2015.06.25
【米国】ネット中立性規則が6月12日より施行開始
DC連邦控訴裁は、6月11日、ネット中立性規則の施行差し止めを訴えていたテレコム業界の要請を却下した。この判決を受けて、トム・ウィーラーFCC委員長は「インターネットを利用する消費者、イノベーターの大きな勝利」とコメントした。この判決により、FCCの新しいネット中立性規則が6月12日より施行開始されることになった。
同規則は、2014年1月に連邦裁判所が無効化した旧規則と同じく、特定ウェブサイトへの通信をブロックしたり、通信速度を引き下げたり、あるいは特定サイトを優遇することを禁止するものだが、今回は移動通信事業者も適用対象となり、固定回線および無線ブロードバンドサービス事業者をコモンキャリアに分類していることが以前と異なる。通信法Title IIに基づくコモンキャリア規制をブロードバンドに適用することはISP各社が最も反発している点だが、トム・ウィーラーFCC委員長は、ほとんどの米国民にとってブロードバンドサービス事業者の選択肢がないことをTitle IIへの分類変更の理由に挙げている。ただし、多くのISP等がネット中立性規則に対して提訴しており、DC連邦控訴裁の審理では今後、Title IIへの分類変更が争点の中心になる。連邦最高裁は、かつてCATV事業者のブロードバンドサービスを情報サービスとするFCCの権限を認めているが、ブロードバンド業界は、今回の規則でブロードバンドを電気通信サービスとすることをこの判例に反するものだと主張している。
一方、移動通信事業者は、通信法第332条により、移動通信事業者はコモンキャリアに分類され得ないはずだと主張。また、移動通信業界団体CTIAのブラッド・ギレン副会長は、固定回線ブロードバンドと違い、無線ブロードバンドの場合は全国規模でサービスを提供する4社に加え、地域事業者や小規模事業者という選択肢も存在すると述べている。