2015.05.22
【EU】欧州委員会、デジタル単一市場戦略を公表
欧州委員会は5月6日、欧州域内の電気通信市場統合に向けた具体的な計画を盛り込んだ「デジタル単一市場戦略」を公表した。欧州委員会はデジタル単一市場の創設により年間4,150億ユーロの経済効果と数十万の雇用創出につながると試算している。戦略の策定に当たった欧州委員会のアンシプ副委員長は「われわれの戦略は野心的で、対象領域に必要なイニシアティブが設定されている。デジタル化の未来において欧州が実りを得る準備は整った」とコメントしている。デジタル単一市場戦略は、三つの柱とそれぞれに連なる16のイニシアティブで構成されている。概要は次のとおりである。
1 消費者と企業によるデジタル製品やサービスへの国境を越えたアクセスを改善する。
(1)国境を越えた電子商取引の簡便化を図る規則を設ける。
(2)消費者保護に関する規則を見直し、迅速かつ一貫した消費者保護の規則を施行する。
(3)より効率的で利便性の高い荷物の配送体制を確立する。
(4)商取引における不当な地域制限をなくす。
(5)欧州の電子商取引市場の競争における懸念材料を明確にする。
(6)現代的な著作権法を制定する。
(7)放送事業者によるオンライン配信や国境を越えたサービス提供の加速をふまえて衛星やケーブルテレビ関連の指令を見直す。
(8)付加価値税(VAT)の違いなど事業展開に際して障壁となる行政上の課題を減らす。
2 デジタル・ネットワークや革新的なサービスの繁栄につながる適切な状況や公平な競争の場を創出する。
(9)現行のEUの電気通信関連規則を徹底的に見直す。
(10)視聴覚メディアのフレームワークを21世紀の時代に即すように再検討する。
(11)検索エンジン、ソーシャルメディア、アプリストアといったオンライン・プラットフォームの役割について包括的な分析を実施する。
(12)個人データの適切な運用のためデジタルサービスの信頼とセキュリティを強化する。
(13)サイバーセキュリティ分野で産業界とのパートナーシップを締結する。
3 デジタル経済の成長と潜在性を最大化する。
(14)EUにおけるデータの自由な移動を推進するためのイニシアティブを提起する。
(15)eヘルス、交通計画、電力(スマートメーター)といった分野で標準化や相互運用のためのプライオリティを設定する。
(16)インターネットスキルの向上や新たな電子政府アクションの実行により市民のデジタル社会への包摂をサポートする。