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2017.12.27

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  • 米国

【米国】FCC、ネット中立性規則の廃止を決定

 FCCは12月14日、2015年に制定されたネット中立性規則の廃止を決定した。委員の票は予想どおり、共和党委員3人が賛成、民主党委員2人が反対と党派ラインではっきり分かれた。同規則の廃止は、民主党、ハリウッド、アルファベットやフェイスブックなどのテクノロジー企業が反対する中での採決となったが、AT&Tやコムキャスト、ベライゾンといった大手ISPにとっては勝利となる。また、今年のFCC委員長就任以来、電気通信関連規則の廃止を進めているアジト・パイ氏にとっても大きな成果となる。ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は、今回の決定について、政府はFCCを支持しているとした上で、「同時にホワイトハウスは自由で公平なインターネットも支持している」と語った。

 一方、民主党に所属するニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン検事総長は、今後複数の州とともに、規則廃止に異議を申し立てる訴訟を起こすとの声明を発表した。 現行規則は、行政予算管理局(OMB)が今回のFCC決定を正式に承認した上で廃止されるため、実際の廃止は数か月後となる。消費者が規則廃止直後から大きな変化を目の当たりにする可能性は低いが、小規模な新興企業からは、規則廃止が費用増あるいはコンテンツのブロックにつながるのではと懸念する声も上がっている。ISPは、合法的なコンテンツをブロックしたり、通信速度を制限することはないとしているが、有償優遇措置については含みを持たせている。ただ、ISPは、2015年にネット中立性規則が制定される以前も、インターネットは健全に機能していたと主張している。

 共和党系FCC委員のマイク・オライリー氏も、ISPがコンテンツのブロックや不当な差別を行ってわざわざ自分たちの評判を下げるとは思えないとしているが、自動運転車や遠隔医療システムの通信については、インターネット上で優遇される必要があるかもしれないと語っている。民主党は、世論調査で規則廃止への反対が多いことを指摘。規則維持を求める声は裁判所、あるいは連邦議会で勝利を収めるだろうとしており、民主党のエドワード・マーキー上院議員は、FCCの採決直後、他の15人の上院議員とともに、FCCの決定を覆し、ネット中立性規則を復活させる決議案を提出することを発表している。

 また、民主党系FCC委員のジェシカ・ローゼンウォーセル氏は14日、今回の決定に対する反対意見を発表。規則廃止はISPに極めて大きな力を与えるものだとし、これらのISPはインターネット・トラフィックを差別・操作する技術力と、ビジネス上の動機を持ち合わせていると指摘。FCCは彼らにゴーサインを出してしまったとしている。ブロードバンド事業者等で作るUSテレコムは規則廃止を歓迎する声明を発表。これがネットワークへの投資を促すだろうとしているが、アルファベット、フェイスブック等が加盟するインターネット・アソシエーションは、その声明で、「規則維持を求める戦いは終わっていない」との考えを明確にし、FCCの決定に対して訴訟を検討しているとした。