公共の利益に資する使命を負っている地上放送は、公共放送の場合は受信料収入、税金、寄附金等が財源の主体となっているが、無料で視聴できる地上放送の財源の多くは、広告収入、再送信収入等によって賄っている。
しかし、収益基盤である地上放送の広告収入は、減少又は現状維持の傾向にある。他方で、ネット配信における広告では、詐欺広告や偽誤情報等が、情報空間の健全性確保の観点から、問題視されている。また、地上放送は、IP再送信の普及によって、ターゲット広告やアドレッサブル広告を利用した、新たな収益機会を得ることを模索している。しかし、視聴者の個人情報やパーソナルデータの取扱いが課題となっている。
無料放送を提供する地上放送が、ネット配信市場において、大手ストリーミング・プラットフォーマーと対等に競争することができるのか、また、ネット配信が新たな広告収入の機会となり得るのかという問題意識を踏まえ、広告を切り口として、米国、英国及び仏国における地上波とネットの広告制度の枠組みや広告事業の実情を調査し、日本における示唆を得ることとしたい。
(報告書内容)
第1章 はじめに
第2章 米国
2-1 拡大するプレミアム動画のオンライン配信
2-2 オンライン動画視聴支えるCTVプラットフォーム
2-3 成長著しいCTV広告
2-4 多様化するCTV広告取引
2-5 CTV広告の現状と課題
2-6 米国小括
2-7 主な用語集
第3章 英国
3-1 市場動向
3-2 広告規制
3-3 ネット広告
第4章 仏国
4-1 TV市場概要
4-2 放送制度における広告規制
4-3 地上波放送の広告募集体制
4-4 TV広告収入の推移に関する規制機関の見解
4-5 ストリーミング市場におけるFAST+AVODの台頭
4-6 ターゲット広告に対する期待
4-7 主要TV事業者のプログラマティック広告配信体制
4-8 主要事業者の広告事業拡張の試みと規制側の反応
第5章 まとめ
(執筆者)
飯塚留美 (調査研究部 研究主幹)
第1章、第3章、第5章担当
中邑雅俊 (調査研究部 主席研究員)
第2章、第5章担当
黒川綾子 (調査研究部 主任研究員)
第4章、第5章担当
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