポスト量子暗号(PQC)を用いてセキュリティを確保したデータサービスを提供する予定となっている。

BTは、同社傘下のオープンリーチ社のプライベートファイバーネットワーク向けの光スペクトラムアクセスフィルターコネクト(OSA FC)ソリューションを用いて、広帯域のエンドツーエンドの暗号化された専用リンクを含む一連の量子暗号化サービスを提供する。QKDリンクは、コアとアクセスの両方のコンポーネントを含む量子ネットワークを使用して提供され、BTの既存のネットワーク管理業務に統合される。東芝は、量子鍵配信ハードウェアと鍵管理ソフトウェアを提供する。

量子コンピュータの実用化に向けた開発の速さは、標準的な暗号化された鍵交換、認証、デジタル署名に対するリスクを増大させている。量子コンピュータを利用したセキュリティ攻撃は、5年以内に可能になり、10年以内に発生する可能性が高いという予測もある。QKDに基づくセキュリティの特徴は、鍵交換がいかなる計算や数学的進歩に対しても安全であるため、現在および将来の量子コンピュータによる攻撃を受けないことにある。

BT及び東芝はこれまで、2つの商業施設間にポイント・ツー・ポイントの量子暗号化リンクを構築してきたが、複数のエンドポイントを持つ完全な量子暗号化メトロネットワーク環境を展開するには、統合および管理のための新しいアプローチが必要となる。今回の新しいネットワークは、英ブリストルを拠点とする英国国立複合材料センター(NCC)および新しいデジタルエンジニアリング機能を開拓する非営利研究機関であるモデリング&シミュレーションセンター(CFMS)向けのBTと東芝のポイント・ツー・ポイント・ソリューションをベースにしており、このソリューションを拡張して、大都市圏の複数の顧客にサービスを提供する。ロンドンには、金融機関や法務機関など、データの機密性が高く、かつ最高のセキュリティを必要とするデータを持つ顧客が集中しているため、この技術を導入して試すには理想的な環境となる。

BT及び東芝はまず、データベースのバックアップなどの機密性の高いトラフィックをサイト間でやり取りする企業顧客に実証環境を提供し、暗号化されたリンクや「量子鍵サービス」など、将来的に提供可能なサービスを検討していく。BT及び東芝は、2020年に共同で、NCCとCFMSの間でデータを伝送する英国初の産業用量子暗号ネットワークを導入したほか、ケンブリッジ研究所で量子技術に関する広範な研究を行い、数々のマイルストーンを達成してきた。最近では、2021年6月に、600kmを超える光ファイバー上での長距離ツインフィールドQKDシステムの実証を発表している。

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