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一般財団法人マルチメディア振興センターでは、ICT分野の発展に資することを目的として、ICT分野の政策・制度整備、市場開拓・拡大、技術発展、社会での利活用といった視点からテーマを設定して、調査研究を行っています。主要な研究テーマについては、研究報告書としてとりまとめています。
各報告書は、販売もしておりますので、ご希望の方はこちらにご連絡ください。
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2018.10.01

  • 最新研究
  • 宇髙 衛
  • 裘 春暉

拡大する中国の「QRコード式」モバイル決済

本報告書においては、Alipay(アリペイ;支付宝)及びWeChat Pay(ウィーチャットペイ;微信支付)について、総体的な現状紹介に加え、両者のビジネスモデルの比較分析を行ったうえで、政府の消費者保護政策や新興サービス促進政策の動向もフォローしつつ紹介する。また、両者による東南アジアをはじめとする海外市場への進出についても調査を行った。

中国におけるQRコード決済サービスの普及には、大きな要因として、二大事業者間の激しい競争(キャッシュバック等)がある。競争を通じて利用機会が増えた結果、サービスの利便性及び社会的な課題解決(偽札問題、現金管理コスト縮減等)にもつながることが、実利用によって認知され、急速な普及につながった。

調査によって、両社の戦略については大きな相違あることが観察された。Alipayは、QRコード決済サービスを通じて得たビッグデータを活かし、各種金融サービスを中心とした新たなビジネスを展開しようとしている。一方、WeChat Payは、QRコード決済サービスの導入で、人々の「関係」で新たなマーケティングの手法を試しながら拡大していく方向にある。

東南アジア市場では、都市部を中心にキャッシュレス化が進展しており小型店舗の導入支援やQRコードの共通化は、この進行を早める。キャッシュレス決済サービス未整備市場においては、中国市場での経験は二大事業者の大きな参入アドバンテージとなる。しかし、二大事業者方式そのものの東南アジア主要国での普及については、インバウンド対応の需要にとどまり、多くの国では独自の戦略が追及される。キャッシュレス化を実現するためのインフラの弱い国については、二大事業者方式そのままの展開可能性も残っている。

中国での経験から参考となるのは、実利用体験が普及に有効であることで、まず訪日中国人を対象としたサービス提供によって機会を拡げ、日本人消費者の実利用を促せば、日本市場での普及につながると考えられる。

更に、QRコードの利用にとどまらず中国ではFace IDを用いての支払いも実用化されている。今後は、そうした新たなキャッシュレス化展開にも注目すべきだと考えている。