2014.12.02
【EU】EUデータ保護当局、「忘れられる権利」の適用拡大を要求
EU加盟28か国のデータ保護当局で作る第29条作業部会(Article 29 Working Party)は、11月26日、ネット上の「忘れられる権利」に関する新たなガイドラインを策定した。グーグルをはじめとする検索エンジンは、EU内だけでなく、「.com」アドレスを含むすべてのアドレスにこの権利に対応すべきとした。また、この権利に基づくリンク削除をウェブサイトに「定期的」に通知することは法的に根拠がないとし、このような通知を制限すべきともしている。
「忘れられる権利」への対応については、2014年5月に欧州司法裁判所でこれを認める判決が下されて以来、行政機関と検索エンジンの間で意見が対立しており、今回、データ保護当局の代表機関がその拡大を求めるガイドラインを定めたことで、両者の溝はさらに深まると予想される。
グーグルは現在、google.comなどEUドメイン以外のサイトでは「忘れられる権利」に対応しておらず、これについてはプライバシー保護団体からグーグルが権利の行使を制限しているとの批判がある一方、言論の自由擁護派は、欧州司法裁判所の判決がインターネットの検閲につながる危険もあると懸念している。第29条作業部会の決定には拘束力はないが、EU各国のデータ保護当局の意見を反映するものとしての重みは有する。