2018.01.22
【米国】マースクとIBM、ブロックチェーン技術による海運業界向け国際貿易プラットフォーム開発へ
世界最大の海運企業であるA.P. モラー・マースクは1月16日、IBMとともに、ブロックチェーン技術をベースにした海運業界向け国際貿易プラットフォームを開発することを発表した。海運業界では、1950年代にコンテナが発明されて以来、革新的なイノベーションに乏しく、国際貿易では今なお多くの紙の書類や行政手続きが必要となっている。例えば、東アフリカから欧州に冷凍品を輸送する場合、30近くの人・組織を経由し、200件を超える通信のやり取りが行われ、文書や行政手続き関連の費用がコンテナ輸送にかかる費用の最大5分の1を占める場合もある。
これに対し、今回開発されるプラットフォームは、サプライチェーン内のプロセス全体をデジタル化することで世界を行き交う膨大な数のコンテナの追跡・管理を支援し、取引にかかる時間と費用を大幅に節約する。同プラットフォームは2018年中頃に海運業界向けに提供を開始する予定だが、その成功は、マースクとIBMが荷主や貨物フォーワーダー、海上輸送業者、港湾・税関当局の賛同をどれだけ集められるかにかかっている。
マースクのヴィンセント・クラークCCOは、海運業界のデジタル化とテクノロジー活用に欠けているのは、エコシステム全体が共通に使える道具だと指摘しており、エンドカスタマー側から現状の改善を求める声が強まっていることを明らかにしている。プラットフォームの導入については、業界の一部が抵抗する可能性はあるとしているが、米国、シンガポール、オランダ、中国・広東省の港湾・税関当局や一部の海運企業は新プラットフォームの利用に関心を示しているという。