上院司法委員会反トラスト小委員会の委員長に就任する民主党のエイミー・クロブシャー上院議員は、2月4日、反トラスト法改正法案を発表した。クロブシャー議員が公表した改正法案の中身は、以下のとおり。
1)反トラスト法施行機関の予算増額:世界で最も裕福で最も洗練された企業に対して執行措置を講じ、競争を保護できるようにするために、司法省の独占禁止法部門と連邦取引委員会(FTC)などの関係政府機関の年間予算を増額する。
2)反競争的合併に対する禁止強化:クレイトン法第7条の当初目的である「初期」の競争問題に対処するべく、合併承認条件の厳格化や、合併が反競争的ではないことの立証責任を合併当事者が負うことで反競争的合併を阻止する。
3)有害な支配的行為の防止:支配的企業による反競争的行為を防ぐために、クレイトン法に競合他社に重大な不利益をもたらす行為又は競争の機会を制限する行為のを禁止規定を追加する。
4)FTCに新部門設立:市場調査と合併のレビューを実施するために、FTCに独立した「Office of the Competition Advocate」を創設する。
5)反トラスト法施行強化のための追加の改革の実施:過去の合併案件の研究や、内部告発の保護強化等を実施する。
CNBCによれば、同議員は、以前より現行の反トラスト法が十分に執行されていないと批判し、特に一部のIT大手にはより厳格に対処すべきだと主張しており、これまでも何度か反トラスト法を部分的に改正する法案を提出しているが、今回の「Competition and Antitrust Law Enforcement Reform Act」法案は、より全面的な改正を目指すもので、成立した場合、フェイスブックやグーグルなどには大きなリスクをもたらすことになる。なお、下院司法委員会反トラスト小委員会委員長のシシリーニ下院議員もアマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルに対する調査を通じて、同様の包括的な改革を呼びかけている。
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