2017.12.04
【米国】FCC、ネット中立性規則廃止案を発表
米連邦通信委員会(FCC)は、11月21日、ブロードバンド業界に対する規制を緩和し、ネット中立性規則を廃止する案を発表。これを、12月14日の採決にかけることを明らかにした。現行規則の多くは、一般世帯向けインターネット・サービスやモバイル・インターネット・サービスを提供するISPをコモンキャリアに分類したことで法的根拠を得ているが、アジト・パイFCC委員長はこの分類を改めることを提案。採決では、過半数を占める共和党委員が規則廃止に賛成すると見られる。パイ委員長の案では、ネットワーク管理について消費者に開示するようISPに義務付けた項目などの一部を除いて、現行規則は概ね廃止される。
FCCは今年5月、ネット中立性規則を廃止する規則制定提案公示 (NPRM) を出し、パブリックコメントを募集開始。2200万件集まったコメントの多くは定型文やスパムだったが、インターネット・ユーザーの多くは廃止に反対しており、重複を除いた一意のコメントの98.5%が規則廃止に反対する内容だったとの分析もある。
FCCがネット中立性規則廃止案を採択した場合には、規則支持派がその維持を求めてFCCを提訴する可能性が高いと見られる。この場合、原告は、FCCの規則廃止の根拠が誤っている、あるいは意思決定プロセスが不適切などと主張することが考えられるが、裁判所はこれまでコモンキャリア規則適用の是非についてはFCCの判断を尊重する判決を下している。