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2020.06.12

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  • 米国

【米国】トランプ大統領、オンライン・プラットフォーム規制強化大統領命令に署名

トランプ大統領は、5月28日、ツイッターやフェイスブック、グーグルなどのオンライン・プラットフォーム事業者に認められている法的保護の一部を廃止する大統領令に署名した。オンライン・プラットフォーム事業者は1996年に成立した通信品位法第230条に基づき、ユーザが投稿したコンテンツについて法的責任を免責されてきたが、今回の大統領命令によりユーザ投稿について事業者に法的責任を問えるようになる。同命令の主な内容は以下の通り。

*商務長官に対し、60日以内に、司法長官と協議の上、通信品位法第230条の規定を明確にする規則を迅速に提案するよう、国家電気通信情報庁(NTIA)を通じてFCCに要請することを求める
*FTCに対し、虚偽的なコミュニケーションを行うオンライン・プラットフォーム事業者を取り締まること奨励する
*適切な州規定を検討する州検事総長によるワーキンググループの創設を求める
*連邦省庁に対し、言論の自由を制限するオンライン・プラットフォームへの広告出稿について見直し及び報告を求める

署名に同席したウィリアム・バー司法長官は、司法省がオンライン・プラットフォーム事業者を訴える方針であることを明らかにしたが、各方面からは大統領命令に対し批判の声が上がっている。例えば、フェイスブック、ツイッター、グーグルは、通信品位法第230条を廃止又は制限すれば表現や言論の自由が損なわれることになると大統領命令を強く非難しており、米国民生技術協会(CTA)や情報技術産業評議会(ITI)、オープン・テクノロジー・インスティテュート(OTI)、コンピュータ通信産業連盟(CCIA)もそれぞれこれに同調している。また、通信品位法第230条の共同提案者である民主党ロン・ワイデン上院議員は、同条が政治的中立性について規定していないことを指摘した上で、権力者の暴政へ抵抗する表現を保護することは合衆国憲法修正第1条の根幹だとして、大統領命令の違法性を主張している。更に、FCCを管轄下に置く下院エネルギー商業委員会のフランク・パローン委員長、マイク・ドイル同委員会通信・技術小委員会委員長、ジャン・シャコウスキー同委員会消費者保護・商業小委員会委員長は、民主主義に明確かつ差し迫った危険がもたらされると警鐘を鳴らした。

一方、FCC内での反応は分かれており、民主党のジェシカ・ローゼンウォーセル委員と同スタークス委員が合衆国憲法修正第1条や通信品位法第230条の意義を唱え大統領命令を牽制したのに対し、共和党のブレンダン・カー委員は大統領命令を強く支持することを明言している。同党のマイケル・オライリー委員は声明を出していないが、「大統領が法令の見直しを求める権利はある」、「保守的な立場として、リベラルなテクノロジー企業のトップによって意見が抑圧されることに困惑しているが、同時に、合衆国憲法修正第1条を守ることに身を捧げてもいる」とツイート。アジト・パイ委員長は多くを語らず、ナショナル・ジャーナルの記者に対して「この議論は重要である。FCCは商務省からの規則策定の要請を慎重に検討する」とコメントするにとどまっている。なお、多くの専門家は、今回の大統領命令の一部は違法である可能性が高いとして、その法的実効性を疑問視しているが、トランプ大統領は立法措置を示唆しているほか、共和党有力議員らも通信品位法230条に関する法案提出の構えを見せている。

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