[HTML]
H1

最新研究一覧

コンテンツ

 一般財団法人マルチメディア振興センターでは、ICT分野の発展に資することを目的として、ICT分野の政策・制度整備、市場開拓・拡大、技術発展、社会での利活用といった視点からテーマを設定して、調査研究を行っています。主要な研究テーマについては、研究報告書としてとりまとめ、公開しています。これらの研究報告書はこちらからダウンロードすることができます。

 (注)ダウンロードした2020年度報告書ファイルを開くには、賛助会員様にお知らせしているパスワードの入力が必要です。

 当財団の賛助会員(法人)の方には、これらの研究報告書のハードコピー(紙媒体)を無料で頒布していまが、個別販売もしております。ご希望の方はこちらにご連絡ください。

お知らせ年度表示
掲載年選択
お知らせ表示

2014.10.01

  • 最新研究
  • 木賊 智昭

モバイルM2M分野における海外通信キャリアのソリューション・ビジネスの展望

 本調査は、センサー/機器/装置等が直接通信し相互に情報交換する「M2M」(Machine to Machine)サービスが、新たな通信市場として成長が期待されているところに注目し、海外の通信キャリアが提供しているM2Mサービスの特徴及びビジネス戦略の動向を明らかにすることを目的としている。今後のM2Mが従来サービスの単なる量的拡充ではなく、スマート端末、クラウド・コンピューティング等のICTの高度化とともにあらゆる無線デバイスをネットワーク化することで、経済・社会の公益性や経済性の向上を図る「コネクテッド・ソリューション」の基本技術としてM2Mを位置づけ、海外通信キャリアのサービスの現状や取り組みに関する情報を収集・分析するとともに、今後の課題やビジネスの在り方に展望を得ることに努めている。
 第1章では本調査の意図を確認し、続く第2章では、M2Mサービスの市場状況、技術概要、サービス概要など基本事項を整理している。まず、M2Mサービスを、モバイル・サービス市場の今後の成長を牽引するサービスの一つとして位置付け、将来の市場規模の成長予測を確認する。また、揺籃期のサービス停滞から、M2Mが成長局面へ転換する要因として、①デバイスのスマート化、②多デバイスからの集積データの統合・解析、デバイス管理等に対するクラウド・コンピューティングの利用、③新通信技術(Bluetooth、Wi-Fi、RFID)の規格の普及ほかネットワークの高度化、④サービス対象の拡大(B2B2C等などの市場拡大)、などを挙げる。
 今後のM2Mの高度化の方向として、①垂直(vertical)型ソリューションから水平(horizontal)型ソリューションへの移行、②B2BサービスからB2C/B2B2Cサービス範囲の拡大、③セルラー網中心から多様なネットワークを統合したサービスへの移行の3つの方向に進むことが見込まれる。また更に、マシンとヒトをネットワークで統合し、経済・社会の多様な場面からデータを収集・解析し、新しい価値を生み出すソリューションを担うサービスとしてM2Mを位置付けている。
 第3章では、前章で言及された今後のM2Mサービスの発展を踏まえ、通信キャリアのM2Mサービスへの対応や取り組みを分析する。通信キャリアのビジネスドメイン(領域)であるネットワーク・レイヤーにおいて、通信距離、移動速度、伝送容量、安全性(セキュリティ、干渉障害)など、セルラー網のサービス品質を高めることで競争力を強化することが考えられる。
 ただし、M2Mサービス市場におけるネットワーク・サービスの収益比率は、アプリケーションやシステム・インテグレーションと比べて小さいと見られており、通信キャリアは通信サービス以外の領域を自社ビジネスに取り込む戦略を立て、これに対応している。M2Mサービスの具体的なビジネスタイプは、①データ伝送サービスの「卸売り」以外に、②他のレイヤー(デバイス、アプリケーション、プラットフォーム)企業とパートナーシップを形成し、インテグレータとしてM2Mソリューションを提供する(「提携型タイプ」)、③全てのレイヤーを自社で賄い、M2Mソリューションを提供するビジネスタイプ(「フルサービス型タイプ」)が志向されており、これらをいかに組み合わせてM2Mサービスを展開するかがM2M分野のビジネス戦略となると考えられる。②、③については、各サービス・レイヤーを統合したソリューションをユーザーに提供することで、単純なデータ伝送よりも、より高い付加価値をM2Mサービスから引き出すことが出来る。収益性の観点からは、フルサービス型のソリューション提供が高収益をもたらすと考えられるが、各通信キャリアの有する経営資源のバランスから、上記のビジネスモデルをM2Mが利用されるサービス分野に応じて使い分けているのが現状である。
 実際の海外の主要通信キャリアの動向からも、製造、エネルギー、資産追跡、車両管理、保険等の多岐にわたる分野で、デバイス業者やアプリケーション業者とパートナーシップを形成し、M2Mサービスを提供するビジネスケースが多く、通信アクセスの提供に加えて、アプリケーションを含めたソリューションの提供の方向にM2Mビジネスを拡大する傾向にあることが見て取れる。M2Mにおいては、アプリケーションが顧客ニーズを牽引するところから、通信キャリアの多くが、各社のネットワークを利用したアプリケーションの開発を支援するプラットフォームを提供している。将来的には多様なデバイスから収集されるデータを共通のアプリケーション・プラットフォーム上で統合し、新たな複合サービスを提供することで、サービスの高度化と高付加価値化を目指している。
第4章では、M2Mをめぐる今後の通信キャリアのあり方を展望するとともに今後の課題を明らかにする。現在は、初期段階から成熟期への移行期に当たるが、総じて、欧米の主要事業者は、M2Mへの取り組みを積極的に進め、顧客の囲い込みを進めている。基本的に、M2Mサービスは、デバイス、ネットワーク接続、プラットフォーム、アプリケーションのサービス・レイヤーをエンドツーエンドで統合したソリューションとして、顧客に提供されることが特徴の一つとなっており、また、M2M市場におけるネットワーク接続サービスの収益性が低いことを背景に、海外通信キャリアは、従来のネットワーク接続サービスだけでなく、アプリケーションの提供をも射程に入れたソリューション事業を展開することを、M2M戦略の基本に据えている。
 今後の課題として、M2M分野における通信キャリアの競争力強化の課題を中心に、組織強化、アプリケーション開発支援等に言及するとともに、APIのオープン化によるアプリケーションの共通化、ソフトウェアSIMなどを取り上げ、今後の通信キャリアの競争力強化の必要性を確認する。

目次

第1章 はじめに

第2章 M2Mの成長とコネクテッド・ソリューションの位置づけ
2-1 M2M市場の成長予測
2-2 M2Mサービスの高度化の技術的背景
2-2-1 デバイスの低廉化とスマート化/インテリジェント化
2-2-2 プラットフォームのクラウド化
2-2-3 アプリケーション
2-2-4 通信技術
2-3 M2Mの将来像

第3章 コネクテッド・ソリューションにおけるモバイル通信キャリアのビジネス機会
3-1 M2M分野におけるモバイル通信事業者の収益とビジネス形態
3-2 欧米通信キャリアのコネクテッド・ソリューション戦略
3-2-1 ベライゾンの動向
3-2-2 AT&Tの動向
3-2-3 スプリントの動向
3-2-4 ボーダフォンの動向
3-2-5 M2Mへの通信キャリアの取組みの特徴

第4章 展望と課題

執筆担当

木賊 智昭(一般財団法人マルチメディア振興センター 情報通信研究部 副主席研究員)