2015.04.02
【EU】欧州委員会、デジタル単一市場実現に向けた重点分野を設定
3月25日、欧州委員会の担当委員は、2015年5月に正式な発表を予定しているデジタル単一市場戦略の策定に向けて会合を実施し、デジタル単一市場の実現に向けた重点分野として三つの領域を設定した。
第一は、消費者ならびに企業によるデジタル商品やサービスへのより良いアクセスを確保することである。欧州委員会は国境を越えた電子商取引の促進を重視し、特に中小企業によるオンラインを通じた商取引を奨励する。その他、単一市場時代に即した著作権法の改正や国際的な商取引における付加価値税（VAT）の簡素化などに取り組む。
第二の政策課題は、デジタル・ネットワークやサービスの繁栄に向けた環境の整備である。欧州委員会は投資と新たな市場の開拓を促進するために、既存の電気通信ならびにメディアに関連する規則の見直しを検討している。特に消費者の利用が増加しつつあるVoIPやOTT映像配信における競争促進に期待を寄せている。また、EU域内における周波数協調を進め、他の地域と比べて立ち遅れた4G展開で巻き返しを図っていく。この他、オンライン環境の信頼向上を図るために個人データ保護の取り組みを強化していく。
第三の政策課題は、社会と経済のさらなるデジタル化により長期的な成長を実現することである。欧州委員会は、Industry4.0、ビッグデータ、クラウド・コンピューティングといった新たな技術トレンドへの対応を重視し、相互運用に向けて標準の確立などを手掛けていく。また、市民のデジタルスキルの改善、ならびに電子政府やeヘルスサービスの利用なども推進していく。