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 一般財団法人マルチメディア振興センターでは、ICT分野の発展に資することを目的として、ICT分野の政策・制度整備、市場開拓・拡大、技術発展、社会での利活用といった視点からテーマを設定して、調査研究を行っています。主要な研究テーマについては、研究報告書としてとりまとめ、公開しています。これらの研究報告書はこちらからダウンロードすることができます。

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2017.10.01

  • 最新研究
  • 宇髙 衛
  • 裘 春暉

中国新興携帯端末メーカーの台頭と展望

世界市場における中国の携帯端末メーカーの販売シェアが、2015年以降、急速に拡大している。また、上位数社の共通した特徴として、中国国内市場だけではなく、東南アジアをはじめとする海外市場の開拓にも力を入れている。本調査研究は、欧珀(OPPO;オッポ)、維沃(vivo;ヴィーヴォ)など新興携帯端末メーカーの動向と戦略を取上げ、中国における端末メーカーの急成長の背景について、特にスケールメリットの発揮による側面に注目し分析した。また、海外における展開事例として、インドネシアとベトナムの両市場に焦点を当て、中国端末メーカーの市場開拓状況を調査した。
 まず第Ⅰ章では、中国国内市場におけるスマートフォンの普及状況や消費者の利用動向について、一連のデータを用いて解説した。これは、中国端末メーカーが直面している国内市場環境を説明するためである。2016年現在の中国都市部におけるスマートフォンの人口普及率は72%に達している。中国国内ではスマートフォンの利用に関して、特にモバイル決済、オンラインショッピングといった実用系のコンテンツ利用の伸び率が高い。2014年頃から、スマートフォンを通信ツールのみならず、日常の必需品と位置付ける消費者が増え、バッテリの持ちの良さや使い勝手の良さといった端末の性能が重視されるようになっている。
 このような市場への対応策として、OPPO、vivoといった新興端末メーカー各社は、他社との差別化もできるFace ID機能や指紋認証による端末認証の利便性、大容量のメモリ、駆動時間の長いバッテリ、美顔カメラ・アプリ、Hi-Fi(高忠実度、高再現性)オーディオへの対応といった端末性能を強調する一方、様々な方法で生産コストを抑え、消費者に訴求力のある価格設定を可能にし、販売シェアを伸ばしてきた。
 報告書の第Ⅱ章では、中国の端末製造環境について、低コスト製造を可能とする環境の存在、アプリのプリインストールによる端末販売の促進効果、Androidのオープン化によるメーカーのカスタマイズの自由度の拡大、ミドルエンド端末に対する需要の高まりという4つの側面について分析した。端末メーカー間の熾烈な競争による部品メーカーに対する圧力によって部品価格が下がり、またスケールメリットの働きもあり、産業全体の生産コストの低廉化につながった。シェアを拡大してきた端末メーカーは、消費者のニーズに応える形で、価格を一定程度に抑えた上で、より機能も高く、使い勝手もいい端末を製造し、いわゆるコスパの高い端末の製造に努めているからだと言える。
中国市場には、かつて数百にも及ぶ端末メーカーがあり、熾烈な競争が行われていた。ここ2年間では、販売シェアの高かったレノボやZTEといったメーカーのシェアが大きく落ち込み、販売の低迷によるシェアの急落に転じた小米がまた上位に返り咲くなどの現象がみられる。業績が伸びた各社に共通しているのは、前述したコスパの高い端末の製造が出来た点に加え、低コストによる販売チャネルの確保やメリハリのある投資方針に基づく大々的な販売宣伝といった手法による商品のイメージ作りに成功したからだと言える。
中国国内市場が飽和したうえ、メーカーの数が集約されたため、戦略の展開上、海外市場開拓の動機が高まっている。現状では、各社がアジア市場を中心に海外進出を実施している。東南アジアについては、総じて言えば、地理的にも中国に隣接し、文化的にも中国と類似する点が多く、その上、スマホに対する需要が中国本土と比べて高い段階にある。市場開拓に成功したメーカーのうち、OPPOの場合、中国国内市場で成功した販売戦略をこれらの国に持ち込み、市場を開拓しシェアを伸ばしている。
東南アジアの主要な市場であるインドネシアとベトナムの状況を第Ⅲ章において分析した。ここでは、両市場における携帯端末の普及や、スマートフォンの利用状況、需要動向、供給体制について確認した。その上で、中国メーカーのこれらの市場における取組みについて、公表データを中心に調査・分析した。東南アジア市場で成功している端末メーカーは、中国本土に類似した現地の消費コンテクストに合せ、規制などの環境にも対応しながら販売戦略を展開している。また、現地での需要の高いローエンド及びミドルエンド価格帯の端末に手厚いラインナップを投入して、業績を伸ばしていることを確認した。
第Ⅱ章及び第Ⅲ章において、OPPO/vivo、小米の取組みを中心に、各社の現状分析を行った上で、第Ⅳ章では、各社の技術力の向上に関する取組みも紹介した。今後、各社が単に部品単価の引き下げの目的ではなく、より高い利益の獲得につながるハイエンド端末を投入する可能性もあると指摘した。そうした際には、現段階で築かれた経営ノウハウも基に東南アジア市場にとどまらず、他の先進諸国市場の開拓にも向けられると考えている。