2016.05.23
【英国】欧州委員会、ハチソン・ワンポワによるテレフォニカUKの買収を不承認
欧州委員会(EC)は、5月11日、スリーUKの親会社であるハチソン・ワンポワによるテレフォニカUK(O2)の買収案件に関し、同案件の承認は英移動通信市場における消費者の選択肢を減少させるとともに、競争の低下に伴う価格上昇や、移動通信セクターにおけるイノベーションの低下といった数々の強い懸念が拭えないとし、同案件を不承認とする判断を出した。
統合が実施されれば、英移動通信市場における新事業体の競争事業者は、ボーダフォンとBT傘下のEE(オレンジUKとTモバイルUKの統合会社)の2社に減少することから、英国の移動通信ネットワークインフラの開発を阻害することにより消費者へ提供されるサービスの品質にマイナスの影響を及ぼしかねないばかりか、他のモバイル事業者の通信をホストできるネットワーク事業者の削減という結果を生むとしている。
ECはまた、ハチソン・ワンポワから提出された一連の対策案は、これらの強い懸念を払しょくする内容ではなかったと説明している。ヴェステア競争政策担当委員は、移動通信市場における競争を維持することで、消費者が公正な値段で高質な革新的モバイル通信サービスを利用できるようにすることが重要であり、競争を弱める企業統合が消費者を犠牲にすることがあってはならないと説明している。