2016.09.05
【EU】仏独政府、暗号化通信へのアクセス拡大する新法制定をEUに要請
フランス、ドイツ両政府は、8月23日、テロ組織などがWhatsAppやiMessage、テレグラムのような暗号化通信を用いるメッセージ・アプリを利用するようになり、テロ計画の防止や捜査が阻害されているとし、インターネット・メッセージング・サービスを提供する事業者に対して、違法コンテントの削除や暗号化通信の解読で司法当局に協力するよう義務付ける新しい法律を制定するようEUに求めたことを発表した。
これに対し、米国のコンピュータと通信業界の団体CCIAは、「一連のテロ事件を受け、暗号化通信にバックドアを設け、政府機関のアクセスを拡大することを求める声があるのは理解できるが、セキュリティの弱体化は結果的にオンライン・システムがあらゆるタイプの攻撃を受けやすくすることにつながる」と述べ、もしEUがデジタル・セキュリティを弱体化させれば、本来の目標と真逆の効果を生むだろうと警告した。
欧州委員会は今秋、電気通信事業者を対象としたプライバシー/セキュリティ規則の適用範囲を拡大し、スカイプやWhatsAppといったインターネット経由の通信サービスもその対象に含める見込みだが、その詳細はまだ明らかになっていない。
グーグル、フェイスブック、ツイッター、マイクロソフトは今年5月、それぞれのウェブサイト上でテロを奨励していると通報のあったユーザーの行動を24時間以内に審査し、問題があればその投稿などを削除するよう義務付ける行動規範を遵守することでEUと合意している。ただし、これが適用されるのは、あくまで公開されたコミュニケーションに限り、ユーザー間のプライベートなメッセージのやり取りは対象に含まれていない。