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ICTワールドニュース

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2018.08.03

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  • 英国

【英国】ビジネス・エネルギー・産業戦略省、通信分野を含む外国企業による買収に対する政府介入権限強化


ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は7月24日、国家安全保障に関連する買収等の対英投資活動への政府の介入権限の強化等に関する改革案(「National Security and Investment:A consultation on proposed legislative reforms」)を公開諮問文書として公表した。現行の2002年企業法では、国家安全保障・金融の安定・メディア多様性の確保を理由とする一定規模以上の英国企業の合併・買収や特定分野における一定規模以上の合併・買収に限って政府が介入できる旨の規定が盛り込まれているが、今回の改革案では、当事者による当局への通知が奨励される任意通知制度を前提とした上で、通信分野を含む安全保障上のリスクを生じさせる可能性のあるあらゆる経済分野を対象とし、売上高や市場シェアに係る条件を撤廃するなど政府の介入権限の範囲を拡大する内容となっている。意見提出期限は10月16日(火)まで。改革案の主な内容は以下のとおり。

*あらゆる経済分野を対象としつつ、特に通信・原発・防衛・エネルギー・交通分野といった国家インフラセクターのほか、AI・機械学習、自動ロボットシステム、コンピュータハードウェア、暗号技術、ナノテクノロジー、ネットワーキング・データ通信、量子技術等の最先端テクノロジーセクターを、安全保障上のリスクを発生させる可能性が高い中核分野として位置付ける。
*政府として安全保障上の懸念が想定される案件(triggered events)についての当事者による通知を奨励。通知の実施に当たり、当該案件が買収先の法人又は財産(不動産、人的資産、知的財産、契約上の権利等)に重大な影響を与えるか又は支配権が及ぶことになるかを判断するガイダンス(「statement of policy intent」)を改革案に併せて公表。具体的には、買収先企業の株式の25%以上を保有する場合や買収先企業の資産の50%以上を保有する場合、買収先企業に重大な影響等を与えることができる場合(法人の事業活動や財産運用に関する指示・決定を行える場合)などについて通知の対象としている。
*政府は上記通知に基づいて安全保障上の懸念の有無に関する簡易審査を実施。ただし、当事者からの通知がない場合でも政府は介入権限を留保している。
*上記簡易審査において懸念があると判断された場合には、政府は介入権限を行使し、より詳細な国家安全保障審査を実施。当該権限の行使期限は、案件の検討段階又は案件実行後6か月以内を想定(現行の2002年企業法上は3か月以内)。また、当該権限の行使に当たっては、明確なリーガルテストの要件を満たすことを条件とする。原則として30営業日を上記評価に係る標準処理期間とし、最大45営業日の延長を認める。
*当事者と協議の上、必要に応じて当該懸念を払拭するための相応な条件を課した上での承認や買収阻止など問題解消措置を実施。

なお、既に本年6月より、短期的観点からの措置として、国家安全保障に密接に関連するセクター(軍事・軍民両用セクター、多目的コンピュータハードウェア及び量子技術といった高度技術セクター)の合併・買収については、合併等される企業の売上高が100万ポンド超の場合又は合併等によって25%以上の市場シェアが生じる場合には政府が介入できるよう要件緩和を実施したところであるが、今回の改革案はより長期的観点からの措置として提案されているものである。政府の初期の試算によれば、政府への通知件数は年間約200件と想定され、このうち100件が詳細審査の対象となり、さらにそのうち50件程度について政府の介入が必要になるとみている。

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